TDK VOICES FROM NIHONMONO
TDK VOICES FROM NIHONMONO

ARCHIVE

旅するにほんもの

福井 越前打刃物 黒サキ優さん

日本の本物とその作り手の声ご紹介するTDK VOICES FROM NIHONMONO。

中田英寿さん福井県の旅。
越前市で刃物を作っている職人・ 黒サキ優さんのお話をうかがいました。

(黒サキ優さんの「サキ」は正しくは「立さき」になります。機種依存文字として認識されないのでサキをカタカナにしております。)

水がすごく綺麗なところ・そして働きやすい環境から、古くから工芸や刃物づくりが盛んだという越前市。
刃物も「越前打刃物」という約700年もの歴史を持つ技術が今も息づいています。

そこで作られている刃物の特徴は「薄くて、よく切れる、すごく丈夫」。多くの料理人から注文が多く、世界からも愛されています。

ご自身の工房を持ち、「黒サキ打刃物」を展開する黒サキさん。
包丁に一生入る名前に憧れて、現場の親方の姿を見てかっこいいと感じて この業界に入りました。

全く知らない状態から入って、親方が鍛造したものを仕上げるという作業を8年。
音もうるさい、火傷もする、それでも続いたのは「ものづくりが好きだったから」だといいます。

越前打刃物の工程は全部で20ほど。非常に集中力が必要なので、1日に造ることができる包丁の数は なんと3本。鍛造・温度・焼入れ・とぎ。これが全部重なって、やっと切れ味がよく長切れする包丁ができます。

刃物づくりのために最高な材料を提供している「武生特殊鋼材」という会社が近くにあること、そして作業するのが難しく他にやっている人がほとんどいないというステンレスの鍛造を行える技術、黒サキさんが世界から愛させている理由の1つかもしれません。

黒サキさんの包丁は色んな包丁の形や柄の種類が多く、黒檀を使ったシックなものからアジアで人気だという派手なものまで様々なものが作られています。もちろん食事の種類によっても包丁の大きさや種類も違います。

実際に黒サキさんの包丁を使用している「鮨 さいとう」の斉藤 孝司さんは、
「実際に工房に行って店頭で見た瞬間一目惚れ。お客さんに見てもらうという面でいくと黒サキさんのはやっぱり群を抜いて格好良かった。」と、その美しいデザインの魅力を語っておられました。

越前打刃物の会社が集まる「タケフ ナイフビレッジ」には、職人を目指す若手が30人ほど いらっしゃいます。そして黒サキさんのところにも、現在はお弟子さんが2人。
自分の師匠ではない別の親方にも技を教えてもらうことができるその場で、2人がしっかり成長することが黒サキさんの夢だといいます。

ARCHIVE LIST

TOPに戻る