FUTURISM

ON AIR DATE
2018.03.18

ゲストは、国立情報学研究所、
社会共有知研究センター長の新井紀子先生。

『AIは、東京大学に合格できない?!』

国立情報学研究所、社会共有知研究センター長の新井紀子先生に、
入学試験の未来についてお話伺いました。

新井紀子/ Noriko Arai (@noricoco) | Twitter

FUTURISM813 (@futurism813) インスタグラムは こちら


【番組からのお知らせ】
1年間当番組のナビゲーターを担当してきた相楽樹さんが、
次回、番組を卒業いたします。
3月25日(日)、相楽さん最後の出演をお聞き逃しなく!

SONG LIST

  • Yoshimi Battles The Pink Robots Pt. 1
    The Flaming Lips
  • Me And Michael
    MGMT
  • Opposite House
    Cass McCombs
  • Mill Valley
    Miss Abrams And The Strawberry Point 4th Grade Class
数学者の新井紀子さんとの話を通じて見つけた、未来を創る鍵。
それは、
<問題文を自分でつくろう>

国立情報学研究所 社会共有知研究センター長の新井紀子さんは、人工知能を搭載したロボット「東ロボくん」で東京大学合格を目指すプロジェクトをリード。
2011年にプロジェクトがスタートし、2016年のセンター試験では5教科で総合偏差値57.1をマーク。

統計的なもの、事実に関する正誤判定、データが大量にあるものは得意。
読解力はゼロで、国語の壁は高い。
キーワード検索をしてデータを探し解答はするけれど、問題の意味を理解しているわけではない。
人工知能は“そこにある意味”は数値化できず、理解もできない。
たとえば、「ラジオでどのような話をすれば内容が成立するか」を考えることが苦手。

「東ロボくん」がどこまでできて、どこでつまずくのかを把握できたため、プロジェクトはひとまずのミッションを終えました。

数学者である新井さんは「ハードウェアとしての人間の脳は最先端の数学に対応できる限界に近づいています。人工知能の支援を受けないと数学の新たな定理を証明、チェックできないようになりますが、人工知能が数学者になるというよりも人間の脳の補助役です。人工知能には数学そのものの意味や価値を理解できないので、あくまでも人間の手下」だと捉えています。

一方、「暗記や穴埋め型の試験に人間が最適化した結果、局所最適化し、人間がダメな人工知能みたいになってしまいました」と、人間の読解力や人間力が落ちていることを問題視しています。

僕が学生時代に講義をノートにとる際、そのまま書き写すのではなく、どこが問題でポイントはどこにあるのかを考えながら、試験問題を自分でつくっていました。
全体の構造を把握し勉強の方法自体から考案してみることで、局所最適化を防げます。

「お膳立て通りに定型化されたものは人工知能の得意領域。そんな試験で合格をゴールとするのは無駄です。むしろ人間力、すなわち動物としての判断や直感力を鍛えるべきです。人工知能は意味を理解したり、状況判断をできません。めったに起きないことにも対応できない。人工知能のアウトプットを鵜呑みにせず、人工知能を操る人間力が大切です」と新井さんは人間へ警鐘を鳴らします。

フレームにとらわれない解決力こそが、入試を突破するより必要な能力。
答えはさることながら、課題や問題を見つけ出す力が人間の真骨頂。
勉強でも仕事でも、問題文や疑問文を自分でつくり課題発見することは、その力を磨くために役立つはずです。

小川 和也