藤代:おはようございます。連休中でということで、今日は心理学と経済学を融合した「行動経済学」というものを紹介したいと思います。この分野は比較的新しいもので、非常に興味深い。数学や本来の理論では説明の付かない人間の行動について研究したものです。

J.K.:たとえば、どういったものがありますか?

藤代:ある人が1500円のTシャツを買おうとしていて、10分歩いた別のお店で、全く同じものが1000円で売っていることがわかりました。その人は10分歩いて1000円のTシャツを買いにいく。「10分で500円セーブ」です。

J.K.:私もそうします。

藤代:次に、別のケース。ある人が4万円でスーツを買おうとしていたところ、10分歩いた別の店で全く同じものが39500円で売っていることがわかった。カビラさんならどうしますか?

J.K.:40000円も39500円もあんまり変わらないから10分歩かないかも。

藤代:このケースでは多くの人がそう思うはずなので、10分歩いて500円をセーブする人は少数派。数値のうえでは、どちらも「10分で500円セーブ」なのに。このように人間はしばしば不可解な行動をします。これを応用して、企業経営、政策に活かそう、というのが行動経済学というものです。

J.K.:これ政策とかマーケティングに活用できたら面白いですよね?

藤代:以前にご案内した「103万円、106万円、130万円の壁」の議論はまさに行動経済学の応用が期待される。たとえば、130万円の壁というのは、130万以上稼ぐと社会保険料の負担が発生するというものだが、これは将来の年金が増えることになるので、必ずしも「損」だとは言い切れない。「なんだか損した気分になる」という心理的な面が大きい。心理面を改善する政策が重要。