藤代:おはようございます。本日お話したいのは、最近の原油価格の底打ちについて。19日には、国際線の燃油サーチャージが、およそ10ヶ月ぶりに復活との発表もあり、その影響がジワリと効いてきている。
J.K.: WTI原油価格は50ドル回復が定着してきましたね。
藤代: 背景としては、中東の国で構成されるOPECと、ロシアなどの産油国が原油の減産で合意して、供給過剰に歯止めがかかるとの見方が浮上してきたことがある。この2年程度の原油価格下落で、多くの産油国が苦境に立たされていたので、世界経済全体でみると、悪いはなしではない。意外かもしれないが、今やアメリカは世界最大級の産油国なので、原油価格が上昇すると、彼らにおよぶメリットが大きい。ここにシェール革命の影響がでている。
J.K.: 燃油サーチャージやガソリンが高くなると日本経済には良くないですよね?
藤代: ただ、米国で活躍している日本企業もかなり多いので、悪い話ばかりではない。実際、利益の半分以上を米国で稼ぐ自動車企業もあるので、地理的には海外だが、もはやボーダレスになっている。米経済の回復は、日本経済の回復と考えてよい。とはいえ、日本という単体でみた場合、やはり原油は安いほうが良い。原油安によって節約できた輸入金額はおよそ8兆円。計算方法によって幅があるが、これは消費増税の3%分に相当する額。
J.K.:この先もっと原油価格は上がりそうですか?
藤代: その可能性は低い。最近の原油の持ち直しを受けて、米国内で原油の生産が再び増え続けている。また、OPECとロシアなどの減産合意は、あくまで"口約束"なので、それが守られるかは微妙。「原油価格上昇」と聞くと、身構えてしまうが、最近の状況を踏まえると、2008年のようにハイオクガソリンが200円を突破するような事は想定しにくい。家計を大幅に圧迫するようなことにはならないと思う。