
今回のテーマは「スペキュラティヴ・デザイン」
参考図書はアンソニー・ダン&フィオナ・レイビーの
『スペキュラティヴ・デザイン 問題解決から、問題提起へ』です。
あまり聞き馴染みのない言葉かと思いますが…
「スペキュラティヴ」は、問題を提起するという意味。
そもそもデザインは問題解決が役割でありますが、
「問題提起するようなデザイン」という意味になっています。
「スペキュラティヴ・デザイン」は従来のデザインとは、むしろ逆。
問題を解決するのではなく、「問い」を生み出す、
考えるきっかけを与えるということです。
今私たちが生きている世界に別の可能性を示す、そんなデザインなのです。
なぜ今スペキュラティヴ・デザインが、必要なのでしょうか?
テクノロジーの急速な発展や地球環境の変化で、私たちの未来はますます
予測不可能になっています。
そんな世界の変化に対応するためには、
これまでの価値観や考え方を変えていかなければいけないためであると言われています。
館長が「スペキュラティヴ・デザイン」で思いあたったのは「無印良品」の登場。
これまでの過剰にデザインされていたものを全部削ぎ落とし、
シンプルなデザインで売り出しました。
資源、コストなどたくさん使われている商品のデザインですが、
シンプルにすることによって、過剰になった消費主義は生き過ぎている?
という問題を定義しているのではないかという話になりました。
当たり前だと思っていることを、改めて考えさせられることがあるデザインが、
身の回りに増えてきているのかもしれません。
最近、オランダの「フェアフォン」という企業の携帯が広まっています。
これは、自分で分解できるデザインになっていて、
必要な部品だけ買い替えることができます。
2~3年に1度は機種自体を買い替えるという人が多いスマホですが、
こういった取り組みは、CO2の削減につながるといわれています。
持続可能なデザインにすることが、私たちの行動への問題提起へ…
「スペキュラティヴ」なことが、
アートからデザインに、そして今やビジネスにつながってきているのです。
「スペキュラティヴ・デザイン」について、 もっと深く知りたいという方は
参考図書、『スペキュラティヴ・デザイン』をぜひ読んでみてください。
■毎週、各界の著名人がこの図書館にふさわしい1冊を紹介して下さる
「BOOK SHARING」
水曜日のカンパネラの詩羽さんに
川上未映子さんの著書『アイスクリーム熱』をご紹介いただきました。
■図書館の膨大なCD・LPコレクションから他ではめったに聴くことのできない
レア音源を特別に試聴するコーナー「RARE COLLECTION」
今回紹介したのは、1969年にデビューしてから、現在まで長らく活動している
エルトン・ジョンが1972年に発表した傑作アルバム『ホンキー・シャトー』。
3月末にリリースされた、最新ミックス/未発表セッションデモ/未発表ライヴが
収録された2枚組CD『ホンキー・シャトー(50周年記念エディション)』から、
「ロケット・マン」です。
このアルバム『ホンキー・シャトー』は、
エルトン・ジョンの初期の代表作で自身初の
全米ナンバーワン・アルバムとなっています。
50周年エディションからのライヴ・テイクでお届けしました。
□今週の図書
アンソニー・ダン&フィオナ・レイビー
『スペキュラティヴ・デザイン 問題解決から、問題提起へ』
川上未映子『アイスクリーム熱』
□オンエア曲
Sweet Memories / Jade Anderson
I want love to find me / Brenda Russell
What I am / Eddie Brickell&New Bohemians
Make it better / ANDERSON .PAAK FEAT.SMOKEY ROBINSON
金剛力士像 / 水曜日のカンパネラ
Rocket Man (Live) / Elton John
Minute by minute / The Doobie Brothers