藤代: 今朝は、ここへきて消費者のマインドが急激に悪化していることについて

J.K.: まずは老後に2000万円必要という金融庁の報告書については、さまざまな立場で食い違いもあり、現在の報道について不安を駆り立てているようですね。

藤代: この問題がここまで人々の関心を引いたのは、10月の消費増税もあって、人々のマインドが悪化していることが大きいと思います。最近になって、消費増税が予定通り引き上げるという報道も多くなってきたので、人々が金銭面でかなり神経質になっているのでしょう。ちなみに、消費増税に伴う国民負担は、2014年の5%から8%への増税に比べると、計算上はおよそ1/4になるとされていますが、このように心理面から来る景気減速に最大限の注意を払う必要があります。

J.K.: 人々のマインドが悪化しているとは、データがあるんですか?

藤代: 内閣府が発表した消費者態度指数という経済指標が急激に悪化しています。最新の数字は2014年後半、つまり前回の消費増税の直後と同じくらいの水準へと低下しています。それから、タクシードライバーやコンビニの店長さんに景気をヒアリングして作る景気ウォッチャー調査という経済指標も大きく低下、人々が肌で感じる景況感が急速に冷え込んでいることを浮き彫りにしています。

J.K.: 背景にはなにがあるんですか?

藤代:ひとつには、アメリカと中国の貿易戦争に伴う世界景気の不透明感がありますが、やはり一番は10月の消費増税でしょう。計算上のダメージは大きくありませんが、心理面でかなりの打撃があると思います。

J.K.: 心配な動きですね。先行きの景気は大丈夫でしょうか?

藤代: 幸い日本経済は過去数年の景気回復で積み上げた 「貯金」があって、失業率がおよそ30年ぶりの低水準を維持していますので、直ちに景気が崩れることはないと思います。ただし現在のように消費者の節約志向が強まると、GDPの6割を占める個人消費が減速する可能性が高まりますから、景気の風向きは悪くなってしまいそうです。