藤代: 株や為替のフラッシュ・クラッシュという現象について

J.K.: FLASHが瞬間的、CRASHが壊れるといった意味ですよね。

藤代: 記憶に新しいのは1月3日の為替です。USD/JPYが109くらいからほんの数分の間で一気に104台まで円高が進むということがありました。為替は一日で1%動けば大きい方なので、4.5%も一気に動くというのは極めて異常な事態でした。その後は109台まで戻しているので、現在は落ち着いているのですが、こうした変動はあまり望ましくないです。

J.K.: どうしてこういうことが起こるのですか?

藤代: 真相は解明されていませんが、指摘されているのはプログラム売買です。生身の人間でなく、コンピュータに取引を任せることが最近多くなったので、みんなが同じ方向を向いて売買をする傾向が強まったと言われています。たとえば、保有している株の値段が10%下がったら、無条件にその株を売り注文を出す、というプログラムがあった場合、その条件を満たすと似たようなプログラムを組んでいる投資家が一斉に売りを出すので瞬間的に株や為替が崩れる。これが原因とする声が多いです。

J.K.: 金融商品の取引にもAIが増えているということですね。

藤代: アメリカ中央銀行FRB議長の会見や声明文もコンピュータで瞬時に読み、それに応じた売買をするという動きもあります。たとえば、「利上げ」を意味する「rate increase」が含まれていると株を売るというプログラムを組んだりします。ちょっと面白いのは、FRBは恐らくそれを潜り抜けるため、記者会見などで、普段は使わない表現を使ったり「but(しかし)」という言葉を多用したりしてコンピューターを騙そうとしているんです。そうでないと、株価が急変動し、説明すればするほど、金融市場に動揺が走るという可能性があるからです。というわけで、最近はあまり景気変動がないのに、株や為替が急変動することが増えたと言われています。