
今回のテーマは「集団浅慮」
参考図書はアーヴィング・L・ジャニスの『集団浅慮』です。
「集団浅慮」とは、集団で合意形成することによって、
かえって不合理な結論や行動を引き出してしまうこと。
「三人寄れば文殊の知恵」ということわざがあるが、その逆となるのです!
「集団浅慮」(グループ・シンク)は社会心理学者のアーヴィング・ジャニスに よって
提唱された概念です。
彼が「集団浅慮」の代表的な実例としてあげているのが、 ケネディ政権発足時に、
アメリカがキューバのカストロ政権を倒すために起こした
「ピッグス湾事件」と呼ばれる侵攻作戦。
ピッグス湾侵攻は、ケネディが就任する前に大統領だったアイゼンハワーが
CIAと秘密裏に計画していた軍事作戦で、
作戦計画立案の場には、CIA 長官・諜報機関の高官・共産圏の事情に詳しい
専門家などが集まっていました。
ピッグス湾侵攻は、キューバから亡命した反革命傭兵2000人に強く依存しており、
集まったメンバーからは当初、反対意見やリスク管理の意見が出ていました。
しかし、次第に反対意見を言えない環境が醸成されていったのです。
その理由としては、ケネディ大統領が出席する会議の場では、
肯定的な意見ばかり出ることになったからと言われています。
周囲からの後押しを受けて、ピッグス湾侵攻を決断しましたが、作戦は大失敗に終わったのです。
反対の意見を言いたい時に、黙ってしまう状況ができてしまう、
相手がやりたいといっているところに水を刺してはいけないと思ってしまうという環境が
集団浅慮を生み出してしまいます。
具体的な要因としてあげられるのは…
閉鎖的で外部からのチェックができない状況であること、
ストレスがかかって、早く終わらせてしまいたいと思ってしまうこと、
リーダーの影響力がありすぎて、何も言えなくなってしまうということが考えられます。
ケネディは当時多くの人に愛される人物であったため、
反対したくないという思いもあったのかもしれません。
「集団浅慮」を回避するためにはどうすれば良いのでしょうか?
ケネディは、「キューバ危機」の際の対策に、
安全保障の専門家ではないメンバーも会議に参加させました。
そしてキューバ政府と社会に精通しているスタッフを参加させ、
外部からの孤立への対策をしたのです。
さらに、ケネディ自身は会議に参加せず、最終的な結論だけを聞いたそうです!
リーダーシップの弊害への対策とも言えます。
最後に、結論はひとつにまとめる必要はないと最初に宣言し、
過度なストレスへの対策までしたそうです。
身の回りでも起こる可能性がある「集団浅慮」。
もっと知りたいという方は、
参考図書の『集団浅慮 政策決定と大失敗の心理学的研究』をぜひ読んでください。
■毎週、各界の著名人がこの図書館にふさわしい1冊を紹介して下さる
「BOOK SHARING」
元Awesome city clubでドラムを担当されていた、 ユキエこと、
楓幸枝さんに、大平健 著『診療室にきた赤ずきん―物語療法の世界』をご紹介いただきました。
■図書館の膨大なCD・LPコレクションから他ではめったに聴くことのできない
レア音源を特別に試聴するコーナー「RARE COLLECTION」
今回は、はっぴいえんど。
彼らが1971年にリリースしたセカンド・アルバム『風街ろまん』から、
未発表の [颱風(フル・サイズ・ヴァージョン)]です。
今や歴史的名盤と知られている、この『風街ろまん』ですが、
今回、2023年最新マスタリング盤、
2曲のボーナストラック入りの初回生産限定盤としてリリースされました。
[颱風]は、作詞・作曲が大滝詠一、 今回のフル・サイズ・ヴァージョンは、
ヴォーカルがダブルトラックになっていて、オリジナルには無い
ファズ・ギターが入っているという貴重なものです。
□今週の図書
アーヴィング・L・ジャニス『集団浅慮』
大平健『診療室にきた赤ずきん―物語療法の世界』
□オンエア曲
Walking in the sun / Travis
Please don’t leave / Lauren Wood
Bloom / Nerina Pallot
My love mine all mine / Mitski
ナンバ・ムッタ / 楓 幸枝
颱風(フル・サイズ・バージョン) / はっぴいえんど
Stand by my woman / Lenny Kravitz