2023.03.18 ONAIR

今回のテーマは「寛容」

参考図書は森本あんりさんの 『不寛容論 アメリカが生んだ「共存」の哲学』です。
「寛容」というのは、心が広くて他人の言動を受け入れること。
参考図書によれば、「自分とは違う人や自分が否定的な評価をするものを
受け入れること」とされています。

特にこれは、宗教や性の問題に関する態度決定によく現れます。
日本でもずっと意見が飛び交っている、なかなか受け入れる動きが見られない
ジェンダー、セクシュアリティの問題や差別にもつながります。
自分の周りに自分と違った考え方やジェンダー、セクシュアリティの人が
どれだけいるか、自分の知り合いでそういう人を思い、浮かべることが
できるかどうかで、寛容・不寛容の差が出てくると言われています。

「寛容」にはいくつかのパラドックスがあるそうです。
まずは、寛容であるためには、相手を嫌いではないといけないということ。
寛容とは嫌いなもの、悪しきものに対してのみできます。
好きなものや嬉しいものにはそもそも寛容になるという考えは出ないと思います。

そして、不寛容な人に対して「寛容」になれと言うのもパラドックスです。
これは寛容の押し付けになり、
不寛容を受け入れないという「不寛容」になってしまうのです!

では、「寛容」であるためには実際にどうすれば良いのでしょうか?
不寛容な人は、相手も自分と同じだと勘違いしているということもあります。
気付かぬうちに、誰かに寛容に接してもらっているということを
忘れてはいけないという考えが出てきました。

ねるさんが通っていた学校では、
受験勉強を乗り越えれば、校則がゆるくなるというのが今までの流れだったそうです。
しかしねるさんの学年で校長先生が変わり、校則が厳しくなってしまいます!
(まさにブラック・スワン…)
卒業するとまた校則がゆるくなり、「自分はこんな感じだったのに…ずるい…」
というようなことを思ってしまったそうです。
こういう思いをした人は本当に多いと思います。
自分が経験した苦労を下の人も経験すべきだと思ってしまう。
この先輩後輩あるあるも、不寛容なのかもしれません。

また、自分が苦労して得た知識や情報を、
簡単に人に教えたくないという思いが出てくるという経験をした人もいると思います。

そんな時、教えるのか教えないのかだと、教えたほうがプラスだと山口館長。
教えたことで相手が喜び、相手の行動によって自分が徳をするということも。
(本当は秘密にしたかったけど、誰かに教えた商品が売れて、自分も使い続けられるなど…)
まずは自分が得なのか、損なのかを考えるということから
「寛容」は始められるのかもしれません。

「寛容」についてもっと考えてみたいという方は、
参考図書『不寛容論 アメリカが生んだ「共存」の哲学』を読んでみてください。


■毎週、各界の著名人がこの図書館にふさわしい1冊を紹介して下さる
「BOOK SHARING」

起業家で、「green bean to bar CHOCOLATE」を創業した安達建之さんに、
佐久間祐美子さんの『ヒップな生活革命』をご紹介いただきました。


■図書館の膨大なCD・LPコレクションから他ではめったに聴くことのできない
レア音源を特別に試聴するコーナー「RARE COLLECTION」

今回は、矢野顕子さんが、1986年リリースしたシングル[愛がたりない]です。

1976年にアルバム『JAPANESE GIRL』でソロ・シンガーとしてデビューした矢野さん。
その独特なヴォーカルとピアノによるパフォーマンス、
クオリティの高い音楽性で人気を集めます。

矢野顕子さんが作詞・作曲、当時のパートナーだったミュージシャン、
坂本龍一と共にアレンジした一連の作品のうち、
86年にリリースされたシングルが、この[愛がたりない]です。

オリジナル・アルバムには未収録のレアなナンバー曲を7inchでお送りしました。


□今週の図書
森本あんり『不寛容論 アメリカが生んだ「共存」の哲学』
二宮尊徳『二宮翁夜話』
佐久間祐美子『ヒップな生活革命』
千葉雅也『アメリカ紀行』

□オンエア曲
Still a friend of mine / Incognito
I wish knew how it would feel to be free / Nina Simon
Skylight / Gabrielle Aplin
Whatcha gonna do / Frank McComb
Open Your Eyes / Bobby Caldwell
愛か?たりない / 矢野顕子
Joga / Bjork