藤代:おはようございます。今朝はトランプ大統領の貿易・通商政策についての分析を紹介したいと思います。

J.K.: 今週も中国製品に対して新たな関税措置を発表しました。日本経済に与える影響はどうでしょう?

藤代: アメリカは中国製品に対して10%から25%の関税をかけて中国製品の輸入をブロックしようとしています。現時点で公式に発表済みの内容は、アメリカが輸入している中国製品のうち、約半分が関税の対象になっています。トランプ大統領は関税によって中国経済を叩きたいという思惑があるようです。ここだけ聞くと、中国からアメリカへの輸出が大幅に減って、中国の輸出企業が打撃を被り、その結果として日本を含め、世界経済が不況になるのではと心配されている方も多いと思います。しかしながら、仮にトランプ大統領の発言どおりに関税がかかったとしても、世界経済はさほど影響を受けないと計算されています。

J.K.: 日本と中国は経済的な結びつきが強いですから、中国経済の減速はあまり良い話ではないですよね?

藤代: 確かに中国経済の減速は打撃ですが、経済の分析で最も権威のあるIMFという機関が発表した数値は最悪のケースでも、成長率が0.5%程度下る程度とのこと。IMFは4つのシナリオを示しており、その他のシナリオでは0.2%かそれ以下ですから、やはり影響はさほど大きくありません。

J.K.:それでも中国経済が減速したりすれば、日本にも打撃ですよね。

藤代: 実のところ、IMFが示した計算結果によると、関税が設定された場合、日本経済の成長率は意外なことに押し上げられる可能性があります。計算上の話ですが、経済にプラスということです。これは、アメリカが中国製品に対して関税を設定すると、関税を嫌ったアメリカの輸入業者が日本企業からモノを買うようになるという行動が背景にあるようです。つまり日本の輸出が増えるルートも考えられるということです。トランプ大統領の不規則かつ大胆な発言が怖いのは事実ですが、関税の問題は良くも悪くも気持ちの問題が非常に大きいので、こうした冷静な分析が広く共有されれば、価値があるように思えます。