2022.09.10 ONAIR

今回のテーマは「消費アクティビズム」

ダニエル・ミラーの『消費は何を変えるのか~環境主義と政治主義を越えて』を
参考図書にお話ししていきました。

「消費アクティビズム」とは消費によって社会に変革を起こさせようという動きです。
以前にねるさんも言っていた(8/13放送「サステナビリティ」にて)
「買い物は投票である」という考えとほぼ同じです。

「アクティビズム」は自分の行動で参加することで、
消費によるアクティビズムは政治参加に繋がる活動になることも。
自らの選択によって社会に良い影響が与えられるのです。

環境負荷の少ない商品を購入する=「購買」という投票、
逆に、環境負荷が大きい商品だから買わない=「不買」も投票
というように、「購買」「不買」どちらも「消費アクティビズム」です。

ダニエル・ミラーも「消費者は経済活動の受動的な終着点としてあるのではなく、
積極的に自分たちの世界を変容させている」と主張しています。

ねるさんも、
企業に対して不信感があったら買わない、応援したいものは買うというような行動をしていて、
インドの手芸や刺繍を適正な価格で現地の人とやり取り(フェアトレード)
しているアパレルブランドの商品を購入し、
普段は安いお金で労働を課せられている人の手助けになればと、
買うことによる協力をしているそうです。

政治に対して、デモや選挙に参加することももちろん大事ですが、
消費アクティビズムはより気軽に、自分も楽しんで、ポジティブな影響を与えられることが
できるかもしれません。

しかし、その分選択を誤ると悪い方に動いてしまい、
買う人の責任も問われるようになるので、よく見極めていく必要があります。

「消費アクティビズム」に向けて、意識を変えていくのは難しいのでしょうか?
日本は、宗教的なバックグラウンドがない国のひとつで、
日本の倫理は世間が許すか許さないかということになっていると山口館長。
宗教の中で「困っている人を助ける、そうしなければならない」
というようなはっきりとした倫理がなく、
世間の人たちのマインドが変わらないと良いこと悪いことの転換は
なかなか起こらないということです。

自分が変わらないと世間が変わらず、企業も変わりません。
その逆もそうで、世間や企業が変わらないと自分も変わらないという状況に
陥っていると言えます。
多くの人が商品を買うときに、どうしても広告やメディアで操作されてしまいます。
そのため、影響力を持っている企業が動くことで、
自分達もなんとなくついていく流れになるのではという考えが出ました。

例えば THE BODY SHOP は、動物実験はやらないと打ち出しました。
それにより、消費者は「他の化粧品会社は動物実験をやっているの?」と思うし、
BODY SHOPの商品を選ぶことで「私は動物実験をする会社の商品は 買わない」という
意思表示にもなります。

買ってもらうには安いものにしないと…というように、
商業においてどこも苦労しているのは事実です。
そのため、もっと先立って考え方を強く提示し、
企業としてファンをつけることによって、また状況は変わってくるのかもしれません。


■毎週、各界の著名人がこの図書館にふさわしい1冊を紹介して下さる 「BOOK SHARING」

シンガーソングライターのコトリンゴさんに
『日本の七十二候を楽しむ ―旧暦のある暮らし― 増補新装版』をご紹介いただきました。

■図書館の膨大なCD・LPコレクションから他ではめったに聴くことのできない
レア音源を特別に試聴するコーナー「RARE COLLECTION」

今回は、
1995年11月にリリースされた山下達郎さんのシングル
「世界の果てまで」にカップリングされている「二人の夏(Live Version)」をご紹介しました。

このシングルは90年代に広く流通した、8センチ短冊シングルです。
今ではすっかり廃れてしまいましたが、
最近また一部のコレクターや若いリスナーに注目されているそうです!

この曲「二人の夏」は、山下達郎さんとしては珍しい、
同世代の日本アーティストのカバーで、
浜田省吾さんがメンバーだったバンド 愛奴の曲の
1994年5月中野サンプラザホールでのライブバージョンです。

この頃は、達郎さんに限らず、
カップリング曲にライブバージョンやアルバム未収録曲などが収められているものが多く、
その辺りも再び短冊シングルの人気が出てきた理由かもしれません...


□今週の図書
ダニエル・ミラー『消費は何を変えるのか~環境主義と政治主義を越えて』
『日本の七十二候を楽しむ ―旧暦のある暮らし― 増補新装版』

□オンエア曲
My ever changing moods/ The Style Council
You could take me home / Angela Bofill
Open your heart / April Malean
Happiness / The 1975
おいでよ / コトリンゴ
二人の夏 / 山下達郎
She’s always a woman / Billy Joel