藤代: おはようございます。世界的に株価は上がっているのですが、欧米では政治リスクと言われるものがつきまといます。今日はそのひとつ、12月4日の「イタリアの国民投票」についてお話ししたいと思います。
J.K.: 今年は英国のEU離脱、アメリカの大統領選、サプライズでしたね。
藤代: そして今年のヨーロッパの政治を振り返ると、たくさんのサプライズがあり、先日のフランスの大統領選の候補者争いでも予想外の候補が出て、他にもフランスのトランプと称されている女性候補ルペンさんもいて、何が起きても全く不思議ではありません。またオーストリアの大統領選挙も12月4日にありますが、こちらはすったもんだの末のやりなおし選挙です。
J.K. :ルペンさんも、移民・難民問題で過激な発言が目立っていますね。
藤代:ルペンさんはイギリスに続け!とEU離脱を表明しているので、彼女の台頭はヨーロッパ諸国の結束を弱める可能性があり、経済的にもデメリットが予想されます。そんな中行われるイタリアの国民投票は、その結果次第で、イタリアが通貨ユーロ離脱に向かう可能性が高まるので注意が必要です。
J.K. :今回の国民投票はどんな内容ですか?
藤代:現在イタリアの議会は上院・下院で権限が平等で、それだと審議が難航するので、憲法を改正して、下院の力を強めて「決められる政治」のための仕組みづくりをしようとレンツィ首相が提案したことの是非を問うもので、進退をかけるレンツィ首相の信任投票でもあります。ちなみにイタリアは短命政権が多く、戦後の約70年で63の政権があり平均すると1年半ももたないというのは、数年前までの日本の状況と似ています。
J.K. :今のところ、その国民投票の行方はどうなりそうですか?
藤代:まさに5分5分。ただし、レンツィ首相の提案が否決されると、「5つ星運動」という政治グループの存在感が一段と強まることになるので要注意です。最近、ロッジさんという美人ローマ市長を生んだことでも有名なこの政党は、ユーロ離脱など反体制的な主張を掲げているので、「ヨーロッパの分解」が意識されそうです。