2025.04.05 ONAIR

今回のテーマは「経験学習」

参考図書はディヴィッド・コルブ、
ケイ・ピーターソンの『最強の経験学習』。

『経験学習』とは、コルブが提唱した、
「学習が経験を通じて行われるプロセスである」 という考え方です。

これだけだと感覚的にわかる気もすると思いますが...。
コルブは学習が4つの段階の連続的なサイクルを形成すると述べています。

その４つは・・・
1 具体的経験 ⇒学習者が新しい経験や状況に直面するか、再解釈する段階。
2 観察と反省 ⇒学習者が経験から一歩離れて観察し、その経験について考える段階。
経験に関する洞察が得られます。
3 抽象的概念化 ⇒反省を通じて得られた洞察から概念や理論を構築する段階。
この時、学習者は新しいアイデアや計画を形成します。
4 能動的実験 ⇒新たに形成されたアイデアを実際の行動に移して、試してみる段階。

この学習サイクルは継続的なプロセスとして機能すると考えられています。
学習者はひとつの経験から次の経験へと移り、それぞれの段階を通じて、
知識を深め、スキルを発展させていきます。

コルブによれば、それぞれの学習者は、
サイクルの特定の部分を好む傾向があるといいます。
これは客観的評価をすることで、把握することが可能とのこと。

ここから、学習者の好みに応じて異なる学習スタイルがあることがわかります。
コーチングをする立場にある人は、コーチする相手が、学習のどこが得意で、
どこが苦手であるかがわかれば、それに合わせてより有効なコーチングが可能に。

このサイクルを考えると、「経験学習」は子育てや教育にも使えると、
館長は話します。
どこで突っかかってしまっているかは、子供それぞれに違うので、
子供に応じたアドバイスの仕方などを見つけることができます。
例えば、子供が毎回同じ失敗をしてしまう場合、
「観察と反省」を強化してみると良いかもしれません。

ここまで「経験」という言葉を普通に使ってきましたが…。
一般的に言われている「経験」とコルブの『経験学習理論』で言う
「経験」は 大きく異なります。
コルブが唱える「経験」とは、
「新しい経験や状況に直面するか、再解釈するプロセス」。
何かの取り組みに対して想定される結果があって、
その結果が想定通りであった場合、
この取り組みは「経験」としてカウントされないそうです。
同じことを同じように繰り返しているだけでは「経験」にはならないと
述べられています。

4月から新生活が始まる方。 新しい環境や新しい立場で、何かに取り組んだ時、
想定外のことが起きて、 困惑することが頻繁に起きると思います。
しかし、それこそコルブの言う「経験」 学習のためのいいチャンスだと考えて、
有効活用してみると良いかもしれません。

『経験学習』についてもっと詳しく知りたい方は、
『最強の経験学習』をぜひ読んでみてください。


■毎週、各界の著名人がこの図書館にふさわしい1冊を紹介して下さる
「BOOK SHARING」

坂本龍一さんの著書でも知られる、 編集者で音楽ライターの吉村栄一さんに、
ジェームズ・ナイス著『ファクトリーレコード全誌』をご紹介いただきました。

■図書館の膨大なCD・LPコレクションから他ではめったに聴くことのできない
レア音源を特別に試聴するコーナー「RARE COLLECTION」

ビリー・ジョエルの1974年にリリースしたアルバム
『ストリートライフ・セレナーデ (50周年記念デラックスエディション)』を紹介。

今から50年前の1974年に LA で録音したのが、
『ストリートライフ・セレナーデ』。
今回リリースされた50周年記念デラックスエディションは、
日本独自企画で、最新マスタリング、SA-CD マルチ4ch ハイブリットでの高音質盤。

もちろん普通の CD プレイヤーでも聴けますが、専用プレイヤーではより
高音質のサラウンドミックスが楽しめます。

そして通常 CD 層のほうでは当時のレアなライブ・ヴァージョンが4曲収録。
ディスク2では1975年に行われた[ストリートライフ・ツアー]も収録!
さらに当時のアー写や帯、シングルのジャケット写真 など、
これまたレアな資料が復刻封入されています...


□今週の図書
ディヴィッド・コルブ、ケイ・ピーターソン『最強の経験学習』
ジェームズ・ナイス『ファクトリーレコード全誌』
吉村栄一『坂本龍一のプレイリスト』

□オンエア曲
Don’t dream its over / Crowded House
Follow the sun / Xavier Rudd
Help me / Joni Mitchell
Handlebars / Jennie&Dua Lipa
Granadas / Bill Evans
Weekend Song (Live) / Billy Joel
Older / Sasha Alex Sloan