2024.04.06 ONAIR

今回のテーマは「社会構成主義」

参考図書は、ケネス・ガーゲン、メアリー・ガーゲンの
『現実はいつも対話から生まれる』です。

『社会構成主義』というのは
「私たちが現実だと思っているものは、すべて社会的に構成されたもの」。
言い換えると、
「現実とは、そこにいる人たちが“そうだ”と同意して初めて存在するもの」
という考え方。

普遍的な、唯一無二の真実などは存在しません。
あるのは同じ価値観を持つコミュニティ中でのみの真実。

例えば、正義や悪、道徳といった概念の真実は、
国や社会や文化などの違いによって異なるということは、イメージできますよね。

では、もっと極端な例でいうと、1+1は・・・いくつですか?
普通はみんな「2」と答えますよね。1+1=2が真実だと信じています。
しかし厳密にいうならば、
「1+1=2は10進法の体系の中だけで正しい。 2進法の体系では1+1=10」
となります。

みんなが絶対的に正しいと思っている数学や自然科学だって、
実は同じ価値観をもつコミュニティの中の真実に過ぎないと言われています。

唯一無二の真実があると思うから対立が起きてしまいます。

私にとっての真実が、他の人にとっての真実とは限らない。
それを認めて、対話・コミュニーケーションによって、新しい「現実」を作る、
というのが、『社会構成主義』のスタンスです。

ある学生が単位不足で留年することになった(出来事)…
そして抑うつ状態になってしまった(結果)。
これは、留年したという事実が、抑うつ状態という結果を招いたようにみえます。
しかし、本当は「大学は4年で卒業するべきである」とか、
「親の期待を裏切ってしまった」という人生観・世界観=価値観が、
悩みを生み出しています。

悩み(結果)を生み出しているのは、出来事ではなく、あくまで価値観。
異なる価値観であれば、同じ出来事(事実)でも結果は異なる。
⇒ここが『社会構成主義』の考え方です。

出来事(事実)は変えることはできないですが、価値観は変えることができます。

価値観を変えるためには考えるしかありません。
自分が今どんな価値観=ものの見方をしているのかは、
文章記述してみるといいと言われています。

最初は難しいですが、「自分はなぜこの状況について不愉快になっているんだろう」
という問いを立てて、考えをめぐらし、文字にしていくと、
次第に浮かび上がってくるかもしれません。

キーワード『社会構成主義』についてもっと知りたい方は、
参考図書『現実はいつも対話から生まれる』をぜひ読んでみて下さい。


■毎週、各界の著名人がこの図書館にふさわしい1冊を紹介して下さる
「BOOK SHARING」

ピアニストで作曲家のYuka Akatsuさんに、
レイチェル・カーソンの『センス・オブ・ワンダー』をご紹介いただきました。


■図書館の膨大なCD・LPコレクションから他ではめったに聴くことのできない
レア音源を特別に試聴するコーナー「RARE COLLECTION」

今回は、1969年にリリースされた、英米の著名アーティストによる
セッションアルバム『ミュージック・フロム・フリー・クリーク』から
「ビッグ・シティ・ウーマン」。

1960年代後半ら70年代にかけて英米の人気ミュージシャン、
実力派プレイヤーたちが、こぞってセッション・アルバムを発表するという、
スーパー・セッション/スーパー・グループのブームがありました。
その中でも隠れた名セッションとして評価されていたのが、
1969年にNYで録音されたという、
この 『ミュージック・フロム・フリー・クリーク』です。

参加したアーティストはトッド・ラングレン、ドクター・ジョン、
リンダ・ロンシュタッド、 キース・エマーソン、チャック・レイニー、
バジー・フェイトンなど、 国籍もジャンルもさまざまな多彩な人たち。
中でも、ジェフ・ベックとエリック・クラプトンが
変名でそれぞれ参加しているということで、 マニアの間では注目されていました。

今回、初CD化された、そのセッション・アルバム
『ミュージック・フロム・フリー・クリーク』から、
A.N.Other という変名による、 ジェフ・ベックのギターをフィーチャーした
ナンバーをお送りしました。

□今週の図書
ケネス・ガーゲン、メアリー・ガーゲン『現実はいつも対話から生まれる』
レイチェル・カーソン『センス・オブ・ワンダー』


□オンエア曲
Flowers in the window / Travis
Loving’ you / Minnie Riperton
You turn me on I’m a radio / Joni Mitchell
Fools / Diane Birch
Improv.mei/ Yuka Akatsu
Big City Woman / 『Music From Free Creek』
Spring / Ed Sheehan