
今回のテーマは「才能」
参考図書は、マシュー・サイドの『才能の科学』です。
スポーツや芸術の分野ではよく「才能」という言葉を耳にします。
しかし、マシュー・サイド曰く「才能は幻想である」ということなのです。
スポーツ選手の驚異的な反射神経や運動技能は、
先天的なものではなく後天的に獲得されたもの。
例えば、卓球界でもっとも優れた選手であるデズモンド・ダグラスは、
反射神経のテストをしたところ、全英チームの中でもっとも鈍かったそうです。
スポーツ選手の驚異的な反応の秘密は認知機能の発達にあります。
長年の経験の積み重ねによって、脳に蓄積された大量のパターンから、
素早く状況を解析し、意識せずとも最高の意思決定をできる
=優れた動きができると考えられています。
「神童」と呼ばれる子どももいますが、
彼らは非凡な才能を持っていたのではなく、
非凡な育ち方をしているとも言われています。
例えば、タイガー・ウッズは2歳の頃からゴルフの英才教育を受けていました。
モーツアルトも3歳から作曲と演奏の練習を始め、6歳になる頃には、
3500時間もの練習をしていたのです。
圧倒的な練習時間の量、そして優れた指導者のもとで練習を重ねたことが、
実は神童と呼ばれる技能を生み出しているのかもしれません。
一流になるために必要なのは才能ではなく練習時間。
それを証明する研究結果はスポーツや音楽などさまざまな分野にあります。
ただし、闇雲に練習をすればいいというわけではありません。
質の低い練習を続けても意味がなく、
やるべきは「目的性訓練」と呼ばれる練習です。
これは少しばかり力が及ばなくて実現しきれない目標を目指して励むこと。
現在の限界を超える課題に取り組んで、繰り返し達成に失敗すること。
進歩は必然的な失敗から生まれます。
傑出した能力の獲得には長期に渡る練習が必要です。
そしてモチベーションを維持し続けるためには、
マインンドセットの違いが重要です。
「知性や能力は生まれながらに決まっていて変えることができない」
そんなマインドセットではモチベーションの維持はできません。
また、失敗や挑戦を恐れ、成長するチャンスを逃してしまいます。
「知性や能力は努力で変えられるものだと考える」
そんなマインドセットこそが長期に渡るモチベーション維持に
つながると考えられます。
「才能」について詳しく考えたい方は、
マシュー・サイドの『才能の科学』を読んでみてください。
■毎週、各界の著名人がこの図書館にふさわしい1冊を紹介して下さる
「BOOK SHARING」
シンガーソングライターの荒谷翔大さん、
千葉雅也著『勉強の哲学 来たるべきバカのために』を
ご紹介いただきました。
■図書館の膨大なCD・LPコレクションから他ではめったに聴くことのできない
レア音源を特別に試聴するコーナー「RARE COLLECTION」
ニール・ヤング・ウィズ・クレイジー・ホースの
初期の貴重な未発表音源を収録した、『アーリー・デイズ』を紹介しました。
度々このコーナーでも取り上げられるニール・ヤングですが、
現在も彼のバックバンドとして度々共演しているクレイジー・ホース。
元々売れないローカルバンドだった彼らが、
1969年、ニールと初めて組んだアルバム
『ニール・ヤング・ウィズ・クレイジー・ホース』で知られるようになりました。
またニール・ヤング自身もこのアルバムから、
そのソングライティングの才能が注目を集めるようになって、
同じ69年から参加したクロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤング以降は
知名度もアップしました。
今年7月にリリースされた、この『アーリー・デイズ』は、
そんな初期のニール・ヤングとクレイジー・ホースが、69年から70年までに
録音された未発表音源集で、クレイジー・ホース名義で出ていた曲を
ニールがヴォーカルを取ったり、クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤングや
ソロ名義で発表されていた曲のクレイジー・ホースとのヴァージョンなど、
ファン垂涎の内容となっています!
□今週の図書
マシュー・サイド『才能の科学』
千葉雅也『勉強の哲学 来たるべきバカのために』
□オンエア曲
Where is the love / Black eyed peas
Mixer / Amber Mark
Make it with you / Bread
Golden / Cory Wong
雨 / 荒谷翔大
Birds / Neil Young with Crazy Horse
Riverside / Agnes Obel