2023.01.28 ONAIR

今回のテーマは「不便益」

参考図書は川上浩司さんの
『ごめんなさい、もしあなたがちょっとでも行き詰まりを感じているなら、
 不便を取り入れてみてはどうですか?~不便益という発想』です。

「不便益」というのは、現代社会の基準では「不便」と思われがちなことに、
「益」を見出すという発想。

実は、この本の長いタイトルも「不便益」 です・・・
タイトルが長くて読みづらいのですが、その分、数ある本の中で目を引きます。
そこから売れる可能性が増すともいわれます。

ただし、「不便の効用を活用する」といっても、
不便だった昔の生活を懐かしむ懐古主義でも、昔の生活に戻れという運動でもありません。
あくまで不便だからこその効用が得られる、新しいシステムをデザインするための方法論、
それが「不便益」という発想ということです。

実際に不便の効用を活用している実例を挙げると
立川市の「ふじようちえん」があります。
照明は昔ながらの裸電球を使い、紐を引っ張って点けたり消したりし、
水道もセンサー式ではなく、蛇口をひねる形になっています。
さらに園庭と園舎の境のトビラはすべて引き戸で、
最後に少し力を入れないと閉められないよう設計に。
そうすることで、体験の豊かさやモノの動きの仕組みを理解してもらっています。

今「不便」なモノが人気を集めています・・・
例えば、デジタルカメラが全盛の今、「写ルンです」の人気が再燃しています。
デジタルカメラに比べて不便ですが、逆にそこが若い世代には魅力的のようです。
それはビジュアルだけでなく、カメラがどう動いているのかという仕組みを知ることができる利点もあります。

さらに、行きづらいからこそ行ってみたくなる離島などの観光地も「不便益」かもしれません。
アクセスが悪いほど、そこにわざわざ行った特別感があるような気もします。

では逆に、便利なものに頼りすぎることで困ることはあるのでしょうか?
「不便益」として人気が見られるのは、暖炉や薪ストーブもありますが、使えるまでとにかく手間がかかります。
しかし、電気ストーブだと、停電になると使えなくなってしまいます。
薪を扱えるようになると、いざ電気などが途絶えてしまったとき、便利になります。
このように想定外のことが起こった時も、ある程度のことができる利点も「不便益」にはあります。

今はソロキャンプも流行っていて、その道具も商売になっています。
ビジネスを始める人は、もしかしたら不便益に注目してみるのも良いかもしれません。

「不便益」について詳しく知りたいという方は、
参考図書の『ごめんなさい、もしあなたがちょっとでも行き詰まりを感じているなら、
 不便を取り入れてみてはどうですか?~不便益という発想』を読んでみてください。


■毎週、各界の著名人がこの図書館にふさわしい1冊を紹介して下さる 「BOOK SHARING」

今週ご登場いただいたのは、
坂本龍一さんの 2010 年の海外ツアーに Ustream 配信で帯同され、
現在は、”メタバースは極楽浄土”であるとして、
ブロックチェーン実験集団 bettterを主宰されている、
平野友康さんです。

村上龍さんの『希望の国のエクソダス』をご紹介いただきました。


■図書館の膨大なCD・LPコレクションから他ではめったに聴くことのできない
レア音源を特別に試聴するコーナー「RARE COLLECTION」

今日は去年の11月にリリースされた、
トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズが1997年に収録した
CD4枚組ライブ・アルバム『ライヴ・アット・ザ・フィルモア』です。

1970年代後半に登場して、80年代、90年代、2000年代と
安定した人気と実力を保っていた 唯一のアメリカンバンド、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ。

こちらはライヴバンドとしても優れていた彼らが、
1997年にロックの殿堂フィルモアで連続20公演に渡る コンサートを開催、
その模様を58曲収録した4枚組 CD がこのボックスセットです!

オリジナルナンバーはもちろん、ディランやストーンズなどのナンバーをはじめ、
英米のロックのヒット曲や隠れた名曲を多数取り上げていて聴きごたえあります。

□今週の図書
川上浩司
『ごめんなさい、もしあなたがちょっとでも行き詰まりを感じているなら、 不便を取り入れてみてはどうですか?~不便益という発想』
村上龍『希望の国のエクソダス』

□オンエア曲
Kiss of life / Sade
Fool on the hill / Sarah Vaughan
You I’m thinking of / Relish
The world / Benny Sings
Chasing cars / Snow Patrol
I Won’t Back Down / Tom Petty & The Heartbreakers
Poetry Man/ Phoebe Snow