2025.11.08 ONAIR

参考図書は児玉秀明さんの『世界にノイズと美意識を』

『ノイズ』は、良くないもの、雑音、不要なものという
否定的な意味合いで使われることが多いです。

しかし、この『ノイズ』を取り込むことで、共感や創造性など
ある種のゆとりを生み出していけるのではないか、ということを
この本と共に考えていきました。

長濱さんの収録時に着ていた服は袖が切りっぱなしのデザイン。
ある種の不完全さに魅力ときめきを感じるそうです。
この不完全さも『ノイズ』と言えます。

通常は音に関して使う『ノイズ』という言葉。
例えば物であっても使い込んでいくことで
ボロくなったり、渋くなってくものがあります。

物は新しければ新しいほど良いという考え方になりがちですが、
前回のテーマである「SDGs目標12」にもあるように
長く使えば使うほど価値を持つ物を作り出していく方向にしていくことが
大切になってきます。

ノートルダム寺院は今まで沢山の修繕をされながら存在し続けています。
京都の寺院も約1000年の歴史を持ってるものがたくさんあります。
古びていき、そこに汚れがついたり、場合によっては欠けたりすることで
物が価値を持つという価値観は、日本人が得意な考え方でもあります。
他にも、金継ぎなども例に挙げられます。欠けてヒビが入っても、
それを修復したことでさらに価値が上がることがあります。

また、長濱さんがフィクションの小説を書こうとした際
登場人物が喋っている瞬間だけを書くのではなく、
この瞬間に向こうの空に鳥が横切った、
この瞬間にどこかで違う音がしてる、違う匂いがする
という事を説明し、読者の視点をどんどん変えていく事が重要だと教わったそうです。
情景描写だけではなく、違う所に視点を飛ばす事(=ノイズ)が必要だといいます。

完全に均衡の取れたものを、人間は面白いと思わないとも言われます。
「美は乱調にあり」という言葉があったりするように
音楽ではドミソの3和音が一番安定した状態で、
そこからわざと音のバランスを崩しています。
これは小説でも、絵画でも、写真でも同じように考えられます。
アメリカの写真家アンセル・アダムスの有名な言葉に
「コンセプトが曖昧で素晴らしい写真ほど悪いものはない」というものがあります。

キーワード『ノイズ』についてもっと知りたい方は
児玉秀明さんの『世界にノイズと美意識を』をぜひ読んでみてください。

■毎週、各界の著名人がこの図書館にふさわしい1冊を紹介して下さる
「BOOK SHARING」

グソクムズでベースを担当されている、堀部祐介さんに
角田光代 著『これからはあるくのだ』を
ご紹介いただきました。

■図書館の膨大なCD・LPコレクションから他ではめったに聴くことのできない
レア音源を特別に試聴するコーナー「RARE COLLECTION」

Led Zeppelinの9月にリリースされた、
彼らの未発表ライヴ・ヴァージョン4曲を収録した『LIVE EP』からご紹介。

リリースから今年で40周年、彼らの通算6枚目の2枚組アルバム
『フィジカル・グラフィティ』に収録されていた
4曲のナンバーの未発表ライブが蔵出しされて
CD とアナログでリリースされました。

限定180g重量アナログ盤『LIVE EP』から
『Kashmir (Live From Knebworth 1977) / Led Zeppelin』を試聴しました。

□今週の図書
児玉秀明『世界にノイズと美意識を』
角田光代 『これからはあるくのだ』

□オンエア曲
All for you / Janet Jackson
Only you / Soweco
Say / John Mayer
Man I need / Olivia Dean
いっつも / グソクムズ
Kashmir (Live From Knebworth 1977) / Led Zeppelin
Songbird / Fleetwood Mac