2022.11.19 ONAIR

今回のテーマは「応援消費」

水越康介さんの『応援消費~社会を動かす力』を 参考図書にお話していきます。

「応援消費」という言葉が広く使われるようになったのは、 2011 年の東日本大震災の時。
当初は「苦境の人や企業を消費で支援する」という意味合いでした。

2011 年には、
・被災地の生産物を購入する。
・収益の一部を被災地に寄付する商品を購入する/サービスを利用する。
・観光のために現地に行き、消費する。
といった「応援消費」が盛んでした。

そして「応援消費」が再び注目を集めたのは2020年の新型コロナウイルス流行です。
今回は対象地域が全国に、消費を通じて応援する対象も広がりました。
新型コロナウイルスのウイルスで打撃を受けた生産者や飲食店、
公演ができなくなったアーティストや劇団、劇場やライブハウス、
旅行者が来なくなった宿泊施設...などへ、たくさんの応援消費が見られたと思います。

「応援消費」が広まった要因の1つに、インターネットの存在があります。
SNS で個人事業者や中小企業でも苦境を発信でき、それが拡散され、
多くの人の目に触れて、ネット通販で、現地に行かずとも購入することができるようになりました。

「応援消費」の方法の1つに「クラウドファンディング」 があります。

館長の経験では、鎌倉の花見大会が財政難でできないということから、
鎌倉の会社を中心として、クラウドファンディングで資金を集めることになったそうです。

この言葉が浸透する前にもカンパや募金など不特定多数から資金を
集める方法はありましたが、インターネットを使うことで、大きく発展しました。
日本では資金提供のリターンとして、提供先のサービスや物品を受け取る形式が一般的です。
クラウドファンディングはリターンに対する魅力から資金を投資する人もいますが、
提案者を応援したいという気持ちから資金提供する人も少なくありません。
そういう意味では、提案者が苦境でなくとも、「応援消費」のひとつです。

最近は動画配信での投げ銭というシステムも見られます。
これも、 「応援消費」の方法の一つだと考えられます。
これまで音楽や演劇の分野では、ファンは公演チケットやCDなどの商品を 買うことで
「応援消費」していましたが、「投げ銭」機能の登場で、
ライブ配信中に直接金銭的な「応援」をすることが可能になりました。

なぜこのような形が定着したのか・・・
参考図書にはその理由の1つとして「手元に何か残るウィンウィンの関係があるから」
と書かれています。
受け手は直接応援の形を得ることができ、
贈る側も自分が力になれているという実感をより感じることができるということかもしれません。

しかし、応援消費にも問題点があります。
クラウドファンディングで、集めた資金が募集したプロジェクトと関係ないものへ流用されたり、
リターンされるもののクオリティが著しく低かったりというようなトラブルが起きています。

「応援消費」を実践する際は、相手を見極める力も必要になります。
詳しく知りたいという方は、参考図書の『応援消費~社会を動かす力』を読んでみてください。


■毎週、各界の著名人がこの図書館にふさわしい1冊を紹介して下さる 「BOOK SHARING」

シンガーソングライターのCHARAさんに
上野雄次さんの著書「花いけの勘どころ」 をご紹介いただきました。


■図書館の膨大なCD・LPコレクションから他ではめったに聴くことのできない
レア音源を特別に試聴するコーナー「RARE COLLECTION」

今回は、1991年にリリースされた、 スティーヴィー・ワンダーのシングル
「ゴッタ・ハヴ・ユー」にカップリングされていた曲
「フィーディング・オフ・ザ・ラヴ・オブ・ザ・ランド」です。

この曲は、1991年に公開された、スパイク・リー監督の映画
『ジャングル・フィーバー』のエンディングで流れていた曲ですが、
何故かスティーヴィーが手がけた そのオリジナル・サウンドトラック・アルバムには未収録!
アルバムからのシングル「ゴッタ・ハヴ・ユー」の B面にカップリングされていたのみという
入手困難なアナログ盤です。


□今週の図書
水越康介『応援消費~社会を動かす力』
上野雄次『花いけの勘どころ』

□オンエア曲
Change the world / Eric Clapton
Love,Love,Love / Donny Hathaway
If she doesn’t smile / Fantastic Something
Fragments of time / Daft Punk
A・O・U / CHAR
Feeding Off The Love Of The Land / Stevie Wonder
Inside Voice / Joey Dosik