藤代 おはようございます。今日は、先日発表された2017年の税制改正大綱を踏まえて「配偶者控除」について考えたいと思います。パートをしている世帯の方は是非、参考にしてください。

J.K.: 配偶者控除。かなり話題となっていますが、そもそもどんな制度ですか?

藤代: 配偶者がパートで稼いだ時に、税金の負担が重くならないように配慮した制度です。現行の制度は103万円以上働くと1世帯あたりの税負担が重くなる仕組みで、103万円の壁と呼ばれそれ以上働く意欲を削いでいる。

J.K.:今回の改正はどのようなものですか?

藤代: 2018年からは103万円が150万円に基準が切り上がる。今まで103万円の収入に納まるようにコントロールしていた人は150万円まで働いても税金の負担が増えません。

J.K.: 2018年から「150万円の壁」に変わるということですね?

藤代: それ自体は望ましいことだが、150万円以上稼ぐと世帯ベースの手取りが減ることに変わりはありません。また150万円の壁とは別に、130万円以上の稼ぎがあると、年金など社会保険料の負担が発生する「130万円の壁」というものがあります。当社が計算したところ、世帯主の年収500万円、配偶者がパートで働いている場合、パート収入が130万円を超えて、131万円稼いでしまった人は、パート収入が129万円の人に比べて手取り額が、およそ15万円も少なくなることが分かりました。130万円、あるいは150万円以上働くと「損した気分」になる。たくさん稼ぐと手取りが減るという奇妙なことが起こりうるので、個人的には早くこの制度を見直した方が良いと思う。最後に、この「新配偶者控除」の適用開始時期は2018年からで、来年の2017年一杯は今までと同じ制度なのでご注意。