RADIO SAKAMOTO

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ARCHIVE:201101

<今回は変則的に。前半は対談のみ、後半は音楽のみ。>

「はい、いきなりちょっと聴き慣れない、いつもこの番組でかからないような音楽がかかってますけど、えー今の日本の状況のそれからアメリカもですね、よきアメリカを体現していると僕は思う、このバート・バカラック先生の新譜ですね。『Blue Umbrella』というニューアルバム、その1曲目「BELLS OF ST. AUGUSTINE」。これを聴きました。もうなんて切ないメロディーなんでしょうか。あの、韓流ドラマのテーマになりそうな、もう超泣けるメロディーですよね。不肖私もバカラック先生大好きなんで、はい。もう90超えてるんじゃないかな。でもまだコンサートやってるとかって、本当にすごいですねぇ。」

「ということで、こんばんは。坂本龍一です。2カ月に一度お届けしているレディオ・サカモト、みなさんお元気でしょうか。今回の放送ですけどね、ど頭の音楽だけじゃなくて、いつもと雰囲気をがらっと変えまして、前半と後半に分けようかと思います。前半はゲストをおひとり、お迎えします。『人新世の「資本論」』という本を最近出版された、哲学者で経済思想家の斎藤幸平さんです。彼とね、たっぷり1時間トークをしますので、ほとんど編集なしでしゃべりっぱなしのものをお聴かせします。それから番組後半はね、以前からもう長いことやってみたかったんですけども、あの、これそもそも音楽番組ですよね。このレディオ・サカモトって、たぶん。どうなんでしょうか。なのでとにかく音楽をたっぷりかける、と。それで普通のAMやFMの普通の放送のように、いちいち音楽の紹介なんかも一切入れない。トーク入れない。ただ音楽をダーッとかける。ね、そういうことをやってみたかったんですよね。なのでここもおよそ1時間、どんどんとにかく音楽をかけますので、もちろんコーナーとかその他は、今回お休みということで、あとでWebサイトなどでプレイリストはもちろん情報は出しますので、とにかく聴いてください。もう音楽に浸ってくださいということですね。」

「まぁ、ちょこっとお知らせしますと、今年3月に2019年の活動をまとめたコンプリートアートBOX『Ryuichi Sakamoto 2019』を限定発売しましたが。 今年は、プロジェクト名を『Ryuichi Sakamoto | Art Box Project 2020』と改め、2020年の1年間の活動を収めるコンプリートアートボックスの、 第二弾の制作・販売が決定しました。えーもう予約をスタートしています。 詳細は、commmonsのオフィシャルサイトをチェックしてください。 今回のアートディレクション、これ毎回ねアートディレクターというかまぁディレクターを変えるんですね、なのでその仕様もどんどん毎回変わるという。今回はですね、「SIMPLICITY」というデザイン会社をやってる緒方慎一郎さんを指名しました。 えー今回の緒方さんのマスターコンセプトは「凵 (はこ)」です。もうひとつ、「記憶の断片」。 まぁ2020年特別な年になりましたよね。ということで、その2020年の記憶の断片をそこに入れていくという、そういうコンセプトです。」


■Ryuichi Sakamoto | Art Box Project 2020
https://shop.mu-mo.net/st/special/rsartboxproject2020/

「あとですね、もうちょっとだけ。えー12月12日、1212に、2020年最後のピアノコンサートをやります。ま、無観客配信なわけですけども。あのー生放送です。タイトルを言っておきますと「Ryuichi Sakamoto: Playing the Piano 12122020」。まぁそのまんまですね。これは 詳細はですね、高音質高画質のストリームのライブで、えーできるということで、そのテクノロジーを試すという意味もあるんですけども。MUSIC/SLASHのオフィシャルサイトを確認してください。 で、今回の演出がですね、あのRhizomatiksという会社の真鍋大度さん。真鍋くんが率いるRhizomatiksですね。撮影監督には、ニューヨークを拠点として活躍するZakkubalan。で、残念ながら、ちょっと限定的なんですけど、世界8つの国と地域で生配信します。本当はね、全世界全部でやりたかったんですけど、まぁいろいろな課金の問題とかいろいろあってですね、今回は限定8つの国と地域でやると。で、配信のプラットフォームは、そのニューテクノロジーであるMUSIC/SLASHを起用します。ということで、えーはい、どーんとトークと音楽でいきますんで、最後までお付き合いください。」


■Ryuichi Sakamoto: Playing the Piano 12122020
https://special.musicslash.jp/sakamoto2020/

<対談:『人新世の「資本論」』著者 斎藤幸平さん>

坂本「すいません、夜遅くに。」
斎藤「はは。いえいえ、大丈夫です。」
坂本「え〜と斎藤さんは、子供の寝かしつけはもう終わったんですか。」
斎藤「あ、今日は、そうですね、あの、早めに寝たので、9時前には寝たので全然大丈夫です、今は。」
坂本「よかったです。いつもこの時間に勉強ですか、自分の。」
斎藤「いやもうでも、やっぱ子供たちがランダムに6時とかに起きたりするので、割と最近は早めに寝るようにしていて、どっちかっていうと朝にやる感じですね。わりと最近11時ぐらい寝てるんで、まぁ、ちょっと未知のゾーンに突入する感じで(笑)」
坂本「じゃあ今日はすいません、遅くに。」
斎藤「いえいえ、全然。楽しみにしておりましたんで、ありがとうございます、声かけて頂いて。」
坂本「最新の著書も売れてるようで本当におめでとうございます。」
斎藤「ああ、お陰様で、もうほんとに推薦文も書いていただいたお陰で、セールスとしては絶好調というか、お陰様で。今もう6万部なので、かなり調子はいいですね。」
坂本「どうですか、取材とかいろいろなリアクションを感じていて、そのマルクスとか資本論に対するその危機感というか、そういうものっていうのは減ってますかね。」
斎藤「あ、意外にないかもしれないですね。」
坂本「ああ、そう。」
斎藤「まぁ若い子たちはもちろんないですし、僕もあんまりそのマルクスを全面に出さなくても、そのまぁコモンの話とかは……あとまぁ気候変動が大変で、これ経済成長と技術だけでは乗り越えられないんじゃない、みたいな話っていうのは、わりと何ていうんですかね、イデオロギーの問題というよりかは、もうわりとこう、皆さんが薄々感じている話なので、ああ、そこにしかもマルクス絡めるとこういう風に言えるんだーっていうみたいな感じで、わりとこうニュートラルに受け取っていただけているような気がしますね。」
坂本「若い子たちっていうのは……そもそもマルクスが知らないってことなんですかね。」
斎藤「そうそうそう(笑)、だからマルクスって誰みたいな、まぁ、名前は聞いたことあるけどー……みたいな感じから始まって、あ、意外になんか自分が思ってた日本の社会のこう、もやもや……違和感みたいなものとか、生きづらさみたいなものが、あ、こうやって分かるんだーみたいな感じで素直に受け止めてくれてるような気はしますし、なんか自分もアクション起こしたいなぁみたいな感想が結構SNSとかだとあるので、それがとても嬉しいですね。」
坂本「それはやっぱり背景にその温暖化がかなり加速してきて、まぁこの数年、えー水害や大型の台風なんかも起こり、また肌身で感じる気候危機ってのも、やっぱり若い人の方が敏感なんでしょうかね。」
斎藤「いや、本当そうだと思いますね。逆に、普通長く生きている人たちの方が、「昔はこんなじゃなかったかな」って感じるものなんでしょうけれど、でも若い人たちの方が、より自分たちの問題として、このままだと日本の気候、四季とかもなくなっちゃうし、更に言うとまぁ台風とか梅雨の集中豪雨とかも本当に大変なことになるんじゃないかっていう、避けて通れないですね。カリフォルニアとかも凄かったじゃないですか今年、山火事のやつとか。」
坂本「そうですね、はい。」
斎藤「もう本当に世界中でこういうのが起きてくると、やっぱり若い子達の方が、やっぱりこれはおかしいし、本当に今の自分たちのライフスタイルを根本から見直さないといけないし、その為にはやっぱりこのシステムそのもの、資本主義システムですけど、変えていかないといけないっていうのは、なんかそれが昔はね、正義の為とか、自分達のこう……イデオロギー、信条のためだみたいなそういうのが強かったと思うんですど。」
坂本「はい。」
斎藤「今回はやっぱり、もうそういうの関係なしに、さっきも言いましたけど。」
坂本「うん。」
斎藤「やっぱりもう、生きるためとか、もっと素直な感覚として、そういう議論っていうのも受け入れられるような感じになってきてるんじゃないんですかね。」
坂本「日本の歴史でいうと、ま戦前それから僕の世代くらいまで、戦前から続いてきた感じというのは……知識人がいて、知識人予備軍の学生がいて、知性としてマルクスなんかを読み、それでイデオロギーとしてそれを思想として今度受け入れ、それを実践するというような、あるいは実践もちろんしない人もいるわけですけど、そういう枠組みで、その知識人が例えば労働者階級をこう索引するみたいなリードしていくみたいな考えがどうも根強かったんですよね。何十年も長かったですそれは。まぁ、そこは何て言うのかな。その日本でいうとその明治以来、まぁ国を引っ張るものあるいはその、そういう反対反権力の勢力も、とにかくみんな一部の知識人たちを引っ張っていく、と。それはね学力の格差とかそのまま大学に行けるとか、そもそも普通の庶民は小学校を出て終わりみたいな人は……うちのおじいちゃんなんかもそうでしたけど、そういう人も多かったんで圧倒的なその知識差・学力差もあったので、まぁ、ある程度やむを得ないかなという気もするんですけど、それはもう完全になくなりましたね。今はね。かつてはね、マルクスを信奉していた僕より上の世代、あるいは僕の世代もそうですけど、信奉なんですよね、もうほとんど宗教に近い。」
斎藤「そうそうそうそう(笑)。」
坂本「絶対正しい的なね。だから、そのそれに逆らうやつはもう許さん、みたいな(笑)。」
斎藤「許さない、みたいな(笑)。」
坂本「或いはお互いマルクスを正しいと思ってるんだけど、その読み方がちょっと違うとかね、それからその戦略が違うとかってことで、みんなもうお互い殴り合ったりするようなね(笑)……ことが続いてたんで、もう本当消耗激しいんで、その、たくさんの人がそういう一部のラディカルな運動からどんどんみんな引いてしまったっていう、本当マイナスしかなかったと思うんだよ、はっはっ(笑)。」
斎藤「そう、だからなんか僕の世代としては、やっぱりそういう上の世代の失敗とか、それこそソ連も失敗しているから、まぁ、さすがにあまりナイーブにそういうマルクスは絶対に正しいんだ、マルクス主義こそが真理だみたいな(笑)……だからなんか、そういうのはあんまり、こう純粋には受け入れられないところがあるんだけれども、他方でじゃあマルクス全部捨てちゃおうとかってなっちゃうと、まぁ逆に90年代以降の、もう資本主義の中でやっていくしかない、大きな物語も全部捨て去って、もうこの中でやってくしかない……そうなってしまうと、それはそれでやっぱり30年間経ってみて、このグローバル資本主義がこれだけ広がってみて、まあそれを僕の本の中で “人新生” っていう言葉を使ってますけど、この人新世の時代を見てみると、もう本当にどう考えてもこれでは人類生き延びられないみたいな状態になってくる、と。でもそのときにもオルタナティブがないんですよね。この30年間あまりにもそういうのを捨て去ってしまった、ラディカルなものを全部のぞいてしまって運動もない、思想もない。でも今の時代にこそ求められているのってたぶん、もう一回そういう新しい価値観をラディカルな形で取り戻す……時代の転換点ってのは、まぁ今年は本当にたまたまコロナなんかもありましたけれど、気候変動という形でより深刻な危機がやってくる可能性は高いわけですから、そういうときにこそ、こういう思想なんかも使いながら新しい価値観、まぁ音楽とかもそうだと思うんですけど、いろんな形で私たちがもう一回、ある種のコミュニティとかネットワークみたいなものを自由な形で取り戻すっていうのは、重要な局面に差し掛かっているんじゃないかなって思いますね。」
坂本「齋藤さんの著書のその「人新生の資本論」というやつですけど、人新生っていうのはあまりなじみのない人も、もしかしたらいると思うので、ちょっと言うと、その英語のAnthropoceneの訳ですね、日本語訳ですね。人が起こす新しい地質年代というような意味ですけど。そのAnthropoceneの前に、holoceneという言葉が使われていて、ホロというのは、まぁホロコーストなんていう悪しき言葉、悪しきことがすぐ思い浮かびますけども、ホロっていうのはもともとギリシャ語のホロスから来ていて、英語でもほとんど近いにwhole……全部という意味ですよね。holoceneというのも、もう本当にすべてにわたって、すべてのこの自然地球環境にわたって、人類の活動によってアクティビティーによって、地質から何から生態系から種の多様性からすべて影響を及ぼして、まぁたくさんの種が絶滅しつつあるということを言って、それでも恐ろしい言葉ですね、holocene。Anthropoceneの方がまだニュートラルな感じもするぐらいですけども。何かオランダの化学の学者が使い出したとかっていう話ですけども、Anthropoceneの方はね。」
斎藤「パウル・クルッツェンですね。」
坂本「はい、そうですね。そのAnthropoceneっていうのがね、いつから……地質年代ですから、いつからいつまで、だいたい決まるわけなんですけども、かなりの学者も含めて、まぁ支持する人が多いということで、いろんな説がありますね。1万年ぐらい前の農耕革命から始まったんだとか。いや石器時代から始まったっていう人もいるし、もっと最近1950年代あるいはその年の原爆の実験のトリニティから始まったっていう人もいるようですし。あるいは、その炭素ってことを考えると産業革命、まぁ1800年より少し前ぐらいから始まった言う人もいるし、まだ全然意見は一致してないようですけども、とにかくその人間の活動によって……学者によってはね、もうすでに生物種の50%ぐらいが絶滅していると、地球の歴史からいうと、とんでもない短い間にものすごい絶滅が人間の活動によって引き起こされているという、現代を表した言葉だということです。すいません長くなりました。」
斎藤「あの、本当にそうで、いま坂本さんが仰られたような第6の大絶滅みたいな、種の多様性が失われるような事態も進行していて、これもアマゾンの森林伐採とか、もういろんな海面上昇とか、本当にいろんな事態が起きるようになってしまっていると。で、これをなんとか……止めることはできないのかっていう、そういうことを考えようとしているときに、今もう一つセットで論じられる概念に "プラネタリー・バウンダリー" っていう、地球の限界という概念があるんですけれども、要するにやっぱり自然にはいろんな限界があって、それを人間があまりにも越えちゃうと、不可逆的に急速な変化が起きてしまうと。だからやっぱり人間は、そういう1つの何らかの限界の中で生きることを学ばないといけない。これでも、当たり前のことだと思うんですね、僕は。地球ってどう考えても有限だし、人間のためだけでもないし、そこにいろんな生物もいて地球自体の複雑なシステムがあるんだったら、それをあまりにも壊したりあまりにも攪乱したりしてはいけないと。だけれどもこの30年間で本当明らかになった、あるいは人新生に特徴的な事態としてやっぱり資本主義っていうのは、とにかく膨張してありとあらゆるものを掘り尽くして、ありとあらゆるものを商品にして売りさばこうとするっていう……これ、無限の経済成長を有限な地球でやろうとするっていうのは、これもう小学生でもわかるようなすごい単純な事実なんですね。だけれども、私たち大人たちっていうのはそれをやめることができないし、それにどうやって果たしてストップをかけて、持続可能な生活システムに移行することができるのかっていうことを、想像することさえもできない……って、これは非常に深刻なんですよね。で、私たちが唯一想像できるとしたら、そのなんかのすごい技術を作り出して、自然をさらに管理支配していこう。でもそれが失敗してるから今みたいな事態になっているにも関わらず、私たちは更に加速する、さらに今まで通りのやり方を続けようという……ここにやっぱり今のやり方の限界、手詰まりがあるんじゃないかなっていうふうに思ってますね。」
坂本「ほぼだいたい、まぁ大きな文明……エジプト文明とか中国文明とか、ローマ帝国とか、大体その……ま、途絶えていきますよね。まあ、中華帝国はいまだに続いているとも言えるかもしれないけど(笑)、まぁエジプト文明も途絶え、かつてのローマ帝国の文明も途絶え、ほぼ大体ね、その周辺の森を全部伐採してしまってね。資源がなくなって終わる、終わったそうなんですね。エジプト文明があった時代はナイル川っていうのは非常に緑豊かな、生物多様性豊かな土地だったからこそ、たくさんの人が住んでたわけだけれども、それをどんどんどんどん資源を使っていってしまえば、もう終わってしまう。地球全体で森林がなくなって生きているとすれば、今このグローバルな地球文明、人間文明というものがそのまま終わると考えざるを得ないですね。でもただ、ぼーっと見てるわけにいかないので、僕も子供も孫もありますし、斎藤さんも小さな子どもがいるんで、その子供たちや孫たちが焼け付くような煉獄の中で、食料不足の中で、どうやって生きていくか分かんないような苦労をしてもらいたくないんですよね、僕たちはね、どうしても。なんとか僕らの世代で少しは、揺り戻しておかないと大変なことになると。」
斎藤「だから今のお話にもあったように、本当に今の私たちは、このままの生活を続けることで豊かな生活をしたい、もっと豊かになりたいと思う人もいると思うんですけれど、それを続けてしまうと、将来の世代……特に途上国の人たちなんかにはものすごい負荷をかけることになってしまう。自分たちがいい思いをするためだけに、そういうこれから生まれる世代とか、あるいは全然今の生活でいい思いをしていない途上国の人たちにそんな辛い思いをさせていいのかって言われると、やっぱりそれじゃいけないかなって思うと思うんですよね。この危機を結局、ほんとに最悪な事態になる前に止められるのは、いま私たちの世代……なんですよね。気候変動って不可逆的な変化が起きてしまうので、いま止めないと悪くなる、どんどん悪くなる。しかも始めるのが、対策が始まるのがどんどん遅くなれば遅くなるほど、さらに悪くなってしまう。別に悲観的になってもいいんですよ、悲観的になっちゃう人もいると思うんですね。こんだけもう人間ってのは愚かだし、止まらないよって言う人もいるかもしれない。だけれど、悲観的になったってやっぱり少しは止めようとみんなが努力しないと、さらに悪くなっちゃうわけで、楽観的な何か希望があると思う人も悲観的な人も、みんなでも、とにかく最悪の事態だけは避けるために……悲観的な人ってそこには同意してくれると思うんですね、最悪な事態を避けるためには、やっぱりいま私たちができることを、必死でやる必要がある。じゃあそのときに何をすればいいのか……やっぱりその、今日本では環境問題に取り組みましょう、気候変動問題に取り組みましょうって言うと、「いや、なんかそういうのをやると貧しくなるし、いろんな制限が出てきて嫌だなー」と思う人たちが、実は日本人ってすごく多いという調査結果があるんですね。世界では、むしろ環境問題に取り組むことで、私たちの生活は豊かになるっていうふうに考える人たちが、だいたい6割から7割ぐらい平均でいるんですけど、日本は貧しくなるって考える人のほうが6割近いんですね。だから間逆なんですよ。それだけ私たち日本人の生活しているマインドの中に、やっぱりこういう消費主義的な文化、コンビニも24時間あいてて何でも年中無休で、いろんなファーストフードとか食べ放題とかいっぱいあって、飲み屋も開いてるみたいな。あれが豊かさだっていうのが、根付いてしまっているわけですね。だけれどもそれは実は貧しいんじゃないか……私たちはそういう24時間のものを支えるためだけに、私たちは同時にものすごい働かされてるわけですよね。自分たちがそういうサービスを受け取るためには、逆に言うと私たちもものすごく働かなきゃいけなくなって、家族との時間もない、友人と家で会ってパーティーをしたりする時間もないし、読書や趣味の時間もない。これでさえ人間らしくない生活で、むしろ私たちはスローダウンすることで、例えば労働時間を減らしたり、むしろお金を使うんじゃなくて、例えば公園に行ったりとか図書館に行ったりとか、まぁギターを弾いて歌を歌ったりとか、そういう生活をすることの方がある種の豊かさになっていく。でもそれを実現しようと思ったらもっといろんなところに公園もなきゃいけないし、図書館もなきゃいけないし、お金がなくたって人々が集まれるような場所がなきゃいけないし、あるいは労働時間なんかも短くしていったほうがいい。それすると同時に私たちは限りない消費をすることで、まさに地球を破壊しているわけですから……実は、地球にも優しいし、こう新しい形の豊かさ、これを僕は本の中で "ラディカルな潤沢さ" って呼んでるんですけれども、今の資本主義って何でもお金がないと手に入らないので非常にあらゆるものが希少になっちゃってるんですよね。希少だからお金を払わないといけない。でも無料のもの……これを本の中では "コモン" 共有財、みんなでシェアするもの……共通のもの、シェアするものという意味でコモンという言葉を使っているんですけど、このコモンの領域をいろんな形で作り出すことができるんじゃないか。そうすると、必ずしもこういう消費主義的なプレッシャーに囚われずに、豊かで楽しい生活ができるような余地っていうのが広がってくるんじゃないかなって。そのコモンの広げていくと、コモンに基づいた社会ってことで、"コミュニズム" になっていくわけですね。それが実はマルクスが言っていた、脱成長型のコミュニズムだという話ですよね。」
坂本「うーん、本当にそうですね。」

坂本「コミュニズムって、あの日本語だと明治で共産主義というふうに訳されちゃったんですけど、まあ本当は "コモン主義" なんですよね。」
斎藤「そうそうそうそう。」
坂本「まぁ、コミューン主義というか……コミューンってなんだっていったら簡単な話、共同体ですよね。村でもいいし街でもいいし、人が集まって住んでいるところがコミューン、コモンですよね。空気が、まだ僕たちタダで吸ってますけど、お金払わないで吸ってます。まぁ、一部酸素吸入とかありますけども。水はもうすでにお金払ってますね。土地はお金を払いますよね……ここ勝手に住んじゃおうっていっても、排斥されるわけで。そういう運動はあの、ヨーロッパを中心に70年代から勝手に人ん家に住んじゃおうっていうのが流行っている(笑)」
斎藤「スクワットのね、運動がね。」
坂本「日本だとあんまり流行ってないんですけど、そういう歴史はありますけど。とにかく土地にお金を出すのは当たり前だ、土地に値段があるのは当たり前だ。水は買うものだ、っていうような感じになってきてしまっているけども、もともと水は共同耕作地みたいなのがあって、共有地がある。これは日本に限らず、もともとイギリスやどこにもあったんですけど、ゲルマン民族なんかがほとんど共有地だけだったようですけどね。個人所有者はそういう観念がなかったようですけれども、まぁそういう世界だったわけですね。その前の僕らの先祖の狩猟採集民になると、獲物がたくさん集まるところに勝手に行ってどんどん住んじゃおう。そこで獲物がもう来なくなったら、次のところへ移動してしまうと。そこで1カ月滞留するんだったらいくらよこせ、なんていう人もいなかったわけですね、昔は(笑)。今やったらそう言われちゃいますよね、公園に勝手に住んだら……まあ、災害の時以外は勝手に住んだ怒られちゃうと。だけど19世紀末に、完全にその白人によって抑え込まれたネイティブアメリカンの……シアトルの酋長とかね、今のシアトルという町の名前がついている従来の酋長がいたんだけど。その酋長が言っているのは、ネイティブアメリカンにとって土地っていうのは母なる大地だから、母に値段をつけることはできない、と。それは当たり前の感覚だと僕は思うんだけど、ところがもうその19世紀末には当然、白人側はここは幾らだとか、誰の所有だとか。もうそういう法的な契約の観念で支配しようとした……それに対して、それはもう意味がわからない、と。母に値段をつけたり線を引いていたり区切ったりする、そんなことができるはずないと。僕はね、その話をずいぶん前に読んで、本当に納得というか、そういうもんだと思うんですね、本来は。19世紀なんか、たかだか100年ちょっと前じゃないですか。その白人に支配されるときまで、そこもアメリカという大きな土地に住んでいた彼らの共通の観念だったわけで……そんなに古いものじゃないんですよ。この100年150年ぐらい、世界中ががらっと観念が変わってきて、何でも値段をつけて、切り売りして、お金に換える、と。資本主義の暴走っていうんですかね、これがまぁ止まらないで……あと残ってるのは、空気ぐらいですかね(笑)。」
斎藤「だからそう考えると、本当に世界でお金持ちが26人がビル・ゲイツとかザッカーバーグとかジェフ・ベゾスとかそういう人たち26人が、下から半分の37億人とかそれくらいの人たちの持っている富と同じ富を持っているっていうことですよね。で、この間、コロナで多くの人が苦しんでいるわけですね。失業したり医療費が払えなかったり、いろんな問題が出てきている中で、今そういった富裕層たちっていうのは、さらに富を何百兆円という規模で、全体で見ると増やしているっていう……そういう状況になっている。多くの人たちが苦しんで貧しくなっているにもかかわらず、そこを利用して。じゃあもっとアマゾンを使ってください、みたいな形でそこを囲い込んでいって、じゃあ今度はワクチンも囲い込もう、なんでも囲い込もうって、どんどんどんどん私たちの生活ってものが資本によって侵食されていってしまうことで、貧しくなってるんだという認識が、でも今回のコロナで浮かび上がってきていると思うんですよね。だったらもう一回……それは私がよく誤解されるのはこう、コモンとかコミューンみたいな言葉を使うと、なんか昔に戻るみたいな、技術とかも全部捨てて過去に戻ろうみたいな、ある種のロマン主義的なものとして誤解されることがあるんですけど、そうじゃなくて、今使ってるいろんな技術はあるけれどそれはむしろもう一回、自分たちで取り戻そう、いま独占されちゃって囲い込まれちゃってるものを解放して、みんなのために使ったらいいんじゃないか。こんだけいろんなものが発展してるんだから、みんなのために使えるようにすると、むしろ私たちは必ずしも経済成長だけを追い求めなくても、豊かになるチャンスは……庶民は豊かになる、と。1%あるいは0.1%の人たちにまず、ちょっと責任を取ってもらおうじゃないか。そうしたら環境も良くなるし、持続可能になるし、多くの人たちの生活も不安定なものからより豊かで安定したものに変化していく可能性っていうのは、十分あるんじゃないかなと思ってるんですよね。」
坂本「うーん、本当にそうですね。具体的に現代の我々の生活の中で、どうやってそのコモンを共同管理していくことができるか、なんか具体的な例はありますかね。」
斎藤「そうですね。やっぱり最近では、面白いのはパリの水道の再公営化とかの事例から学べると思うんですけれど、日本は一応まだ公営化されたままで、いま民営化した法律ができたりして、これからいろんなところが水道民営化されちゃう可能性があるわけですけれども、パリは本当にすごいのは公営化して……そもそも民営化されてしまったことで、結局その水道料金も上がってしまったりだとか、あるいは水道料金の事業で上がった利益っていうのが、どういうふうに使われているかというのが全然市民には分からない、と。で、むしろ水質を管理したりする人たちの雇用も不安定になっていたり、いろんな問題が起きてくる中で、じゃあやっぱり再公営化した方がいいんじゃないか……で、再公営化することで、市民の代表が水道の会社の経営に入ることができる。そうすると市民の意見が採用されるわけですよね。例えば、利益が上がったとすると、じゃあこの利益をどう使うかというのを単に株主に配当しますという話じゃなくて、人々の水について……なんで水が大事かって教育に使いましょう、あるいは町中でペットボトルを使わなくても、どこでもマイボトルさえ持っていれば水を汲むことができるウォーターサーバーみたいなの設置しましょう、と。これってある種の無料な水へのアクセスを万人に保証するという意味では、水のコモン化なんですよね。さっき坂本さん、水ももう無料じゃないとおっしゃっていましたが、確かにペットボトルの水はもう無料じゃないんですけれども、そういう町中にあるウォーターサーバーっていうのがあれば、例えばホームレスの人であっても水にアクセスができるし、あるいは普通の市民の人も、わざわざペットボトルのミネラルウォーターを買わなくても、そのウォーターサーバーを使えばいい。そういう形である種、これ、水だけじゃなくて電気でもいいわけで、市民電力みたいなの作って、原子力みたいなこう一部の資本が独占してしまうような危険なエネルギーから、むしろ分散型の太陽光パネルを市民の人たちが共同出資してみんなで管理して、自分たちの持続可能なエネルギーを自給自足していくみたいなそういうモデルって、多分ドイツとかデンマークとかですごい広がっている……いま日本でも少し出てきてますけれど。それも電力のコモン化。だから、いろんな生活に必要なものを、お金を必ずしも使わないでも利用できるようにしていくって試みは、結構いろんなところで出てきているのかなというふうな気がしていますね。」
坂本「素晴らしいと思うんだけど、それをするためには、その市民の力っていうのかな……いわゆる民主主義的な市民のパワーってのがすごく必読だと思うのね。そもそも民主主義体制でないとそれは不可能だし、あるいは日本のように形式だけ形だけ民主主義で実は根付いていないようなところで、なかなかそういう市民の意識もそういう風に向かない……ならないし、実際に力にならない。どんどん情勢とか、上の言いなりになってしまうというようなことで、その逆にコモンを取り戻そうと思った民主主義も鍛えられていくというか、本物になっていけるような気がしますよね。なんか、一挙両得というか。」
斎藤「そうなんですよ。だから今の日本というのは、いわばあまりにもそういうもともとあった地域の共同性みたいなものとか、社会的な連帯みたいなものが解体されてしまって、みんなが単なる消費者になっちゃってるんですよね。消費者になるというのは、お金があれば便利なわけです。電気もスイッチを押せばいつでもつくし、水道だっていつでも捻れば出てくるし、何でも手に入るわけですけれども、私たちはそれをやり過ぎた結果、もう無力な消費者になってしまっているということですよね。もう与えられたものを、ただただ買うしかない。そういう状況になってしまっているっていうのは、実は非常に危険で……で、この本の最後で、もしかしたら3.5%の人たちが本気で動くと、社会は実は大きく変わるんだという話を書かせていただいているんですけど、実は今も3.5%ぐらいの人たちはすごい本気で取り組んでいると思うんです。これほど消費主義が根付いてしまった日本でも、やっぱり3.5%くらいの人たちは民主主義に向けて頑張っているんじゃないかと。でも今はそれがバラバラになっちゃってるけれど、今回それで、あ、実はこの島とこの島と近かったんだって気がついてくれたら、もう一回大きなうねりが徐々にでも出てくるんじゃないか。で、そうしたらこれが、それに刺激されて若い子たちも加わってくるんじゃないか。最初の話で言ってた、気候変動おかしい資本主義おかしいと思っている若者たちも、加わってムーブメントにしていきたいなというふうに思ってます。」
坂本「うん、なるほど。そうですねー、面白い数字だな、3.5というのは(笑)」
斎藤「あ、でも今日、逆に聞きたかったんですけど、いまアメリカとかってそのZ世代の活躍が今はすごいじゃないですか。もちろんそういうトランプのポピュリズム的なものとかはあるけれど、ここまでああいうブラック・ライヴズ・マターも含めて、まぁ気候変動と運動も含めて盛り上がっているっていうのは、これある種3.5%……若い子たちって人数としてはまだ少ないけれど、本当にそういう3.5%的な形で、大きな社会に変化をもたらしているのかなという感じなんですけど、どうですかね。」
坂本「まぁニューヨークとかはアメリカの中では特殊なところだけど、3.5よりは、はるかにいる感じしますよ。」
斎藤「そうかそうか(笑)、すごいですよね。」
坂本「既に。この世代が……少し、あと10年して上にいくと、アメリカ社会は変わるのかなー、だけど、まあ、あっちのポピュリズムの方も本当に手強いんで、僕はあのちょっと不穏な言葉ですけれど、もほとんど内戦に近いと思ってんのね。」
斎藤「あぁ。」
坂本「あのー、で、特にポピュリズム側は、white supremacist側は、その機関銃とか銃とか持ち出して、今度の大統領選でもその投票所の前に銃を持って並んでるみたいなことが行われているようなので、アメリカの民主主義の根幹が揺らいでいるっていうところがありますよね。だから本当に、夏前から夏を通して、ずっと ブラック・ライヴズ・マターで、本当にたくさんの人が路上に出て、その多くは白人の若い世代だったわけですけど、まさにZ世代ミレニアル世代だったんですけど、ここまで大きな問題になったけども、そのなんて言うのかな……対立構造は、なかなか解消しない。もっと最悪になっていく……ことも予想されるので、本当にアメリカも危うい感じがしますねえ。」
斎藤「まぁ確かにこう、逆に言うと、さっき坂本さんもおっしゃったみたいに、これから10年20年というスパンで考えると……これから下の世代なんてさらに気候変動とか格差が激化していく社会で育つわけですから、言ったらさらにレフトになる可能性も十分にあるわけですよね。で、今のZ世代たちがリーダーになっていく…… アレクサンドリア・オカシオ=コルテスが大統領になるかもしれない、そういう未来が待っているとすれば、むしろ、いま50代とかの人たち企業を牛耳ってる人たちっていうのを含めて、そういう未来はもうすぐあと10年20年先には待ってるんだっていう風に見据えて動いた方がいいんじゃないか。で、そうなってくると社会って本当に10年20年で大きく変わるような気はしてるんですけどね。楽観的すぎますかね。」
坂本「いや、そんな可能性も十分にあると思います。ただ何年か前の代表選からサンダースが若い世代に支持されたっていう背景には、ひとつはアメリカの大学の学費の高騰、これが大きい。あとは医療費かな、アメリカだと本当に医療費が高いので、国民皆保険がない先進国ですから、金持ちしか医療が受けられないみたいな。だからアメリカでこの数十年、その健康志向っていうのかな……ヨガやったりビーガンになったり色々するっていうの、1つは病気になったら終わりだという非常に危機意識っていうのかな、現実的な危機意識があるんです、もうね。なので病気にならないで健康を保つと、そういうことが大きく背景にあると思いますね。でそれは、原因がなくならない限り、格差が増大していますから、今後も続くでしょうね。」
斎藤「そうなんですよね。だからそれでみんなローンがあるからといって、じゃあお金は稼げる仕事に就こうってなっていくわけですけれども、それは例えばコンサルタントだったり、マーケティング業だったり、顧問企業弁護士だったりするんですけど。まさにそれがデヴィッド・グレーバーの言う、社会になくなったとしても誰も困らないようなクソみたいな仕事……ブルシット・ジョブなわけですよね。だから資本主義っていうのはそういう意味でいうと、実はそうやって借金を負わせて人々を労働させるわけですけれども、もう実はあまりにも豊かになってしまっているために、もうそういう意味のない仕事を作り出して、人々をとりあえず働かせておくしかできない。でもそれってすごいメンタルヘルスにとっては良くないわけですよね、自分で意味がないと思っている仕事、あるいはこれは環境に悪い、人々のあまり役に立ってないと思うような仕事を、人生の40年くらいずっとさせるというのは、本当は犯罪的な行為なわけですよね。」
坂本「人格のない資本主義側からみても、その意味のない労働をさせて、まあ分捕るという……もうほぼシステムとしては終わってるというか、意味のないことをやり続けているんだとしか思えないですよね。でもそれはやっぱり回転を1回、止めるしかないのかな、という気がしてきますよね。」
斎藤「そう、だから少なくとも今まで通りのやり方を続ければ良くなる……これ20世紀はそうだったと思うんですよね。やっぱりどんどん豊かになっていくし、どんどん技術も発展してクーラーだ、テレビだ冷蔵庫だなんだって、どんどん新しいものが出来てきたけれど、まぁやっぱり今になってくると、なかなかiPhone以上のものここ10年ぐらい出てこないし、で、地球環境だけはますますひどくなっていくという。そういう状況になると、少なくとも今までの常識、今までのモデルっていうのは通用しなくなってくる時代に。私たちはこの2020年代に入っているという風に考えて、その第一歩が今回のパンデミックだったと思うわけですけれども。」
坂本「まぁ資本主義っていうのはもともとはその、あるものを他の場所で運んで時間がかかるのも、その時間の差とか、そういうことを利用して利益を得ていたと思うんだけども、地球全体がですね、もう開拓されてしまうと、もうそのどっかに出ていく空間がないということで90年代に、仮想空間、ネット情報空間、新しい市場を人工的に作ったわけですよね。で、これがまた飽和時代になっちゃって、ネット空間がほとんどゴミみたいなことになっちゃって、こうやって僕らは利用しているわけですけれども、非常に不毛な空間になりつつあると。また時間的にもどんどんどんどん、テクノロジーでほとんど電子の速さまでこう開発して、時間の差で稼ぐことがだんだんできなくなった。あとは宇宙開発とか、残されたその開拓地っていうのはほとんどない状態ですよね。」
斎藤「そうだから、人新生っていう時代はまさにそういう外部が完全に、もうなくなってしまったってことですよね。この有限な地球において、外部を見つけてそこの差異を儲けのきっかけにしてきた資本主義というのが、あまりにも行き過ぎた結果、地球全体がもう人間の活動によって覆われてしまったのが人新生だとすれば、もう……ないんですよね、その外部が。そうすると、もういろいろな矛盾っていうのが今までは外部にも転嫁できたんだけれども、それが自分たちのところに跳ね返るようになってきている。その最たるものがカリフォルニアでいえば山火事だし、日本でいえばスーパー台風なわけですけれども。」
坂本「コロナもそうです。」
斎藤「コロナもそうそう、本当にそう。」
坂本「そういうことをなんか感情的に言っているみたいだけど、ちゃんとネイチャー……科学誌のネイチャーに論文が発表されて、森林破壊と種の絶滅がパンデミックの発生のリスクを高めるという論文はね、ついこの間……8月か、出たばっかりなんで。まぁ科学的にも実証されているわけですよね。」
斎藤「だからそうするとやっぱり、今までのこの生活は続けられない。僕はやっぱりそれじゃダメだと思うし、今の私たちはそうしない社会を作ることができる能力があるし、責任があるというふうに考えれば、やっぱり今アクションを起こす必要があるし、それはチャンスにも……最後のチャンスにもなるんじゃないかなって思ってます。」
坂本「そうですねえ。もう、ほとんど最後のチャンスですよね。ここでなんとかしないと……という感じで、まぁあの、そろそろ時間かな、たっぷり話したかな。いやーありがとうございました。」
斎藤「いえいえ、はい(笑)」
坂本「まだ読んでない人は、ぜひこの斎藤幸平さんの「人新世の『資本論』」をね、ぜひ読んでください。僕も周りの友達にたくさん薦めていて、読んだ人は本当にすごい熱いリアクションをしてくるんで。まだまだたくさんの人に読んでほしいですね。」
斎藤「ありがとうございます、本当に。」
坂本「すみません遅くまで、たっぷり話を聞くことができて。こんなに長い時間、話だけで突っ走るっていうの、この番組では珍しいので。」
斎藤「あ、本当にこんなわざわざ私ごときのために、貴重な時間をいただいてありがとうございました。」
坂本「というわけで、本当にありがとうございました。」
斎藤「ありがとうございました。」


■『人新世の「資本論」』著者: 斎藤 幸平(集英社新書)
https://shinsho.shueisha.co.jp/kikan/1035-a/

<坂本龍一:プレイリスト「radisaka 2020」>

番組後半は、トークなし、今回のオンエアのために教授が選曲したプレイリストを1時間にわたってオンエアしました。全曲リストはこちらです

<次回のオンエアは、2021年1月3日。>

「坂本龍一がお送りしてきました、レディオ・サカモト。さて、そろそろお終いです。今回は内容をですね、大幅に変更して変則的にお届けしましたけれども、どうでしたでしょうか。えー、感想などね、こういうやり方がいいんでもっとやれとかね、いや、いつものように普通にもっとトークをしろとかね、いろいろ意見はあると思うんですけども、ぜひ感想を聞かせてください。」

「で、ですね、次回はですよ、いよいよもう(笑)、来年ですね。2021年1月3日だそうでね。1月3日……三が日ですねえ、新春ですよ。その頃、僕はどこで何をしているんでしょうかって、まぁ大体分かってはいるんですけどね。皆さんは、やはり家で、おせちとかお雑煮とか食べているんですかね。もうだんだんこう、最近の日本の正月も短くなってきてね、2日や3日ぐらいからどんどん外に出るように。昔はですねやっぱり、えー5日間あるいは1週間ぐらいはですね、お正月気分でぼーっとしてたもんですけど、僕の子供の頃はね。ちょっと世知辛くなってきましたよねー、でもやっぱり日本のお正月は良いので、ほぼ毎年、暮れ正月は日本で過ごすことが多いですね。皆さんも本当にのんびりできるといいですねえ。えーとそう、3日の放送はですね、デモテープ・オーディションのスペシャルを予定していますので、今年最後に応募していただいた方たちは、来年審査しますので、今回の番組はなかったのでね、少しお待ちください。ということで、お時間がある方は、12月12日、「Ryuichi Sakamoto: Playing the Piano 12122020」でお待ちしています。」

「皆さん、本当にコロナ疲れもあるでしょうけど、本当に元気で。STAY SAFE, SAFE&HEALTHY。坂本龍一でした。」

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