
今回のテーマは「ナラティブ」
参考図書はロバート・J・シラーの
『ナラティブ経済学 経済予測の全く新しい考え方』です。
「ナラティブ」とは、物語、語り口、話術と訳される言葉で、
ナレーションと同じ語源です。
ストーリーは、主人公やその他の登場人物をメインに話が展開し、
物語が完結するのが基本。
ナラティブは語り手が物語の主人公となり、
完結していなくても構わない、現在進行系の物語ということになります。
「ナラティブ」(物語)が経済にも影響を与えるということが、
この参考図書では提唱されています。
最近の事例でいうと「ビットコイン」があります。
ビットコインは、みんなが価値があると思わなければ何の価値もないものといえます。
しかし、若者を中心に支持を集めたのはなぜかなのでしょうか?
シラー教授曰く、
「ビットコインの開発者とされるサトシ・ナカモトの神秘性」があります。
「通常の通貨は国家が管理しているのに対して、暗号通貨であるビットコインは
政府の管理下にない。政府の統制から逃れることができるアナキニズム」
といったナラティブによって、支持を集めたといわれています。
人々は、人生や物事にストーリー・意味を求めるところがあります。
そこで、織田信長はナラティブを取り入れた人なのでは?という話に。
土地のとりあいではなく、無限に増やせるものを作らなければと考えた信長。
そこで茶道具に目をつけ、素晴らしいと思ったものを城と交換したと言われています。
そうすると茶器の価値があがり、茶器がどんどん増えていったのかもしれません。
現代において、怖いのは虚偽のナラティブが拡散していくこともあるということです。
後から正しいナラティブで訂正しても、それは最初のナラティブよりはインパクトに欠けます。
そのため間違ったナラティブが訂正された後でも、
社会や経済に影響を与え続けることは多々あります。
今はビジネスでもナラティブが活用されていることがわかります。
これまでは作り手の想いや情報を伝えるコミュニケーションが主流でしたが、
顧客自身の物語にアプローチしていく
ナラティブ・マーケティングが増えてきていると言われています。
ユーザーの物語を想像して、
そこにどんな利益や恩恵を付加することができるかを訴えることができるのです。
「ナラティブ」について、 もっと深く知りたいという方は
ロバート・J・シラーの 『ナラティブ経済学』をぜひ読んでみてください。
■毎週、各界の著名人がこの図書館にふさわしい1冊を紹介して下さる
「BOOK SHARING」
ROTH BART BARON三船雅也さんに
エリック・マコーマックの著書『雲』を紹介いただきました。
■図書館の膨大なCD・LPコレクションから他ではめったに聴くことのできない
レア音源を特別に試聴するコーナー「RARE COLLECTION」
今回は1960年代後期から70年代初期に人気があったアメリカの男女デュオ、
デラニー&ボニー。
彼らがDelaney & Bonnie and Friends featuring Eric Clapton名義で、
1972年にリリースしたシングル「カミング・ホーム」の
カップリング・ナンバー(B 面)、[Groupie (Superstar)]です。
アメリカ南部出身のデラニー・ブラムレットは、
この時期にエリック・クラプトンやジョージ・ハリスンと交流を持って、
UK のロックのミュージシャンにも大きな影響を与えて、
いわゆるスワンプ・ロックのブームを巻き起こした人物です。
なかでもエリック・クラプトンはヴォーカル面でも強い影響を受けて、
デラニーの周辺にいたミュージシャンと一緒に初のソロアルバムをリリース、
そのメンバーを中心に結成したのが、のちの[レイラ]でお馴染みの
デレク&ザ・ドミノスです。
当時はアルバム未収録でシングルのカップリングだったこの曲は、
ボニーがリード・ヴォーカルをとったバラードで、
作者はレオン・ラッセルとボニー・ブラムレットの共作。
リタ・クーリッジやカーペンターズもカヴァーしたこの名曲です!
□今週の図書
ロバート・J・シラー 『ナラティブ経済学~経済予測の全く新しい考え方』
エリック・マコーマック『雲』
内田 樹『コモンの再生』
□オンエア曲
Suddenly I see / Kt Tunstall
Say you love me / Patti Austin
Do you feel like I feel / Nicola Conte
Sauna / Vulfpeck&Vulf
極彩|IGL(S) / ROTH BART BARON
Groupie (Superstar) / Delaney & Bonnie and Friends featuring Eric Clapton
Oh Caroline / The 1975