藤代:おはようございます。今朝は、この後発表される消費者物価統計の中で、特に「野菜価格」についてです。落ち着きが確認されると思うのですが、それが消費にどういった影響を与えるか解説します。
J.K.:野菜の値段は例年より少し高いですが、少し落ち着きましたよね。
藤代:11月は東京都区部の生鮮野菜が前年に比べておよそ40%上昇。でも1月は10%強まで落ち着いているので、随分と状況は良くなりました。最近エンゲル係数-支出に占める食品の割合-の上昇が国会でも話題になるなど、何かと食費の注目が集まっているが、ここへ来て消費者の節約志向が和らいでいるデータがあります。
J.K.:具体的には何でしょうか?
藤代:「もやし」の消費額。総務省の家計調査で「もやし」の支出額をみると、11月は20%以上伸びていて、これは1985年以降で3番目の増加率。野菜が高かったので、値段の安定している「もやし」で代用した可能性が濃厚です。ちなみにもやしの消費が伸びたのは、2004年の野菜の高騰、2008年の原油の高騰のほか、1998年と2002年があります。この時期は山一證券や北海道拓殖銀行の破綻、銀行の不良債権問題が、人々の気持ちを暗くさせた時代。つまり、もやしは消費者の節約志向、防衛意識を映し出すんです。
J.K.:ということは、「もやし」の値段が下がれば、経済には追い風ですね?
藤代:もやしの消費額は12月に落ち着はじめ、この1.2月は更に落ち着いたと予想しています。ここから判断すると、消費者の節約志向は徐々に和らいでいると思われ、日本経済の6割を占める個人消費は先行き堅調に推移する可能性が高いと思います。なお、最近のエンゲル係数の上昇については、中身をよくみると、外食やお惣菜が伸びているんです。要するに、生活が苦しくなっているとは一概には言えません。