藤代:おはようございます。最近の原油・ガソリン価格上昇から転じて、資源を持つ国が本当に有利なのか考えてみたいと思います。

J.K.: 原油を輸入に頼っている日本は、最近ガソリン価格が上がり辛いですね。

藤代:原油価格は基本的に海外で価格が決定するので、原油価格が上昇すると国内のガソリンは自動的に上がります。店頭価格は政府集計ベースで、150円を超えています。日本に油田があれば、安定した価格で原油、そしてガソリンを供給できますが、油田を持たない以上、今後も原油価格の変動に付き合っていく必要があります。

J.K.: でも最近は日本の近海に燃料に使える資源があるといわれていますよね。

藤代: メタンハイドレートという物質で、これが上手く活用できれば、日本も資源国になります。ただし、ここで注意しないといけないのは「資源国の呪い」と呼ばれる現象です。結論から言うと、過去、資源を発見した国は、むしろ経済が弱くなっているケースが結構あります。

J.K.: アメリカはシェールオイルを発見してから強くなっている印象ですが、逆のケースもあるのですか?

藤代: アメリカは原油の生産が飛躍的に伸びた結果として経済が強くなりました。ただ歴史的にはそうならなかった国も多いです。過去数十年で資源開発が進んだロシア、ブラジル、南アフリカ、インドネシアのほか、今も多くの資源国が低成長に直面しています。原油資源がないと人々は工夫によって乗り切ろうとするので、日本のように製造業が発達したりするのですが、いざ手に入ると、原油に絡んだ利権とそのおカネがどんぶり勘定の補助金として使われる結果、原油以外の産業が死んでしまうといわれています。その点、今の日本は資源がらみの利権が他の国に比べて小さいともあって、政治と経済が適度に分離されていう隠れた強みがあります。資源がないということは、実は日本の長所かもしれません。