藤代: 来週、アメリカの金融政策が方向転換しそう、ことについてです。

J.K.: 金融政策を司る中央銀行のFRB、日本でいう日本銀行にあたりますよね、今回はどんな動きがありそうですか?

藤代: FF金利という翌日ものの政策金利の利息を引き下げます。今回のように景気を刺激する方向に舵を切るのは実に12年ぶりです。12年前、2007年といえば、リーマンショックの1年前です。この頃は景気がどん底に落ちる不気味なサインがいたるところに点灯していた時期だったので、FRBは景気を刺激するために金融緩和(つまり利下げ)を実施したのですが「時すでに遅し」で、景気は回復せず、リーマンショックに突入してしまいました。

J.K.: 今回そんな不気味なシグナルが出ているんですか?

藤代: 当時ほど強いシグナルではありませんが、不気味な兆候が出ています。昨年後半から、企業が人件費や設備投資を抑制する動きが目立ってきました。このまま何も対処しないと景気が逆回転を始めるリスクが高まるとの判断です。今回FRBの説明では「景気は底堅いけども、現在の景気拡大を維持するために利下げを実施する」としています。

J.K.: もしそんなに景気が悪くないのに刺激策を打つと、バブルになるのではないか、という指摘はありますよね?

藤代:やはり議論の対象になるポイントです。FRBは2007年の反省を活かして、今回早めに利下げをするのですが、一方で景気を刺激しすぎるとバブルを招く可能性は高まリます。ただし今のところFRBは割り切っているんです。「バブルは弾けて初めてバブルだったと分かる。であれば、弾けてから状況に応じて適切に対処した方が良い。バブルの発生を心配するより目先の景気拡大を優先した方が良い」というスタンスです。株など一部金融市場にバブルの兆候があるのは事実ですが、FRBはこうした考え方をベースに、しばらくの間は景気優先モードになりそうです。