藤代: おはようございます。今日は貯蓄に励むことが本当に正しいのか?これを考えてみたいと思います。

J.K.: 無駄遣いをつつしんで将来のために貯蓄するのはいいことですよね?

藤代: たしかにそのとおりだと思います。ただし、貯蓄、貯金をするということは、別の言い方をすると、消費をしないということです。それを踏まえたうえで、日本人全体が一斉に貯蓄に励むと何が起こるか考えてみたいと思います。まず、言うまでもなく、節約の結果として消費が減ります。そしてみんなの貯蓄が増えたかどうか?というと、こういう状況では貯蓄は増えません。それは消費が減って景気が悪くなっているので、給料が減ったり、預金の利子が下がったり、株が下がったりする結果として、誰の貯蓄も増えないという結果になります。これを節約のパラドクスと言います。

J.K.: パラドクスというのは矛盾ですから、つまり皆が一斉に節約して貯蓄に励むと経済が小さくなってしまい、貯蓄が増えないということですか?

藤代: 反対に、皆が消費を増やすと何が起こるかというと、実のところ誰の貯蓄も減らないという奇妙なことが起こります。消費が増える結果として、給料も増えて、景気がよいなかで株価も上がって、上手くいけば預金利息も復活するかもしれません。もちろん程度問題はありますから大豪遊すれば、そうはなりませんが、ここで一つ言えることは人々が防衛意識を過度に高めてしまうと、節約に走りがちになって、全体として損をしてしまうという結末があります。これは今の日本経済に通じるところがあります。みんなが少しづつ消費を増やして、景気拡大に貢献して、しかも貯蓄が減らないというのがベストなのですが、なかなかそうなれいのが現実です。

J.K.: でも消費が大好きなアメリカ人、それによってアメリカ経済ですよね。

藤代: アメリカ経済の強さの源は何といっても個人消費です。彼らの貯蓄が減っているかというと、実際は減っていません。日本人はバブル崩壊とその後の深刻な不況を経験したこともあって、過度に貯蓄を好むという傾向があるように思えます。一人ひとりが財布の紐を緩めることが景気拡大に貢献するという認識が広がると良いなと思います。