2023.06.17 ONAIR

今回のテーマは「レジリエンス」

参考図書は枝廣淳子さんの
『レジリエンスとは何か 何があっても折れない こころ、暮らし、
地域、社会をつくる』です。
「レジリエンス」はもともと物質の「弾力性」を意味する物理学用語。
今では「しなやかな強さ」「何かあっても折れてしまわずに立ち直る力」
といった意味合いで、いろいろな分野で使われるようになりました。
最近、よく目にするのは心理学的な分野といわれています。
「折れない心の作り方」といったテーマの本や記事がよくありますが、
そこに書かれているのは、心理学的なレジリエンスの話です。

「レジリエンス」に必要な要素の1つ目は「多様性」。
生態系の場合、そこに住んでいる生物の種類が多いほど、
何かあった時に回復しやすいそうです。
これを社会に当てはめてみると、例えば、
自然災害で、ある地域のライフラインがストップした時、 太
陽光発電ができる、井戸水が使えるといった他の手段があれば、
さほど困らないということ。
自分ができることをいくつか持っていることが大事なのかもしれません。
自分の中に多様性を作ることで、自分自身が安心することができそうです。

「レジリエンス」の必要な要素の2つ目は「モジュール性」。
モジュール性とは、ふだんは全体と繋がっていても、いざという時には、
自分だけを全体から切り離し、自分たちだけで成り立つようになっているかどうか
ということです。
例えば、何らかの非常事態が発生して、
食糧やエネルギー源が入ってこなくなっても、
暮らしに必要な食糧やエネルギーの自給ができるので、
なんとか回していける国や地域は、 「モジュール性」が高いといえます。

転職などもあてはまるかもしれあません。
危険を察知した時にその集団から離れるということも大切です。

「レジリエンス」に必要な要素の3つ目は「密接なフィードバック」。
「密接なフィードバック」とは社会や組織といった
システムのある部分に起こる変化を、
他の部分が感じて反応する速さと強さのことです。
フィードバックが遅かったり、来なかったりすると、
必要な対応ができなかったり、手遅れになったりして、
回復不可能なダメージを受ける危険性が高くなります。

自然環境や経済、あらゆるものが今、不安定になり、不確実性が高まっているからこそ、
国、自治体、地域...など、さまざまなレベルでのレジリエンスの向上が必要なのかもしれません。

キーワード「レジリエンス」について、 もっと知りたいという方は、
『レジリエンスとは何か 何があっても折れない
こころ、暮らし、地域、社会をつくる』 ぜひ読んでみて下さい。


■毎週、各界の著名人がこの図書館にふさわしい1冊を紹介して下さる
「BOOK SHARING」

SuchmosのTAIKINGさんに
ビル・コッター著『ぜったいに おしちゃダメ?』をご紹介いただきました。


■図書館の膨大なCD・LPコレクションから他ではめったに聴くことのできない
レア音源を特別に試聴するコーナー「RARE COLLECTION」

今回紹介したのはキャロル・キング。
彼女が1973年5月26日、NY のセントラル・パークで開催した
ライヴ・コンサートを収録した 未発表音源アルバム
『ホーム・アゲイン: ライヴ・フロム・セントラル・パーク1973』 から、
「ユーヴ・ゴット・ア・フレンド(きみの友だち)」です。

キャロル・キングがソロ・アーティストとして、大ブレイクしたのち、
1973年に故郷 NY で行われたフリーライブで何とおよそ10万人!を集めた
ということで、アルバムのタイトル通り、キャロルの凱旋コンサートにもなっています。

今回はその模様の映像(DVD)と音源(CD)がそれぞれリリースされていて、
映像ヴァージョンの方はライブ当日の映像をはじめ、
彼女のプロフィールやリハーサルの模様なども収められたドキュメンタリー
となっていて、こちらも見応えのある作品に...。


□今週の図書
枝廣淳子
『レジリエンスとは何か 何があっても折れない こころ、暮らし、
地域、社会をつくる』
ビル・コッター『ぜったいに おしちゃダメ?』

□オンエア曲
What cha’gonna do for me / Ned Doheny
Overdose of joy / Eugene Record
Strings / Kenny Rankin
Nonsense / Sabrina Carpenter
Holiday / TAIKING
You've Got A Friend (Live) / Carole King
Monster 1 / 坂本龍一