
今回のテーマは「ブリコラージュ」
参考図書は小田亮さんの『レヴィ=ストロース入門』です。
『ブリコラージュ』とは人類学者のレヴィ=ストロースが唱えた考え方。
限られた持ち合わせの雑多な材料と道具を間に合わせで使って、
いまの状況に必要なものを作ること。
(あり合せのよくわからないものを非予定調和的に集めておいて、
いざという時に役立てる能力)
レヴィ=ストロースは、南米の先住民族たちを研究、
彼らがジャングルを歩いていて、何かを見つけると、
その時は何の役に立つのかわからないけど、
「これはいつか何かの役に立つかもしれない」と考えて
袋に入れて残す習慣に気付いたそうです。
そして、実際に拾った「よくわからないもの」が、
後でコミニュティの危機を救うことになることがありました。
そのため、この「後で役に立つかもしれない」という予測の能力が、
コミュニティの存続に重要な影響を与えると説明しています。
この事実から、『ブリコラージュ』=あり合せのよくわからないものを
非予定調和的に集めておいて、いざという時に役立てる能力、
という考え方を導き出したのです。
この『ブリコラージュ』という考え方はイノベーションにおいて
有効と言われています。
イノベーション(発明)は、まず使用目的が想定された後に、
行われると考えがち。 経営学の教科書にもそう書かれています。
しかし過去の発明の多くは、当初の目的とは異なる領域で大きな経済価値や
インパクトを社会にもたらしてきました。
例えば、エジソンは蓄音機を「何の役に立つかわからない」と思いながら
発明していて、元々は速記録の代替や遺言状の代替に役立つだろうと
考えていたそうです。
だからといって「何の役に立つのか」という点を明確にしないまま、
自由に開発しても、成果は出ないとのこと。
用途市場を明確化しすぎると価値創出の機会を逃すことになりかねません。
しかし、用途市場が不明確にしたままでは開発は野放図になり
商業化を覚束ない…。
このジレンマから脱するカギとなるのが、『ブリコラージュ』なのです。
『ブリコラージュ』の最初のプロセスは「観察と収集」
生活の中で興味を惹くものを目にした時、それを自分の中にストックする。
それを日常的に行うことが『ブリコラージュ』では重要と考えられています。
キーワード『ブリコラージュ』についてもっと詳しく知りたい方は
小田 亮さんの『レヴィ=ストロース入門』、ぜひ読んでみてください。
■毎週、各界の著名人がこの図書館にふさわしい1冊を紹介して下さる
「BOOK SHARING」
Forbes JAPAN 30 UNDER 30 などを受賞され、
現在はバーチャルビーイングや未来社会デザインの研究に取り組まれている、 佐久間洋司さんに、
伊藤計劃 著『ハーモニー』をご紹介いただきました。
■図書館の膨大なCD・LPコレクションから他ではめったに聴くことのできない
レア音源を特別に試聴するコーナー「RARE COLLECTION」
カーリー・サイモンの1970年代初期のヒット曲や隠れた名曲、
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彼女を見出した初期のプロデューサージャック・ホルツマンが
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カーリー・サイモンの初期の3枚のアルバムを中心に
レアなデモ・トラックやアウト・テイクを最新マスタリングした高音質盤、
アナログとCDでリリースされています。
□今週の図書
小田亮『レヴィ=ストロース入門』
伊藤計劃『ハーモニー』
□オンエア曲
Break out / Swing out sister
Don’t let it go to your head / Jean Carn
Here comes the sun / The Beatles
Revolving door/ Tate McRae
Angel From Montgomery / Carly Simon
Die with a smile / Lady Gaga&Bruno Mars