藤代: 最近話題の「財政再建なんか必要ない!」という経済理論、MMT(Modern Monetary Theory)が注目を浴びていることについて

J.K.: Modern Monetary Theory(現代貨幣理論)ですか、衝撃的ですね。

藤代: とんでもない理論だと思うかもしれませんが、アメリカで旋風を巻き起こしている民主党の若手女性政治家のコルテスさんらが主張し、日本の一部有識者も支持しています。このMMTを、専門家に後ろ指を指されることを覚悟のうえ、一言で表現すると「政府がどんなに借金を膨らましても、中央銀行(日銀)がおカネを刷ってそれを返済原資に充てれば、財政は破綻しない。それならば財政赤字や債務残高なんて気にせず目の前の景気対策に集中した方がいい」という具合なのです。

J.K.: 日本の財政は借金で危機的といわれます。財政破綻しない、とは驚きですね。

藤代: ある意味、これは正しいんです。日本政府は「円」という通貨を発行する権利を持っていますから、おカネはいくらでも刷れます。逆に言うと、財政が破綻するのは「自らの意思で、円を発行しないことを決め、借金の返済をしない」ケースに限られます。ではなぜ財政を心配するのか?それはいざおカネを大量に刷ると、おカネが紙切れになったり、金利が上がったりするから、極端なことはできない、という考え方がベースにあります。

J.K.: それはずっと言われていることですね。どうしてMMTが話題になるのですか?

藤代: ここで日本の財政が先進国で最悪、いつか破綻するといわれ続けていますが、一向に物価も金利もあがらない状態が続いています。そこでこのMMTをベースに考えた場合、もしかすると、政府のおカネの使い方が足らない結果、経済の体温が冷えているんじゃないか、という議論になります。つまり、今までは財政再建が急務といって増税や社会保険料の引き上げをしてきましたが、それが本当に正しかったのか見直す必要がある、と考える人が最近増えていて、個人的に、この議論は今後更に活発化していくと思います。