藤代: 消費増対策として実施予定のキャッシュレス決済のポイント還元について

J.K.来年10月以降、クレジットカード、電子マネー(スマホ決済)で買い物すれば、ポイントが還元されるというものでしたね。

藤代:政府は消費の落ち込み回避するほか、キャッシュレス決済を促す目的もあってこれを政策の目玉としています。中小の小売店での買い物には5%分、大手系列のスーパー、コンビニでは2%が還元される予定です。中小小売店の方が大型店より、そもそもの販売価格が高いなどといった理由から還元比率を高めにする配慮です。複雑だという批判もありますが予算2798億円を投じる訳ですから、消費の刺激効果は期待できます。

J.K.: 一方でバラマキと批判する声もあります。効果はありそうですか?

藤代: ここで注意しないといけないのは、消費が増えたとしてもその中身です。ポイント還元したおカネが「買い溜めできるモノ」に回ってしまったのではいけません。ここでご紹介したいのは、2015年のプレミアム商品券。「たとえば1万円で1万2千円の買物ができる」の時のデータです。総務省の家計調査ではあるモノの消費が増えていました。

J.K.買い溜めできる、モノですね??

藤代:正解は「食塩」です。場所もとらず、冷蔵庫に入れなくても永久的に保存できます。ポイント還元で塩の消費が増えても、それは単なる前倒し購入に過ぎませんから、お店の在庫が家庭の在庫に変わるだけで、景気刺激効果はありません。ちなみに、冷蔵庫に入れる「味噌」は増えていませんでした。消費者が「塩」で貯蓄したのは明らかです。還元されたポイントの有効期限はいつまでかは現時点で不明ですが、そのポイントの期限切れ間際には、塩に駆け込み需要が発生するかもしれません。