FUTURISM

ON AIR DATE
2019.05.11

ゲストは、茂木健一郎さん

脳科学者の茂木健一郎さんと一緒に
「脳科学で読み解くアナログ文化」というテーマでお話伺いました。

FUTURISM813 (@futurism813) インスタグラムは こちら


★☆★ お知らせ ★☆★

【トークイベント】 小川和也×南沢奈央
『未来のためのあたたかい思考法』刊行記念イベント
人間は、テクノロジーをどこにつれて行くか

日時:2019年 5月20日(月) 19:00-21:00
場所:銀座 蔦屋書店(GINZA SIX 6F)BOOK EVENT SPACE

詳細はこちら

SONG LIST

  • One More Night
    CAN
  • Scatterbrain. (As Dead As Leaves.)
    Radiohead
  • Rogue Wave
    Lake Michigan
  • The Three W's
    The Matthew Herbert Big Band
デジタルな世の中でむしろ存在感を示すアナログ。

たとえばレコード。
デジタル化が一気に進んだこの10年、逆風なはずのレコードの生産量はざっと10倍に。

音楽を聴くまでにひと手間もふた手間もかかるレコードがなぜ好まれるのでしょうか。
デジタル社会においてわざわざアナログなものを選ぶ脳の不思議。

今週は、脳科学者の茂木健一郎さんと一緒に
「脳科学で読み解くアナログ文化」というテーマでお話しました。

「認知科学だと“望ましい困難(Desirable difficulty)”という概念が注目されていて、
 引っかかりとかノイズとか、アナログに特有なことがあった方が、学びとか気づきが深くなるんです」。

ちょっとした困難があった方が、引っかかってあれこれ考えたり、深い学びを得られる。
そういうところに、人間の本能、脳がうずいている
困難にも、脳が求める望ましいものがあるわけです。

「所有しているモノというのは、脳の中では身体の延長として捉えられている。
 身体感覚の延長線上ですね。デジタルは身体の延長にはなかなかならないですよね」。

身体の拡張として意識しやすいのはアナログなモノの方。
身体性を感じられるからこそ、脳をひきつける形あるモノ。

「脳はアウトプットしないと、結局自分が何を考えているかわからない。
 自分が何を考えているかを自分自身で対話できる、メタ認知という脳の働きが促されます」。

アナログのような書くという行為も、脳を鍛えてくれます。
さらには、キーボードを打つのと手で書く場合で、文体が変わることもあると言われています。

「変わりますね。変わるから、自分も発見できるというところがあると思います」。

考えがまとまってから書こうという考え方ではなく、とりあえずいきなり書いてみる。
読む(受け取る)自分は書く自分とは違うから、そこで新たな自分の発見につながるかもしれません。

「デフォルト・モード・ネットワーク(Default Mode Network)というものがあります。
 ランニングしていてデジタルが使えないので、その間、脳がアイドリングするんですね。
 アイドリングの時にだけ活動するネットワークで、記憶を整理したり結びつけたり、
 ひらめきや発想があったり。脳の断捨離ができますね」。

茂木さんがランニングを続けるのもこれが理由。
デフォルト・モード・ネットワークを活かすためにも、
ランニング中はデジタルを遮断しないともったいないですね。

「経営者は、グリット、やり抜く力を必要とされている。
 それがトライアスロンやトレイルランニングに含まれているからハマるのでしょうね」。

周囲の経営者仲間の多くがそれらの競技にハマっている理由もわかる気がします。

「アナログは自分の心を映す鏡」。

自分の身体にもつながっているし、引っかかりとか面倒くささがあるアナログと向き合ってこそ、
自分という存在もわかる。

茂木さんが教えてくれる、アナログと向き合うことの意味、そして鍵。

苦労しないとドーパミンは出ないし、冒険も苦労しないと楽しくない。
苦労した分、学びもある。
デジタルはあらゆることをスムーズにしてくれるけれど、引っかかりのあるアナログも欠かせない。

デジタルとバランスをとりながらアナログを取り入れる生活。
きっと脳も喜ぶでしょう!

小川 和也