藤代:おはようございます。今朝は「有効求人倍率が43年ぶりの高水準」となったことについて、お話したいと思います。43年前というのは1974年。高度経済成長期の終わり頃です。

J.K.つまりバブルの頃を超えたということですね?

藤代:厚生労働省が30日に発表した有効求人倍率は1.48倍。これは仕事を探している人が180万人くらいいるのに対して、企業が求人募集をかけている件数が265万件という意味。言い方を変えると、265万人分の仕事があるのに、働いてくれそうな人が180万人くらいしかいないということです。

J.K.でも、バブルの頃と比べると何かが違う印象なんですが。

藤代:一番の違いは、ここ数年はパート・アルバイトの求人が多いのに対して、バブルの頃は男性の正社員の求人が多かったのです。これだけ人手不足が問題となるなかでも、正社員に限定した有効求人倍率はようやく1倍を回復したところです。最近働く意欲のある女性や高齢者は、引く手あまたで有効求人倍率を押し上げていますが、働き盛りの男性の正社員に限定すると、さほど人手不足感はありません。これがバブル期との違いです。

J.K.正社員を採用したい企業があまり増えていないということですか?

藤代:正社員の有効求人倍率はようやく1倍というレベルですが、5・6年前は僅か0.4倍だったので、劇的な改善といえます。また、最近の人手不足の背景にあるのが人口減少なので、景気の変動に関係なく、常に企業が働き手を求める傾向が強くなっています。この点は、労働者側からみれば、働きたい時にいつでも働ける環境が整いつつあることを意味しますから良い話です。これは人口減少のプラスの側面です。ちなみに明治時代の日本では、人口の爆発的増加が問題となるなか失業対策として、海外への移住を促す政策が採用されていました。一般的に人口減少が問題視されていますが、個人的には、人口減少のプラスの効果を注目しています。人手不足は問題ですが、人が余るよりは良いと思っています。