
今回のテーマは「コンサマトリー」
参考図書は見田宗介さんの
『現代社会はどこに向かうか~高原の見晴らしを切り開くこと』です。
「コンサマトリー」は日本語で表現するのが難しい概念です…。
対義語でいうと「インストゥルメンタル」=手段主義になります。
「インストゥルメンタル」は、未来にある「目的」のために、
現在生きている人々のそれぞれの一回限りの生を手段化すること、
または未来のためにいまを犠牲にするといった意味があります。
参考図書によると、「コンサマトリー」は現在において、
直接に「心が躍る」ものとされています。
そのほかでは、「コンサマトリー」とは、
今この瞬間に感じられる愉悦・官能という利得によって
行為のコストが回収される活動とも言われています。
未来のために今を犠牲にする「インストゥルメンタル」ということの方が、
美学のように思われていたり、教えられているようなことも見られます。
しかし、現代社会を生きていくために、「コンサマトリー」という
今を充実させる考え方も大事ではないでしょうか?
ただそれをするために、仕事を辞めるわけにもいきません…。
遊ぶことと仕事をすることのバランスも難しいです。
そこで館長が目をつけたのは、
狩りは狩人がやると仕事だけども、上の身分の人がやると遊びになるということ。
他にも、歴史的に一番下の身分の人がやっていた農作業も、趣味とする人がいます。
遊びと労働はそう簡単に切り分けられるものではないのかもしれません。
やっている時に心の喜びを感じられるかどうかというのも、大事になっていきます。
そうはいっても、お金を持っていると裕福な暮らしができるという概念が
なくならない限り、「コンサマトリー」なことをやろうとしても
「インストゥルメンタル」になってしまいそうです。
私たちは「いまを未来のために手段化する」インストゥルメンタル思考に
浸っているので、最短距離でゴールを目指しがちです。
できる限りで、いろいろ試してみることは、無駄に思えますが、
そこに真のやりたいことを見つけられる可能性があるかもしれません。
「コンサマトリー」について詳しく知りたいという方は、
『現代社会はどこに向かうか~高原の見晴らしを切り開くこと』を読んでみてください。
■毎週、各界の著名人がこの図書館にふさわしい1冊を紹介して下さる
「BOOK SHARING」
作家で、 東京工業大学リベラルアーツ研究教育院・教授の、
柳瀬博一さんにユクスキュル著『生物から見た世界』をご紹介いただきました。
■図書館の膨大なCD・LPコレクションから他ではめったに聴くことのできない
レア音源を特別に試聴するコーナー「RARE COLLECTION」
今回は、来月来日公演が予定されていて、現在も現役バリバリで活動している、
ボブ・ディランです。
2016年秋にはポピュラー音楽界では初の「ノーベル文学賞」を受賞して
話題となりました。
そんなディランが1997年に発表した傑作アルバム
『タイム・アウト・オブ・マインド』。
1月末にリリースされた、その最新リミックス/アウトテイクス・ボックス
『フラグメンツ〜タイム・アウト・オブ・マインド・セッションズ』から、
未発表テイクの「メイク・ユー・フィール・マイ・マインド」です。
このアルバム『タイム・アウト・オブ・マインド』は、
当時U2などを手がけていたダニエル・ラノアにプロデュースを仰ぎ、
完成させた、久々の傑作アルバとして評判を呼びました。
その中に収録されているアウトテイクをお送りしました。
□今週の図書
見田宗介『現代社会はどこに向かうか~高原の見晴らしを切り開くこと』
アラン『幸福論』
ユクスキュル『生物から見た世界』
□オンエア曲
Lawyers in love / Jackson Brown
Baby,I need your love / Angela Bofill
Last Night / Morgan Wallen
Loneliness / Ginger Root
Rose Marie(mon Cherie) / Marlena Shaw
Make You Feel My Love (Take 1) / Bob Dylan
You can have her / Elvis Costello