
参考図書は佐渡島庸平の『観察力を高める』
◎『観察力』 と聞くと、細かいことによく気づくというイメージを持ちがちですが、
著者の佐渡島庸平が述べる『観察力』とは、
思い込みを外して見る力のことを指しています。
私たちは物事をそのまま見ているつもりでも、
経験や先入観というフィルターを通して見てしまっているそうです。
◎山口さんは評論家の小林秀雄の言葉を挙げ、
美しい花を見て「アジサイだ」「スミレだ」と名前をつけるのは
良くないと話します。
名前をつけた瞬間に心の中でおしゃべりをしてしまい、
花の美しさそのものに肉薄できなくなってしまうと言います。
知っているつもりにならずに「見る」ことはとても難しいようです。
◎長濱さんは以前、山口さんが「赤い色を探して街を歩く」と決めた結果、 近所にポストがあったことに気づいたという話を思い出します。
また、山口さんは集合住宅の夜の景色が好きで、
部屋ごとの照明やカーテンの色がモザイク模様のように見えることに
中学生の頃から魅力を感じて、写真を撮り続けているそうです。
◎長濱さんも、空港の搭乗通路から見える番号標識の写真を
ワクワクしながら集めることにハマっていると話します。
山口さんはそれを「自分なりのマーカー」と表現し、
見ようと思わなければ見えてこないものだと応えます。
横断歩道の白線の擦れにわびさびを感じるという、
メディアアーティスト・落合陽一さんのエピソードも紹介されました。
◎長濱さんはお芝居の仕事をするようになってから、
怒っている人や急いでいる人の実際の様子が自分のイメージと違い、
これまで人間観察ができていなかったとハッとしたそうです。
それに対し山口さんは、車の運転に慣れると疲れなくなるように、
無駄なところを見なくなるのは「ある種の適応」だと応えます。
◎大人になったり専門家になったりすると、
見るべきポイントが固定化し、新たな変化に気づけなくなります。
効率的になる反面、自分にとってどうでもいい情報は見なくなります。
だからこそ、無駄なものを見る非効率な部分にこそ観察力があり、
心に余裕がないとなかなか発揮できないものだと山口さんは話します。
◎さらに山口さんは、視覚だけでなく「音」の観察も大事だと言います。
コンサルタント時代、業績の良い部署は声のエネルギーが高くノイジーで、
業績の悪い部署は音が死んでいるため、
目を瞑っていても音の違いで業績を当てることができたそうです。
目で見ること以上に、音で判断できることも多くあります。
◎長濱さんもお芝居のレッスンを通して相手の声色やトーン、
距離感を観察し、それに合わせて自分を変化させることの
重要性を実感したと話します。
舞台でも、観客の拍手しやすい間などの「生感」を聞き取ることで
その瞬間の演技が作られていくと言います。
◎山口さんは、社会学者のゴッフマンが
「世界はシアターであり、みんな演技をして生きている」と
自己呈示について語っていることを挙げます。
日常という舞台を生きる私たちにとっても、
周囲を見て、聞くという演技者のような観察力は大事になってきます。
◎キーワード『観察力』についてもっと知りたい方は
佐渡島庸平の『観察力を高める』を読んでみてください。
■毎週、各界の著名人がこの図書館にふさわしい1冊を紹介して下さる
「BOOK SHARING」
パスピエ・ボーカルの大胡田なつきさんに
矢野アロウ『マイボディ・オン・ザ・ムーン』をご紹介いただきました。
■図書館の膨大なCD・LPコレクションから他ではめったに聴くことのできない
レア音源を特別に試聴するコーナー「RARE COLLECTION」
The Beach Boysの名盤「Pet Sounds」の発売60周年を記念して
今年5月にリリースされた『The Pet Sounds Sessions : Highlights』をご紹介。
何度かこのコーナーでも取り上げられているThe Beach Boys。
当時大ブームだったサーフィンや
ホットロッド(改造スポーツカー)を題材にした楽曲を次々とヒットさせ、
5人による息のあったコーラスワークで1960年代中頃は
全米ナンバーワングループとして人気を誇っていました。
そのThe Beach Boysの中心人物で、ヴォーカル、ベース、
ソングライティング、アレンジからプロデュースまで手がけていた
天才ブライアン・ウィルソンがライブステージを離れて、
渾身のエネルギーと才能をフルに発揮して創作したアルバムが
『Pet Sounds』です。
このアルバムは、これまでの「夏と海とサーフィンとクルマ」といった
The Beach Boysのイメージを捨てて制作された作品だったことから、
その内容の素晴らしさにもかかわらず、かつてのファンには理解されず、
売れ上げという面では失敗作の烙印を押されてしまいました。
しかし、英国では大きく評価されて大ヒットとなります。
そして今では世紀の名盤として世界中で聴かれています。
そんな『Pet Sounds』が1996年、発売30周年の際に、
そのレコーディング・セッションを記録した
4CD ボックス・セット『The Pet Sounds Sessions』 としてリリース、
グラミー賞にもノミネートされました。
そして今回発売60周年を記念して、
そのボックス・セットから厳選された全25トラックを
2枚の CDと LP に収録。
とくにアナログでは今回初リリースということで
やはりThe Beach Boysマニア垂涎の内容になっています。
『The Pet Sounds Sessions : Highlights』から
『Caroline,No(Stereo Mix,Original Speed) / The Beach Boys』を試聴しました。
□今週の図書
佐渡島庸平の『観察力を高める』
矢野アロウ『マイボディ・オン・ザ・ムーン』
□オンエア曲
Boys Of Summer / Don Henley
Give Me The Night / George Benson
Kiss of Life / Sade
Cranes in the Sky / Solange
メケメケ / パスピエ
Caroline,No(Stereo Mix,Original Speed) / The Beach Boys
Blue Hour (feat. Julianna Barwick) / Nosaj Thing