藤代: おはようございます。今日は、トランプ大統領の誕生で俄かに注目を集めている1980年代のレーガン政権、いわゆるレーガノミクスを参考に今後の情勢についてお話します。ちなみに "アベノミクス"はこれをもじったもの。政策のパッケージも似ていない。
J.K.: レーガン大統領といえば、69歳という高齢で大統領に就任したこともあってトランプさんと比較されていましたね。
藤代: 実は経済政策も似ている。簡単に概要を説明すると、レーガン共和党もトランプ共和党も、大規模減税と規制緩和が政策の目玉だった。これは企業の収益力を高め、そこを起点に経済成長につなげようとの狙い。実業家出身のトランプ氏らしい発想といえる。今回、トランプ共和党は法人税を現行の35%から一気に先進国最低レベルの15%まで下げるとしているほか、規制緩和に取り組むとしていて、企業に優しい政策を打ち出している。
J.K.: アメリカをはじめ世界的に株が上がっているのは、そういう企業重視の政策が背景にあるんですね?
藤代 今の金融市場ではレーガノミクスを参考に取引している人も数多くいるとみられ、金融市場の動きは当時と似ている。実際、選挙の後、米国の長期金利が上昇している。選挙前に1.8%だったものが、今は2.2%。日本やドイツの長期金利が0%に近いので、投資家はこの2.2%の金利を求めて米国への投資を膨らませている。これがドル高・円安の背景。1980年代前半のレーガノミクスの時も似たような状況だった。
J.K.: 当時と同じなら、しばらく円安が続くということですか?
藤代: そうなら1-2年は円安が続く可能性が高いと思う。しかし、レーガノミクスの後半に目を向けると、かなりのUSD高となったため、アメリカの自動車・電気産業に大きな打撃を与えた。そのため、米国政府がこれ以上のUSD高は容認できないとして、プラザ合意という政治家同士の話し合いとなった。そして為替は1ドル250円が一年後には150円。現代は政治が為替を決めるということはないが、"プラザ合意再び!!"という連想が働き易いのも事実なので、為替は一方的な動きにはなりにくいと思う。