RADIO SAKAMOTO

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「坂本龍一です。2ヶ月に一度お届けしているレディオ・サカモトです。皆さん、お元気でしたか。さて今夜のレディオ・サカモトは、先月行われた僕のレーベルの10周年イベント『commmons10 健康音楽』のレポートを中心にお届けしていきます。」


<映画『レヴェナント』のテーマ曲を生演奏>

現在、公開中の映画『レヴェナント:蘇えりし者』。坂本龍一が音楽を担当したこの映画の特別上映会 "J-WAVE J-me SPECIAL PREVIEW 「レヴェナント」" が、2016年4月7日(木)に、東京・恵比寿のザ・ガーデンホールで行われました。会場にはピアノが用意され、教授のトークショーとサウンドトラックの生演奏が行われました。

「今回のこの映画音楽では、イニャリトゥと相談して、ピアノを使うのはやめようということになったんですよ。だからね、いわゆる普通のピアノの音は使ってないんですね。ただ、その効果音的な使い方っていうのかな、ピアノの。例えばですね、ピアノもいろいろ撫でたりね……(弦を撫でて音を出す)……、それとかこういうところを打(ぶ)ったりね。……それからね、弦の上を押さえて、押さえるところをずらすと……(弦を押さえながら弾く)……音が変わるでしょう。いわゆるピアノっていう感じの音じゃなくて、効果音的というか、ちょっと不思議な音がするんで、これは使ってます。あとはもう、チェロも使ったりとか、いろいろはしてるんですけど、それとシンセサイザーとかノイズの音とこう、うまくミックスしてね、やったわけなんですけど。」

「(いちばん最初に試写で観た感想) 音楽が大きかった、はっはっ(笑)……音が(笑)。あのー、映画によってはね、こっちが思ってたよりも、うんと下げられちゃって、聴いてほしいとこが、こう細かいところが聴こえないとかね、そんなことだっていくらでもあるわけですよ。今回はでかい、ふっはっは(笑)。まあだから、嬉しいといえば嬉しいんだけど、ちょっとでか過ぎじゃないかなあとかね、心配したりして(笑)。」

そして会場で、映画音楽の生演奏が行われました。
今回の番組でも生演奏の音源をオンエアしました。

「(演奏するのは)まあ一応、メインテーマを……と呼ばれてるものを演奏するのと、あとね、メインテーマっていうのは最初に作ったわけですよね。で、もうひとつ、テーマ "2" というものを、まあ僕は作って、イニャリトゥに聴かせて、いい曲だねとか言ってたくせに、本編で使ってなくて(笑)。それで映画が終わって、最後にクレジットがだーって出てきますよね、その頭で使ってんですよー。どういうことなんだろう(笑)。まあだから映画の中では使われてるんだけど、それも演ります、悔しいから。それと、まあいろいろね、サブテーマみたいのはあるんですよね。川のテーマとかね、いろいろあるんですけど。川……Riverね、それを演ろうかな。そんなに長い曲じゃないんで、演ってみます。」

■映画『レヴェナント:蘇えりし者』オフィシャルサイト
http://www.foxmovies-jp.com/revenant/

■オリジナル・サウンドトラック盤「The Revenant(蘇えりし者)」
http://shop.mu-mo.net/avx/sv/item1?jsiteid=CMM&seq_exhibit_id=160196&categ_id=572301&x=59&y=14

<『commmons10 健康音楽』を振り返って>

「えっとー、僕たちもですね、Commmonsとしてこのようなイベントはやったことがなかったので、正直こうやってみないと分かんないという感じでね(笑)。恵比寿ガーデンプレイスというあんな大きなスペースに、いろいろまあ考えましたけども、あれで足りてるのか、みすぼらしくなってしまうのか、正直言って並べてみないと分かんなかったんですけども。結果的には、たくさんの方に来ていただいて、非常に華やかな、いい感じのイベントになって、とても喜んでます。マルシェあり、フードコーナーあり、笑いありコンサートありという、まあその盛りだくさん感がうまくいったかなと、華やかなお祭り的なイメージでね。ヨガや太極拳などのワークショップも、とてもたくさんの方が参加してくれて良かったですし、この番組の公開オーディションコーナーもとても良かったと思いますし。予想してなかったんすけど、落語ですね、入りきれない人がたくさんいたりとかですね。あと、緩いラジオ体操がよかったですね。すごいたくさんの人が、あんなに遅いテンポで緩く、ラジオ体操する光景っていうのは非常にシュールでしたけども。ASA-CHANGや、やくしまる(えつこ)さんのラジオ体操のインストラクションがとてもよかったと思います(笑)、素晴らしい。毎年やってほしいなんていう声もあったりとかですね……マルシェとかフードとかヨガとか太極拳なんかは、いいですけどね。毎週やってほしいくらいですね、僕も散歩に行きたいです。」

■commmons10 健康音楽 オフィシャルサイト
http://www.commmons10.com

<健康音楽 トーク 田中泯×坂本龍一>

『commmons10 健康音楽』 より、今回まずは 4月9日(土) 恵比寿ガーデンプレイス・センター広場で行われた、「身体」「健康」をテーマとしたRADIO SAKAMOTO 公開収録、田中泯×坂本龍一の模様をお届けしました。

「田中泯さんに来ていただきました。そして、田中泯さんの唯一の弟子、石原淋さん。お二人とも、なんてお呼びしたらいいんでしょうか……踊り手さん、ダンサーですね、はい。何を話していいか全然分からない(笑)、あのー、何も考えていないので、ふたりでただ、もじもじしているだけではないかということで、石原さんにも来ていただいて、つっ込んでもらおうと思ってるんですけど。」
「しっかり、つっ込みます(笑)。」
「今回の『commmons10 健康音楽』なんですけども、そもそも長いこと、不健康な音楽が好きだったし、不健康に生きてきたんで、あまり健康とは馴染みがないんですけども。でもまあ最近、大きな病気をしたということで、当然いまはね、健康にも気を遣ってはいるんですけども。ただ健康といっても幅広すぎるので、いろんな角度から考えてみようということで、ひとつその、体というか身体ってことがあるので、身体といえば、身体のエキスパート……かな、と勝手に思っている田中泯さんに来ていただいたんですけども。身体とはなんでしょうか。」
「なんでしょうかね、これないと俺じゃないということも確かなんですよね。でもいつか来るんですかね、体なしの俺っていうの。」
「あー、埴谷雄高みたいな世界ですね。物質の存在しない、意識だけの存在。」
「この体がなくなると俺はいなくなるという……ことは、多分、まあ私たち生きてる間は、そんなことはないでしょうけど。」
「幽体離脱なんてあるんじゃないですか。意識がこう、体から離れていく。そういう経験をしたと言ってる人が世界中にたくさん居ますけど、ああいうことは本当に起こるんでしょうかねえ。」
「どうなんでしょうね。言葉の上ではね、体から出ていって、っていうような言葉は普通に日常でも使いますよね。僕の師匠なんかはよく、自分の体が立ち上がろうとするとね、僕の体ん中で姉がしゃがみ込むんだよね、っていうようなこととか。体と一緒に生きているという実感……とね、体を使ってるっていう事とは、別のことでしょ。体を使って生きているという実感が、ほんとは欲しいんですよ。体といっしょに生きてるという実感がね。」
「それが遊離している、意識と身体がね。遊離して、もう長いわけじゃないですか。デカルトから考えても、500年ぐらい。」
「ただ、もうますます、私たちの体の代行をするものが、もう、どんどんどんどん出来てきて、知能まで代行してもらうような時代になってきてますよね。そうすると、私というものもなんか危うくなってくる。」
「どこにあるのかっていう話ですよね。」
「これちょっと、昨日、怪我したんだけど、これも私なんですよ。私の指というよりは私なんですよね。どこもかしこも、もう、けつの穴も私だし。」
「だけど……と同時に、例えば口の中、胃の中、けつの中(笑)っていうのは、外界でもあるわけなんですよね。だから、そうすると私っていう……ものは、どこにあるのかっていうのは、なかなかわかりにくいですよね。」
「でも、1個の細胞から始まった私たちの人生ですから、人生って言ったらいいのかな(笑)、命の最初の人を先輩っていう風にね、仮に呼ばしてもらえば、まさに私たちの人生は、1個から始まって、どんどんどんどん増えていった、その細胞のですね、この集合体の中で、その中で私っていうものが形成されてることは確かですよね。僕はそれが面白くておもしろくてしょうがないんですよね。だから結構、お前はいったい何者なんだって言われても、へらへら笑っていられるような、そんな気分はありますけどね。」
「それは踊っているときに、私と身体っていうのは、どう、意識してるんですか。それ意識はしない。」
「日常的に僕たちはね、意識を通わせないでやっている運動が山ほどあるでしょ。で、踊ってるときって、意識を通わせているときと通わせてないときっていうのが、これは意識的にスイッチをオンしたりオフしたりした状態。だからこういう風にして、今、僕は意識を通わしています。でも、(頭を指差しながら)これをここで、保ってこのまんまの状態にするっていう意識はもちろんあるんだけども、これに何かをさせようっていうことは一切忘れて、この状態で他の部分……ここ以外の部分で、何かをしているというようなことは、たくさんありますよね。あのー……一体感っていうね、自分の体ひとつ、一体感っていうのがあるんだけど、あんまり好きじゃないです。そんなあるわけないです。いまも(会場の)あっちの方の音とか、いろんなものが聴こえているわけですし、そこにすごい速度で、ぱっぱっぱっぱっこう、自分の中に行き来をしてますよね。人が動いてるのも全部見えているし、これちっとも僕は複雑だと思わない。これが何十兆ですか……この生命の数、ものすごい数があるわけですよね。それの当たり前なこう、反応なんじゃないかなと思ってはいるんです、はい。」
「だけどさっき、泯さんが言ったように、今、バイオテクノロジーなどで、どんどんこうパーツをね、取り替えていけると。心臓を取り替えたり、いろいろと。果ては、知性まで外化するというか、あるいは他の機械的なものを入れちゃうとかですね。そうするともう、どこまで、例えば身体の全て人工的なものに置き換わったときに、それでも尚、私っていうものは……意識っていうものはあるんでしょうかね。」
「どうなんでしょうね。人間……人類がソメイヨシノみたいになったら、どうなんですかね。俺やだな、いっしょに咲きたくないな。僕のところにある桜はタカトオザクラっていう、ちょっと変なやつなんですけど、並んで植わっているのに、なぜかずれるんですよ。わざわざ1週間くらいずれて咲いてる感じがするんですよね。でね、1本いっぽんに、お前は……って、時々話しかけてるんだけど、それで当たり前ですよね。先生に手を挙げろって言われて、もう恐らく1秒か2秒かの差をもって上げる速度が違うじゃないですか。その個性がどうしても必要な気がするんだけど、それなくなっちゃったら、つまんないすよね。そのずれの意識、ずれている意識っていうのが、実は、僕らのいちばん見えない……いちばん大事な個性なんだろうと、僕は思うけど。音楽でもきっとそういう個性が発揮されているからこそ、違って僕らには聴こえてくるわけで。」
「また、同じ物理現象としての音を聴いても、ひとりひとり違って聴こえてるわけですからね。だから面白いんですけどね。」

「踊りって、間違いなく、時代ごとに変わってきてるわけです。もう言い切っちゃうけど、踊りってまず、流行なんです。音楽も流行です。間違いなく。特に日本の国っていうのは、特に新しい踊りに限って言えばですね、戦争のあと、アメリカから毎年まいとし先生が日本にやってきて、日本のダンサーたちは教わってたわけです。外国から有名な舞踊団がやってくると、一気に影響を受けて、踊りが変わっていくんですね。どんどん変わっていくわけです。ですから、流行するっていうのは、大勢の人が観てくれるっていうことなんでしょうけどね、あのー、それはそれでいんだけど、所詮、流行よ、と。じゃあ、本家の踊りっていう言い方があるかどうか分かりませんけども、踊りというもの、そのものは何を欲してるんだろうか。踊りがいったい何を欲してるんだろうか。その人は踊りたいから踊る、で、踊りは何を欲してるのか。っていう、こういう考え方ができないのかなーって、思いますね。」
「僕も……作曲なんて言いますよね。ある人間が作曲するなんて言ってますけどね、自分が作るという意識のときもありますけども、この音は、次どこに行きたがってるか、っていう感覚は、しょっちゅうありますよね。それから例えば、映画のために音楽をつけると。自分がそのコントロールして何か音の世界をつけるんだ、っていうよりかは、その映像、その映画がどういう音を欲しているのか、っていう風によく考えてますよ。むしろ、そっちが僕は主眼ですね。」


<健康音楽 トーク 福岡伸一×坂本龍一>

そして、4月10日(日) に行われたRADIO SAKAMOTO 公開収録、福岡伸一×坂本龍一の模様もオンエアしました。

「生物学者の福岡伸一先生です。福岡先生もこの2年余りですか、ニューヨークに住んでおられるので、ときどき会ってご飯を食べながら、特に生物学談義というわけではない……こんなね、大プロを前にして生物学の談義はできないんですけど、まあ雑談から、いろいろな面白い話に発展する……ときどきお会いするのを、ほんとに楽しみにしているんですけども。」

「ある種のバランスの上に、生命体はある……実は生命現象っていうのは、何かこう、秩序を作ることよりも壊すことを一生懸命やってるんですね。細胞を見ると、たんぱく質ができるとかDNAができるっていう風な構築の仕組みっていうのは、もちろんすごく精妙なものがあるんですけれども、20世紀ずっと、科学者がそれを追い求めて、分かった結論はたった一通りのやり方でものが作られてるっていうことが分かりました。ところが、21世紀になってみると、実は細胞がより一生懸命やっているのは、細胞の中のものを壊すっていうことなんですね。あらゆるたんぱく質、或いはDNAも、どんどんどんどん壊してる。それは、古くなったから壊してるわけでもなく、使えなくなったから壊してるわけでもなく、出来立てほやほやなのに、どんどん壊してるんです。その代わり、どんどん作り変えてる。で、その、ぐるぐる回ってる流れこそが、実は生きてるっていうことで、それをこう、名付けたり、見ようとすると、どうしても止めないといけないんで、だから、この断面とか、テレビで言うとフリーズボタンを押さないと物が見えないんで、それを見て、いろんなことを論じてますけど、実は絶え間なく動いているこの、流れの中に健康も不健康もあるわけなので、それを私は「動的平衡」と呼んでるんですね。絶え間なく動きながら、危ういバランスを取っている。常に自分というのを作り変えているというのが生命現象の中のもっとも大事なことで、健康だとか病気だっていうのも、ほんとは言葉で「健康」「不健康」って言葉を作るから、そういう状態があるように見えますけど、実はその差はないんですよね。」
「だから健康音楽なんて言ってますけども、そういう意味も含めて(今回のイベントのビジュアルで)逆さまにしているんですけど。」


<公開オーディションコーナー>

「今回は『commmons10 健康音楽』の会場、恵比寿ガーデンプレイスにて行った、公開オーディションの模様をオンエアしました。当日は教授、U-zhaan、長嶋りかこさん、そしてお客さんといっしょに、番組宛に送られてきたデモ作品を聴きながら、さらに銀河スープさん、鈴木伸明さんによる生演奏も行われました。

U-zhaan「今日の締め括りになにか、総評みたいなものをいただくことって。」
坂本「いやあ、外で、大きな音で、変わった音楽を聴くっていうのは、いいものですね。」
U-zhaan「変わった音楽って総評しちゃった(笑)。」
坂本「いやいや(笑)、なるべく変わったものを聴きたいじゃないですか。ねえ、普通のものはちまたに溢れているんで。なるべく、ここでしかかからないような。」
U-zhaan「最後に変わった音楽の親玉みたいなの、出てきましたもんね。」
長嶋「まさか生で聴けるとは思わなかったですよね。」
U-zhaan「生で聴いたら、こんなに倍音、鳴ってるんだって思ったら……」
坂本「そっちですか。」
U-zhaan「LIVEに行かないと分かんないものってあるような気がするんで」
坂本「うん、やっぱりLIVEですねえ。」
U-zhaan「皆さんもいろんなLIVEに行ってみた方がいいかもしれないですね。」
坂本「なんか総評は、ありますか、今回は。」
U-zhaan「いま……いま僕、総評のつもりだったんですけど。」
坂本「あっはっはっはっ(笑)」
長嶋「そうですよね、LIVEに行きましょうってことですよね(笑)」


オーディション・コーナーで紹介した作品はこのサイトでも試聴できます。すでに著作権管理団体に登録している作品の応募は受け付けられませんので、オーディションに応募される方はご注意下さい。
RADIO SAKAMOTOオーディションに御応募頂いたデモ作品にまつわる個人情報の管理、作品の管理は、J-WAVEのプライバシー・ポリシーに準じております。詳細は、こちらを御確認ください。

■『commmons10 健康音楽』の会場で配布したCDを5名さまにプレゼント!

今回は、『commmons10 健康音楽』のためにU-zhaan + 蓮沼執太 feat. ヨシダダイキチがレコーディング、会場で配布したCD『健康音楽EP』を5名さまにプレゼントいたします。

番組の感想やメッセージも、ぜひお書き添えのうえ、コチラからご応募ください(教授と番組スタッフ一同、楽しみにさせていただいてます)。当選者の発表は、発送をもって代えさせていただきます。