TDK VOICES FROM NIHONMONO
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旅するにほんもの

山口 硯 玉弘堂

日本の本物とその作り手の声ご紹介するTDK VOICES FROM NIHONMONO。
 
中田英寿さん山口県の旅。

今回伺ったのは、山口県下関市。
山口県下関市で硯を作る、「玉弘堂」の堀尾信夫さんにお話をうかがいました。

山口県は日本を代表する硯の産地のひとつで、下関市や宇部市で硯が作られています。ただ、現在も下関市内で硯を作っているお店は「玉弘堂」一軒のみとのこと。

信夫さんのお父様、堀尾卓司さんは、彫刻の技術にも優れ硯の職人として有名な方でした。
その後を継いだ、堀尾信夫さん。やりがいは、日本伝統工芸展に参加して入賞したこと。「伝統工芸展がなければ、ここまでエネルギーが続かなかったかもしれない」とも話されていました。今は、今回の取材に同席いただいたお弟子さんの高原さんと一緒に暮らされています。

硯の制作工程は、仕入れた石を硯の大きさにして、形を作り磨いて表面をなめらかに。そして漆によって表面を保護するということなのですが、手作業でおこなわれるため時間がかかり、作れるのは1年に100個ほどなんだそう。

堀尾さんが作っているのは、「赤間硯」あるいは「赤間関硯」と呼ばれる硯です。
「硯」と聞いて、まずイメージするのは「黒」だと思いますが、ここでは「赤色頁岩」という今から1億年ぐらい前の火山の噴火の火山灰等が水の底に堆積して、圧力と熱ある程度の熱が加わってできた石を使用しているため、赤っぽい色をしています。

赤間というのは、 この地域の名前。
元々はこの地域で取れていた石でやっていたので、「赤間硯」ということになります。

今では材料の石を地元で取っている産地はほとんどないという中、赤間では今でも穴を掘って石を取り、その石で硯が作られています。その石を使うことで、なめらかな墨のおり方がする、とのこと。
ですが、石を取ってくる仕事をしている所が1軒しかなく、そこが辞めたら自分たちの仕事も終わりだとおっしゃっていました。

パソコンの発達や筆ペンができたことで、やはり硯にも影響が。「墨をするその気持ちと、墨の色や香りとかっていうのを楽しむための墨すりでもあった」という堀尾さん、ですが書けばいいとなっている現状に。

厳しい状況で後悔も少なくないという、そんな中での幸せは「作品作る時のワクワク」だといいます。
「これからこの石がどんな形になるんだろうっていうそのワクワク感があってものを作る。 」とお話しされていました。

https://akamagaseki-suzuri.jp

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