
今回のテーマは「SDGs 目標10 人や国の不平等をなくそう」
参考図書は井手英策さんの
『18歳からの格差論』
この目標10は、
国内外および各国間の不平等を是正することが目的です。
世界における不平等はさまざまで、
「教育の不平等」は『目標4・質の高い教育をみんなに』
「性別の不平等」は『目標5・ジェンダー平等を実現しよう』でも
取り上げてきました。
目標10には、これらも含まれますが、
今回はその他の不平等について。
◎一つ目は、経済的な不平等「貧富の不平等」
フランスの経済学者ルカ・シャンセル氏や
トマ・ピケティ氏らの運営する
「World Inequarity Lab」(世界不平等研究所)が
2022年に発表したレポートによると、
世界トップ 10%の裕福な家庭が所有する富は全体の 75.6%。
世界の中央値を下回る50%の貧しい家庭が所有する富は、
全体の2%に過ぎません。
世界トップ10%の所得は成人一人当たり平均、日本円で約1233万円。
世界ボトム50%の所得は平均、日本円で約40万円。
31倍の差が生じています。
「貧富の不平等」は年々、拡大傾向にあります。
同じ国や地域における生活水準を比較した場合、
大多数の人よりも経済的に貧しい状況が「相対的貧困」と呼ばれています。
厚生労働省が2022年に発表した「国民生活基礎調査」によると、
2021年の我が国の相対的貧困率は 15.4%。
日本国民のおよそ、6.5人に1人が貧困状態にあると言われています。
◎社会保障の制度も国によって差があります
病気や怪我、障がい、失業、老齢などを理由に働けなくなり、
生活が困難になった場合、
最低限の生活を保ち基本的人権を守るものが社会保障。
社会保障給付を受けられる子どもは世界で35%。
残りの65%の子どもは、最低限度の生活や
基本的人権を守られていない生活をしています。
◎今、世界の国々で話題となっている「移民」
目標10の中には、移民に関するターゲットもあります。
移民を守るため、独自の政策をもつ国は多数存在します。
しかし、その内容は国によって大きな差があるのも現実です。
国連が発表した「SDGs 報告2019」によると、調査対象105カ国中、
◇安全で秩序ある正規移住に関する政策のある国:76%
◇移民の権利に関する政策のある国:54%
◇移民の社会経済的福祉に関する政策のある国:57%
半数弱の国では移民の権利や社会的福祉に関する政策がありません。
つまり、基本的人権が守られていないのです。
実は移民は、世界経済の活性化、
開発途上国の生活の向上にも繋がっています。
世界銀行によると、2018年に移民が低所得国および中所得国である
母国に送金した額は、5290億ドル(約58兆1900億円)
と推計されています。
番組スポンサーのNTTとも関わってきますが、
テクノロジーが生まれ持った才能や財力を
埋めてくれる可能性があります。
スタディサプリというサービスを立ち上げた人が
解決したかった問題はまさに教育格差。
地域や所得による教育格差は長年の課題でした。
しかし、教育というのは本来情報を渡す営み。
情報通信のテクノロジーととても馴染みが良いのです。
授業を映像化し、少額課金で受講出来るようにすれば、
離島など離れた場所にいる生徒が
先生の居る場所へ向かうよりはるかに安価で
学習を受けることが出来ます。
この話に続き、NTTグループも
不平等を無くす取り組みをしています。
例えば、「ソーラー・バックパック活動」というのがあります。
アフリカでは、多くの人が電気を利用できずに、
暗くなると勉強ができないという問題があります。
これを解消するために通学中に背負うリュックに
ソーラーパネルを設置して充電。
これがライトになって、
デバイスなどの充電にも使用できるというものです。
NTTグループは今後、若者の失業率低下への貢献、
アフリカ全土やその他の貧困地域などすべての子供たちが、
質の高い教育、電気や健全なエネルギー源を利用できるよう
支援していくということです。
「SDGs 目標10 人や国の不平等をなくそう」について
もっと知りたい方は
井手英策さんの『18歳からの格差論』を
ぜひ読んでみてください。
■毎週、各界の著名人がこの図書館にふさわしい1冊を紹介して下さる
「BOOK SHARING」
歌手で俳優の北山宏光さんに
森見登美彦 著『夜は短し歩けよ乙女』を
ご紹介いただきました。
■図書館の膨大なCD・LPコレクションから他ではめったに聴くことのできない
レア音源を特別に試聴するコーナー「RARE COLLECTION」
高橋幸宏が2008年から2019年まで主催した、
伝説の音楽フェスティバル『WORLD HAPPINESS』の
ライブ音源&映像をパッケージしたボックスセットからお届け。
高橋幸宏は様々な形で出演していて、
坂本龍一と細野晴臣を含むYMO、
鈴木慶一との THE BEATNIKS、
原田知世をシンガーに迎えたpupa、
小山田圭吾らとのMETAFIVEなど
ライブならでは躍動感と
ハイクオリティなバンドサウンドを聴かせてくれます。
6月6日にリリースされた、この『WORLD HAPPINESS』は、
ライブ音源と映像をCD4枚/BD1枚にパッケージした豪華ボックスセットで、
映像と音源は曲目を大幅に変更しており、
映像のほうには高橋幸宏のスペシャル・インタビューも収録されていて、
豪華ブックレットも付いてます。
アルバム『WORLD HAPPINESS』から
『ちょっとツラインダ/THE BEATNIKS』試聴しました。
□今週の図書
井手英策『18歳からの格差論』
森見登美彦 『夜は短し歩けよ乙女』
□オンエア曲
Handle with care / Traveling Wilburys
Cradle of love / Gwen McCrae
Heart of gold / Neil Young
End of the world / Miley Cyrus
Just Like That / 北山宏光
ちょっとツラインダ/ THE BEATNIKS
The Contact / Twenty one pilots