藤代: 日本が韓国向けの輸出に制限をかけた「半導体の材料」について

J.K.: 日韓貿易戦争とも言われていますが、まずはなぜ半導体なのですか?

藤代: 韓国が半導体の生産で非常に国際競争力を持っているからです。半導体とはスマホやPCの中核部品・脳です。そして日本は半導体の材料、またそれを作るための超精密な装置の生産で高い競争力を持っています。半導体や電子部品は普段私達が目にしない、地味な存在かも知れませんが、実のところ半導体産業は巨大なので、経済に物凄く大きな影響を与えています。それを激しくやると、日韓だけでなく世界的に影響が大きくなります。

J.K.: 半導体が世界経済に物凄く強い影響を与えるとはどういうことですか?

藤代: 景気が動く理由は様々ですが、2年周期くらいの景気の波を作り出しているのは半導体産業だと言われています。半導体の生産は非常に大きな波があるので、それが経済全体に波及しているという訳です。背景には、半導体の開発に莫大な設備投資が必要になることがあります。研究開発費や超精密な機械が必要です。そのためメーカーは半導体の新製品が完成すると、工場をフル稼働で大量生産して、おカネを回収する傾向があります。これが関連産業を含め、景気を押し上げます。逆に何らかの理由で半導体の需要が減ると、売れ残りの在庫が急激に積み上がります。そこで在庫がはけるまで、生産を絞ります。この「生産を絞る」という行為が景気を悪くさせるんです。

J.K.: 半導体の需要と供給が重要とのことですが、現在はどういう段階ですか?

藤代: 実は現在、半導体不況の一番きついところにいます。積み上がった不良在庫がはけるまで生産を絞っている状況です。日本、韓国はじめ世界の半導体は、そのような状況にあります。過去の例から判断すると、今年の終わりころに在庫調整が終わり、再び半導体の生産が盛り上がり、景気をひっぱると期待されますが、日本、韓国、あるいは米中貿易戦争が激化すると半導体不況が長引いてしまうかもしれません。