2024.02.24 ONAIR

今回のテーマは「エフェクチエーション」

参考図書は吉田満梨さん・中村龍太さんの
『エフェクチエーション 優れた起業家が実践する「5つの原則」』です。

『エフェクチエーション』というのは、不確実性の高い状況における意思決定の一般理論。

ヴァーニジア大学デーデンススクールのサラス・サラスバシー教授の研究から発見され、
『エフェクチエーション』という名前を付けたのもサラスバシー教授です。

その研究内容は・・・
アメリカの27人の優秀な起業家に、現実には存在しない架空の製品を事業化する際に
直面する10の典型的な問題について意思決定をしてもらいました。
その結果、優れた起業家たちは、共通の理論を好んで活用することがわかったのです。

『エフェクチエーション』の論理が有効なのは、起業や新規事業の創出だけではありません。
仕事やプライベートでも、結果の不確実性を伴うチャレンジにおいて、
とても役立つと考えられています。

『エフェクチエーション』には5つの原則があります。

そのいくつかをあげると…
まずは、手元にあるもので始めるということです。
これまでの経営学では、まず目的(新しい製品開発や新しい市場開拓)を決め、
それを実現するための最適な手段を考えるものでした。
しかし、優れた起業家は自分が持っている「手持ちの手段(資源)」、経験を活用することで、
アイデアを発想します。
目的主導ではなく「手段主導」ということです。

目的ではなく手段に基づくことの最大のメリットは「いますぐ動き出せること」 。
目的を持つこと自体は悪いことではないですが、具体的に動き出すまでどうしても
時間がかかってしまいます。
しかし、手持ちの手段(資源)に基づくのであれば、すぐにでも動き出せます。
この思考様式には「手中(手の中)の鳥の原則」と呼ばれています。

また、これまでの経営学では、一般的に期待できるリターン(期待利益)の大きさが
意思決定の判断基準として用いられてきました。
投下した資源以上の大きなリターンが期待できるなら実行すればよいという考えです。
しかし、優れた起業家たちは、
「予期せぬ事態は避けられないことを前提とした上で、 最悪の事態が起こった場合の損失を
あらかじめ見積もり、 それが許容できるならば実行すればよい、と判断していたのです。
これが「許容可能な損失の原則」と言われます。

これにより、うまくいかない可能性が事前に考慮され、
なおかつそれを自分が受け入れることが わかっているので、
新しいことを始める心理的ハードルが低くなることや、
うまくいなかった場合でも失敗が致命傷にならないので、
再度別の方法でチャレンジ することが可能になるという利点があります。

今日のキーワード『エフェクチエーション』についてもっと知りたい方は、
参考図書の吉田満梨さん・中村龍太さんの『エフェクチエーション』をぜひ読んでみて下さい。


■毎週、各界の著名人がこの図書館にふさわしい1冊を紹介して下さる
「BOOK SHARING」

シンガーソングライター、NakamuraEmiさんに、
リー・アンダーツ著『母がゼロになるまで』 をご紹介いただきました。


■図書館の膨大なCD・LPコレクションから他ではめったに聴くことのできない
レア音源を特別に試聴するコーナー「RARE COLLECTION」

今回は、アル・クーパー。
彼が1973年にリリースしたアルバム『ネイキッド・ソングス』の
日本独自のカッティングによる、高音質の LP レコードとして復刻されました。
そこに収録されている名曲、[ジョリー]をお送りしました。

世界初!日本のソニーレーベルで独自カッティングされ復刻されたアナログ LP レコードです。


□今週の図書
吉田満梨・中村龍太『エフェクチエーション 優れた起業家が実践する「5つの原則」』
リー・アンダーツ『母がゼロになるまで』

□オンエア曲
Up side down / Jack Johnson
Please don’t leave / Lauren Wood
Shine / Laura Izibor
The Walk / Mayer Hawthorne
晴るく / NakamuraEmi
Jolie / Al Kooper
Dreamer / Asa