藤代:今朝は景気が良いと逆に失業率が上がるという現象についてです。

J.K.:常識としては、景気が悪いと失業率が上がりますよね?

藤代: 景気が悪くなると、会社を解雇されたりすることで失業者が増えて、失業率が高くなります。これが大原則です。ただし短期的、1年未満くらいのタームでは例外もあって、最近の日本経済がそれに近い状態です。それは解説を一部先取りすると、前向きな理由で失業者が増えているからです。

J.K.:前向きな理由で失業者が増えるってどういうことですか?

藤代: それは「転職」と「新たに職探しを始めた人」が関係しています。転職は、基本的には、労働者が待遇改善を求めて勤め先の企業を変えるものですから、景気が良くなると増える傾向があります。転職できる自信があるからこそ、現在勤めている会社を辞める訳です。こういった方々は、次の仕事がみつかるまで、統計では失業者としてカウントされます。それから「新たに職探しを始めた人」も同じで失業者にカウントされます。最近はパートの時給も高くなってきましたし、働き方改革の成果が一部にでてきていて、自分にあった勤務時間で働ける企業も多くなったので、これまで専業主婦だった人や一度リタイアした高齢者が労働市場に戻ってきているわけです。就職活動をしている間は失業者としてカウントされるのです。

J.K.:失業と聞いて通常イメージする、会社を解雇されてしまう人はどうですか?

藤代: こちらは減っています。会社の倒産や解雇による失業者は5年前と比べると3分の1以下です。最近、見た目の失業率は下がってないのですが、中身は改善しています。ただし、失業率は景気に遅れて動くものなので、最近の株価下落などを踏まえると、先行きは少し慎重にみた方が良いかも知れません。