TDK VOICES FROM NIHONMONO
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旅するにほんもの

山形 ほうれん草 柴田吉昭さん

日本の本物とその作り手の声ご紹介するTDK VOICES FROM NIHONMONO。  
 
今週からは、中田英寿さん山形県の旅の模様をお届け。

今回は、根本の部分が赤い「赤根ほうれんそう」を作られている山形市の農家、柴田吉昭さんにお話をうかがいました。

ほうれん草というのは、西洋種と東洋種で大きく2種類に分けられます。
西洋種という小松菜ぽくて丸い葉っぱ、そして赤根ほうれんそうの東洋種はギザギザの剣先葉。赤根ほうれんそうは元来昔からある野菜で、130年ぐらい前にはこの地域に当たり前にあった歴史が長い野菜なんだそう。

ほうれん草は雪の下では垂直に立っているような形ではなく地面に寝ているような形になっています。しかも茎がしなやかで強く、ほうれん草の上に雪が積もってもその重みで折れない。

そして雪の下で育つという特徴に加え、赤根ほうれんそうのもう1つの特徴は糖度が18度ほどあるという「甘さ」です。特に根っこと茎のつけ根のちょうど真ん中が1番甘く、「ほうれん草が自分たちの子孫を残そうと、芯の部分にデンプン質を糖分に変えているのでは?」ともお話されていました。

山形県鶴岡市のイタリアン「アル・ケッチャーノ」の奥田シェフも、
あまりの糖分のすごさに驚いて、それから赤根ほうれん草のいろんな料理を考えてきた、とおっしゃられていました。

赤根ほうれんそうの栽培で大事なのは、間引きをすること。土づくりについては、もともとの土壌にあっているようで3年に1度、堆肥を与えるくらいだと言います。

赤根ほうれんそうを作っている生産者はこの地域で10軒ほどなんだそうですが、なかなか規格をあわせるのが難しく まとまった量の出荷ができません。さらに、ほうれん草は重さは軽いんですが体積が大きく、輸送するのに コストもかかるため柴田さんは県内だけの出荷にとどめているそうです。

残り20年はやり続ける、という柴田吉昭さん。気候変動や様々な値段の上昇など、大変なこともありますが守っていきたい、「意地でやっている」というコメントも。
息子である航さんからは、「じいちゃんが死ぬ前にちらっと続けてほしい、ほうれん草を守ってってもらいたいみたいなことを言っていて。お父さんがいるうちにちょっと勉強してって、いずれはやりたいとは思っている。」と吉昭さんが初めて聞く思いも聞かせていただきました。

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