藤代: 最近の株価乱高下についてその背景と今後の動向についてです。

J.K.:景気は依然回復傾向にあるとのことですが...

藤代:まず背景を説明すると、今回の株価下落はアメリカ株が主導している形です。アメリカ経済そのものは堅調ですが、FRBの利上げによって金利が上昇。その結果、少しずつ景気が冷えてきました。また今年の前半は大型減税によって景気がグンと加速しましたが、その効果が徐々に落ちていることも影響しています。こうした風向きの変化が株価下落の原因です。

J.K.:来年、アメリカ経済、日本経済は大丈夫ですか?

藤代: 株価下落を受けて、FRBは利上げをいったん止めて、景気の減速に歯止めをかけると思われますので、このまま景気後退に向かう可能性は低いと思います。これは多くのエコノミスト共通の意見だと思います。そうした中で日本経済も拡大基調を維持すると思いますが、やはり少し心許ないので、政策的な対応が期待されます。

J.K.:景気を刺激する政策。どんなものでしょうか?

藤代:ふたつあります。1つは日銀が株式購入を増額することです。現在は年間6兆円買っているのですが、たとえば来年購入予定の6兆円の一部を前倒して購入する可能性があります。日本の実体経済はまだ堅調ですが、今後株価の下落が原因となって経済が減速する可能性がありますから、それを阻止するための措置です。そして、ここへ来てにわかに浮上したのは消費増税の延期です。財政再建が大事とはいえ、景気後退が近づく中で、増税はあまりにもタイミングが悪いので先送りする可能性があります。現時点でまだ可能性は低いですが、株価が一段と下落すれば、個人や企業のマインドが萎縮して、景気減速を招く可能性がありますから、増税延期の議論が盛り上がる可能性があります。