2023.02.25 ONAIR

今回のテーマは「暗黙知」

参考図書はマイケル・ポランニーの『暗黙知の次元』です。
「暗黙知」というのは、個人の経験や勘、直感などに基づく、
簡単には言語化できない知識のことです。

参考図書『暗黙知の次元』で暗黙知の例として挙げられているのは…
自転車の乗り方 、目分量による味付け 、職人ワザなどがあります。

ねるさんが「暗黙知」かもと思ったのは、演技!
人に届く演技とはどんなものかというのは、テキスト化できません。
その人の表現の仕方がとても良いと思っても、
自分ではなかなか真似できないということがあります。

「暗黙知」の反対語は「形式知」と言われています。
「形式知」とは、言語化された知識のことで、
例えば、「マニュアル」や「食材、調理法、分量などが具体的に記されたレシピ」などです。

例えるならば、「形式知」は氷山の水面に出ている部分で、「暗黙知」は水面下の部分。
つまり「暗黙知」の方が、より多くの知識があると考えられています。

「暗黙知」というのはビジネスにおいては不都合な場合も多いです。
言語化、図式化されていないので、知識の共有化が難しく、
「暗黙知」を持っている人しか活用できないというところがあります。
そのため技術の継承が難しく、言語化されていないので、
「見て覚えろ」「見て盗め」といった 教育になってしまうことも…。
その結果、「暗黙知」のある人がいなくなった時、業務に支障が出てしまいます。

しかし、厄介だけどなくなったら寂しい「暗黙知」…
その人にしかわからないような知識や感覚は、
同じものを見たり聞いたりし続けた量の蓄積によって変わってくると山口館長。

確かに、こういうのがJ-WAVEぽい選曲とか言われたりするのは、
長年、J-WAVEを聴いてきた上でそう感じられるところもあるかもしれません。
その積み重ねた動きは、なんとなく外の人にも伝わっていることがありそうです。

「形式知」への変換が必要な場面もあるとは思いますが、
今後、いろいろな仕事がAIに取って代わられると危惧される今、
あらためて「暗黙知」を再評価すべきかもしれません。

自分が得意と思ったり、自分なりの感覚を持っているものも、
大切にされるべきでもあると思います。


■毎週、各界の著名人がこの図書館にふさわしい1冊を紹介して下さる
「BOOK SHARING」

今回は、音楽ユニットFrascoのメンバーで、
J-WAVE GRAND MARQUEEでもナビゲーターを務めている、
タカノシンヤさん。
日本に現存する最古の和歌集「万葉集」をご紹介いただきました。


■図書館の膨大なCD・LPコレクションから他ではめったに聴くことのできない
レア音源を特別に試聴するコーナー「RARE COLLECTION」

今週は、坂本龍一が1980年代にYMOとしての活動のあと、
ソロ・アーティストとしてリリースしたシングル[FIELD WORK]です。

1983年の活動休止後に、坂本龍一さんが当時人気だったイギリスのミュージシャン、
トーマス・ドルビーとコラボした、 1985年リリースのシングルが、
この[FIELD WORK]。

この曲のイントロにある「ショワ〜」というシンセの音は、
YAMAHA DX-7 のフランジド・オーケストラと呼ばれる音で、
坂本さんが人から譲り受けたものを手に入れた翌日に、レコーディングで使用したとか。
この7インチ・シングルは、トーマス・ドルビー自身によるロンドン・ミックスと
坂本龍一による打ち込みミックスの両面となっていて、
12インチ・シングルより収録時間が若干短くなっている貴重なバージョンです。


□今週の図書
マイケル・ポランニー『暗黙知の次元』
『万葉集』

□オンエア曲
Harvest for the world / The Isley Brothers
There’s Music in the air / Letta Mbulu
Eggplant / Michael Franks
Softly / Arlo Parks
Butterfly Effect / Frasco
FIELD WORK / RYUICHI SAKAMOTO feat. THOMAS DOLBY
The Girl is mine / Michael Jackson&Paul McCartney