藤代: 電子マネー、スマホ決済、更には仮想通貨の登場で、将来、現金が不要になるとの見方もある中、政府が発行する日本円がどうなっているのか、解説します。

J.K.: 海外では通貨と呼ばず、クリプトアセット(暗号資産)と呼びますよね。最近はFacebookが暗号通貨を発表し、〇〇ペイが次々に登場したりして、これまでの現金とは種類の違うものが流通しはじめていますね。

藤代: これは世界的な流れで、徐々にではありますが、確実に現金ではないモノの流通が増えています。さすがに一般的に暗号通貨で買い物ができる状況にはなっていませんが、日本でもキャッシュレス決済が増加傾向にあって、「生」の現金の登場回数が減りつつあるのは事実です。その証拠に政府のデータをみると1円、5円玉の流通量が減っています。お釣りが発生しませんから、需要が減っているのだと思います。

J.K.: やはり、現金(硬貨・お札)は徐々に役目を終えつつあるのですね?

藤代: と思いきや1万円札の発行は経済成長より早いペースで増加しています。通常紙幣の流通残高は経済成長率に比例しますが、最近は経済成長率を上回る4%程度の伸びとなっています。理由はタンス預金です。低金利なので銀行に預けるニーズが減ったことも大きいですが、背景にあるのは相続税対策です。2015年に相続税法が改正され、事実上増税になったので、現金で国に財産を把握されないようにしたいということかも知れません。(ちなみにこれは必ずしも脱税とは限りません)。

J.K.: 現金不要の流れかと思いきや、実は増えているんですね。

藤代: 全体としてみれば現金には根強い需要があります。ただ大きな流れは自体は、現金廃止の方向にあるように思えます。実際政府自らがデジタル通貨の発行も視野に研究を進めているという事実もあって、日銀は論文も発表しています。数年後、政府が発行するおカネがデジタル化、なんてこともあるかもしれません。