2022.09.18 ON AIR

滋賀 穴太衆 粟田純徳さん

日本の本物とその作り手の声ご紹介するTDK VOICES FROM NIHONMONO。

中田英寿さんが、お城やお寺の石垣をつくる職人・石工の粟田純徳さんを訪ねました。

粟田さんは滋賀県大津市の粟田建設という会社の代表を務めており、この地域にルーツを持つ石の職人集団
「穴太衆」の15代目の頭です。

穴太は地名で、「あのうの人たち」という意味で「穴太衆」になります。戦国時代に城を作るため各地の武将達から
重用された穴太衆が滋賀県に存在し、今もその技が引き継がれています。
ちなみに穴太衆は免許制度。この地に帰ってきて修行してからでないと穴太衆は名乗れなかったそうです。

戦国時代は各地の武将が穴太衆に石垣づくりを頼み、全国のお城の7〜8割は穴太衆が手がけたんだそう。

延々と小さいぐり石を手でつめていく地味な作業ですが、地震の時にクッション材にもなり雨の時は排水にもなる。
手を抜くと石垣は崩れてしまうとても大事な作業です。

普段私たちが見ているのは石垣の面ですが、本当に大事なのは裏の「見えないところ」だそうで
あまり見た目は気にしてないなんてお話も。

石垣は1度積むと300〜400年持ちます。そのため仕事がないと言われる石工。
粟田さんの仕事は、お城については修復工事がメイン。その他にはお寺や神社などから石垣の依頼があることも。

仕事が少なくなってきたということもあって、穴太衆を引き継ぐ会社は粟田建設1社のみとなってしまったというお話もありました。そんな中、粟田さんは海外での仕事も視野に入れています。
これまでにも、建築家・隈研吾さんと一緒にアメリカ・ポートランドの「ジャパニーズ・ガーデン」。
さらにテキサス州ダラスにあるロレックスのビルで建物の低層部に石垣を作るという仕事をされてきました。

「この仕事を残していきたい」という粟田さん。
寺も石垣を壊してコンクリートにしてしまう所も多い現在に昔ながらの風景を残していけたら、と仰られていました。

日本は地震が多い国だけど、きっちり積んだ石垣は崩れない。
近代技術が昔の技術より優れていると言えるのかどうか…。粟田さんはそんな想いも持ちながら石を積む仕事を続けられています

粟田さんが頭をつとめる穴太衆の仕事、東京では馬事公苑に粟田さんのおじいさまが手がけた石碑があるということ。
1964年の東京オリンピックのあとに作られたもので江戸城の石を使っているそうです。

その他、穴太衆の仕事は粟田建設のウェブサイトに写真が掲載されていますのでそちらをご覧ください。

▼粟田建設
http://www.anoushu.jp