2022.12.04 ON AIR
日本の本物とその作り手の声ご紹介するTDK VOICES FROM NIHONMONO。
中田英寿さん福井県の旅。
紙の神様が祀られる「岡太神社・大瀧神社」がある、通称”和紙のふるさと”で和紙問屋を営む株式会社杉原商店・代表の杉原吉直さんのお話をうかがいました。
大正時代に建てられた築100年の蔵を改築した和紙ギャラリー兼ショップ「和紙屋」。
和紙の原料となる こうぞ、みつまた、がんぴが並ぶ店内で、和紙の始まり、これまでの経緯、そして未来のお話をたっぷりとお聞きできました。
1500年前に中国から伝わった製紙技術。
当時は古くなった麻をから紙を生成していましたが、麻から紙になるまでには時間がかかりすぎるという点が問題視されていました。
仏教を全国に伝えるために用いられた紙。大量の紙が必要となった平安時代には現在に伝わる植物繊維が生成技術に用いられるようになっていきます。
20年ほど前には地域一帯で100億円の売上があったといいますが、インターネットの普及、生活様式の変化から現在は30億円を切るように。
杉原商店では、パソコンのプリンター用の紙を生産するなど工夫をしてきましたが、最近では建築用の素材としての和紙に注力。
六本木ヒルズ・森タワーに入っている森ビル本社の内装に使われたことをキッカケに、国立競技場、さらに最近では日本酒の酒蔵「黒龍酒造」がオープンさせた複合施設「ESHIKOTO」でも内装として採用されました。
最近ではニーズに合わせ、ポストカードやレターセット、ブックカバー、iPadカバーを手掛けるようになったという杉原商店。
代表の杉原吉直さんが見つめる未来とは?
「やっぱり僕はこの和紙の産地、越前和紙があるから生きていける。まずは産地が生き残っていってほしいんです。」
「和紙の魅力は、アナログなところじゃないですか。人と人をつなぐ。人がつくったもののぬくもりが、人と人をつなぐ。メールの時代だけど、そこに1通でも手書きのものが届いたら『わざわざ書いてくれたんだな』と伝わる。和紙は、人と人をつなぐ。だから和紙はなくならないと思っているんです。」