藤代 今朝、日本の競争力ランキングについて

J.K. 世界での日本の競争力が下っているという気になるニュースがありましたね。

藤代 IMDという研究機関が発表した2019年競争力ランキングによると、日本は、63の国と地域のうち30位で5ランクダウンでした。このランキングは「経済状況」「政府の効率性」「インフラ整備」「ビジネスの効率性」という4つの視点に注目。多くのデータや、アンケート調査を集めて作成されます。単純に経済規模や成長率だけで判断しないのが特徴です。

J.K.: 今回日本の順位が下がったとのことですが、競争力も下っているのですか?

藤代: まず順位が下がったことは事実ですから、政府・民間一丸となって競争力を高める努力をする必要があると思います。特に今回は「ビジネスの効率性」が低いとでています。昨今の働き方改革を含め、生産性を上げていく取り組みが必要だと思います。長時間労働を是正する取り組みを緩めないことが重要です。ただこの類の国際比較の指標は注意が必要で、必ずしも日本の競争力が落ちているとはいえないと考えます。

J.K: 注意する点というのはどんなポイントですか?

藤代: 今回上位にランクインした国にいえますが、経済の強さランキングの「常連の国」には特徴があります。

まず、シンガポール、香港、オランダ、アイルランド。これらは法人税が低く、ペーパーカンパニーのような形で本社が集積しています。また金融が産業構造の中で中心的な役割を果たしていることも特徴です。つまり少ない人数で、多額の利益が計上されるので、強く見えるわけです。それからカタール、UAE。ズバリ産油国です。資源のある国は少ない人数で稼ぐことができますから、やはり「効率」が良くなり、競争力が高く評価されます。

ランキングをみるにはこうした「クセ」を知り、幅をもって解釈することが重要です。