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ARCHIVE:161106

「坂本龍一です。あっという間の2ヶ月でしたけども、皆さん、お元気でしたでしょうか。今回が今年最後の放送になります。アメリカの大統領選が二日後に控えています。困ったものですねぇ。どうなっちゃうんでしょうか。」


<ソロアルバムの進行状況>

「まずは近況報告です。えーっとね、まぁ、今もまだ日本で公開しているのかな?『怒り』という、李相日監督の映画が公開されまして、そのサウンドトラックを今年の春、やってた訳ですよね……3月末くらいまで。そこからソロアルバムの制作に入ったんですが、大分長いこと、何やろうかなぁ、こういうのやろうかなぁ、あれをやろうかなぁ、といろいろ試したり、音を作ったり、音を外に録りに行ったりとか、試行錯誤していたんですが、なかなかこういう方向に進めようっていうのが決まんなくて、それで前回の放送くらいのときに、やっと方向性が見えてきたっていう話をしたんだったかな。そこから2ヶ月、まあ方向性が見えたら、あとは割りと早かったですね。でいまはもう……現在の時点で、あとは少しやんなきゃいけない、これが必要だっていうのはいくつかあるんですが、ほぼできちゃってて、あとは技術的なところを残すのみなんで、もう……9割方近くできた感じですかね。でもね、なんでしょう……心境としては、まだ、できたてのホヤホヤで、自分としてはこれでいいと思ってるし、かなり好きな、自分が聴きたいと今思っている音が出来たと思うんですけど、なんかね、まだ人様にお聴かせしたくないような(笑)……わかんない、子供が生まれて人に見せたくない、じゃないけど、普通は自慢して、可愛い子どもでしょって見せびらかしたりするお母さんなんかもいるかもしれないけど、なんかそういう気になれなくてね、しばらくはまだ(笑)、秘めていたいような気さえ……するんですけどね。でも、そんなこと言ってられません。春には皆さんに聴いてもらわないといけないですけども。」


<今、自分が聴きたいと思える音>

「まあ、8年ぶりだし、病気もしたり、人生観も変わってきたし。本当にその、今……自分が聴きたいと思える音をなるべく忠実に作ろうというのが、テーマといえばテーマですね。前回の7〜8年前の『out of noise』って言うソロアルバムの時は、制作している途中で、急に北極圏に行きませんかって言う話が舞い込んできて、本当は行きたくなかったんですよね。もうせっかくこう、頭が制作モードになっていて、それが旅行で断ち切られちゃうのが本当に嫌でね。だけど、まぁ北極圏に行くかなんて一生に一度あるかないかの機会だから……関心もあったしね、見てみたかったから、かなり迷った末に行くことにしたんですけど、行ってみたらとってもすごい刺激をたくさん受けてね。そこで録ってきた音なんかも、今度ニューヨークに帰ってきて、大事な素材になったんですよね。だから北極圏に行く前に、どういう……何を制作していたかを忘れちゃったぐらいに(笑)、もうインパクトが強くて、すごい短い10日くらいですけど、素晴らしい体験になったんですけどね。今回は北極圏に匹敵するような何かっていうのは特になんいですけど、実はいろいろな音の素材……をニューヨークでも、それから実は日本に行って録ったりもしたんですよね。前回でも言いましたよね、出勤時間の新宿駅に行ったりとか、そんなことも含めていろいろあるんで、そういうまあ、フィールドレコーディングというか、そういうものを、今作っているアルバムのすぐ後にもう作っちゃおうかなと。たくさん素材があるのでね……と思ってるくらいなんですけども。ま、でも、とりあえずこれをフィニッシュさせて、ですね。」


<ベルギーの映画祭で受賞>

「先日、2週間くらい前かな。ある映画祭の授賞式の為にベルギーに行ってきたんですけど。ベルギーでは何回かコンサートもしたことあるんですが、今回行ったのは、ゲントという街なんですね。ベルギーといえば、首都のブリュッセルとかアントワープなんか有名ですけど、ゲントはそれに次ぐ都会で、そこで「ゲントフィルムフェステイバル」という映画祭をやっています。で、この映画祭はとてもユニークで、多分で世界で唯一、映画音楽にこう焦点を当てている映画祭なんですね。なので世界中の映画音楽関係者、映画関係者が一堂に会すというような映画祭で、僕も今回呼ばれるまで知らなかったんですけど、行ってみたら、本当にいろんな国から、多種多様のジャンルの人たちが来ていて、お互いね、こういう機会でもなければ。で、いろいろと交流したりしたんですが。英語で言うと「Life Time Achievement」というアワードなんですけど、人生をAchieveした……普通に訳されているのは名誉賞とか栄誉賞というのかな。まあその、いろいろたくさんやってきましたね、おめでとう。というような賞のようですが、スピーチでも言ったんですが、そう言われちゃうと、もう残りの人生ない、終わっちゃったみたいな感じで。それはね、モリコーネ大先生のように80いくつになって、人生で280いくつも映画音楽をやっている方は、もう十分それに値すると思いますが、もう私なんかほんと若輩者で、大した数の映画音楽もやっていないので、こんな賞をもらっていいんだろうかと……いうようなスピーチをしたんですけどもね。そんなことがありました。」

「ゲンツっていう街は……ヨーロッパにはそういう街はたくさんありますけど、本当に中世の街並みが残っていてですね、例えば市役所が13世紀に出来た建物そのまま、というか直してるんですけども、外観はそのまま使ってますね。有名な大聖堂なんかもあったりして、ファン・エイクの世界的に有名な絵画があります。文化的にも中々面白い。あと、驚いたのは、食……foodのレベルがすごく高かったです。基本的にはベルギーっていうのは、フレンチ料理に近い感じなんですけど、まあ世界的な傾向ではあるけれども地産池消というかね、ローカルなその地方の食材を使った、とてもエココンシャスなレストランが多いと思いました。味も素晴らしく、魅せ方もほんとにセンスがよくて……っていうね、そういったところがいくつかありましたね。いいですね。うーん、近況……あとは何だろう。そうなんですよ、H&MとKENZOのコラボのキャラクターの一人に選ばれて、やっててね。僕はあれは丹前と呼んでるんですけど。綿入れみたいでしょ。丹前って言っても、最近若い人は分かんないみたいね。丹前って言ってもポカーンとされちゃって。とかあと、ニューバランス……とはね、以前、15年くらい前かな、一緒にやったことありますけど、またお声がかかってなんか、頭にね、靴乗っけてますけど。あれもう、本当一瞬でノリましたね。スパッと。そんなことどうでもいいか(笑)。あとはコーヒーのCMですか。まあ、そんな近況って変な近況ですねえ。」


<コモンズスコラ、第16巻は『日本の歌謡曲・ポップス』>

「リリースとしてはですね、12月21日に、やっととうか、スコラシリーズね。病気もしたんで、ほんとに展開が遅くて申し訳ないんですけど、やっと16巻目、出ます。1年がかりでやってますけど、今回はスコラの日本の歌謡曲とポップスというテーマです。もう本当にたくさん今回は聴きました、日本の歌謡曲の創世記からたくさん聴きました。話の内容もかなり面白いと思います。それからもうひとつ、Year Book……年鑑ですね。その第三弾1980年から84年という、これがもうすぐ出るんですが、今、随時、鋭意制作中で、2月に出せるか3月になっちゃうか……ソロ(アルバム)といっしょにした方がいいのか、いっその事分けた方がいいのか検討中なんですけどね、やってます。」

■坂本龍一:監修の「音楽全集」commmons: schola(コモンズ・スコラ)
http://www.commmons.com/schola/

■第16巻 『日本の歌謡曲・ポップス/Japanese Pop Music』
http://shop.mu-mo.net/avx/sv/item1?jsiteid=CMM&seq_exhibit_id=183480&categ_id=8002143/

<作曲家としての村治佳織さんに驚いた>

「ギタリストの村治佳織さんが久しぶりにアルバムを出したんですよ。で、コメントを送らせてもらったんですけども、何年か前にはね、村治さんの為に僕が楽曲を描き下ろしたりしていまして、あとは僕の映画音楽で……「一命」でギターを弾いてくれたり、素晴らしいギタリストですよね。今回の村治さんのアルバム、10月26日に発売されたらしいんですけど、タイトルが「ラプソディー・ジャパン」。その中で今回初めて村治さんの、自分の作曲した曲を発表してるのね。全部じゃなく半分くらいあるかな。でね……村治さん、演奏家としても素晴らしけど、作曲家としてしても全然、素人の手慰みでは全くなくて、ちゃんとしてて驚いちゃったんで、そういうコメントを出したんですけど。ちょっとみんなにも聴いてほしいんですけど。」

■村治佳織『ラプソディー・ジャパン』
http://www.universal-music.co.jp/kaori-muraji/products/uccd-9969/

<坂本龍一が最近聴いている曲を紹介するプレイリスト>

音楽をもっとたくさんオンエアしたい、紹介したいという教授からの提案でスタートしたこの "プレイリスト"。この2ヶ月間でよく聴いていた曲をじっくりとオンエアしていくというコーナーと言いますか、時間です。

「今夜まずは、これ全然、情報がこの人に関してはないんですけども、多分トルコの人だと思うんですね、十中八九。チェンギスアズカーンという人で、ま、こういう曲です。」

  • Bir Ay Dogar Ilk Aksamdan Geceden / Cengiz Özkan

「これがトルコ語なのかどうかさえも分からないんですけども。……素晴らしいと思いますねえ。次はですね、全く飛びまして、こんな曲。」

  • Sonata in B Minor, L. 33 / Vladimir Horowitz & Domenico Scarlatti

「これはですね、Vladimir Horowitz、亡くなりましたけど……が弾くDomenico Scarlattiというイタリアの作曲家のソナタですね。ロ短調のソナタ、作品番号は33となってますけど。なぜこれかって言うと、この録音は最晩年ではないと思うんですが、インターネットで偶然ね、ホロヴィッツが弾くこの曲の……本当にもうおじいさんになってからの最晩年の映像を観たんですよ。それがね、信じられないぐらい素晴らしくて。おじいさんもいいなぁと思ったんですねえ。それで探したんですけど、その録音は見つからなかったんですけど、同じ曲のもう少し若いときの録音でした。それから次はこんな曲かな。」

  • Studies 3-4 / Frankie Reyes

「Frankie Reyesって言う人ですね、"Studies 3-4" という曲なんですけども。シングル盤ですね。全くどういう人か知りません。本当に偶然のように知った音楽で、どういう背景の人かよく分かりませんけど、多分このサンプリングの民族的な素材に、キーボードを足してるんですけど。その……マッチングというかミスマッチングというか、ものすごくかっこいいなと思います。またすごく飛びまして、こんな曲です。」

  • Don Giovanni/Act 1 - "Madamina, Il Catalogo È Questo" / Fernando Corena and Josef Krips

「これはまぁ、聴いた事がある人も多いかもしれないですけど、モーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」のオペラの中のAct 1ですね。マダミーナというところですね。なんていうか一種こう……ミニマル・ミュージックのように聴くと面白いというかね、そういう感じなんですね。面白いなあと思ってるんですけど。それだけです。ミニマルついでに、これなんかどうですか。」

  • III. Grandmother and Kimitake / Sonic Art Saxophone Quartet

「ね、ほら、ちょっと……モーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」と共通するところが感じられるでしょ。そうなんですよ。でこれ、僕がこのひとをかけるのは、ほんっと珍しいんですけど、フィリップ・グラス。ミニマルミュージックの元祖の一人ですよね、スティーヴ・ライヒと並んでね。その人の昔、「ミシマ」という映画の音楽をフィリップ・グラスがやって、その中からの曲ですけども。「ミシマ」の音楽の組曲状にしたのかな、その3番目の曲で、「Grandmother and Kimitake」という曲なんですけど。これはね、サクソフォーンのアンサンブルでやってるのね。それがすごく僕には新鮮だったというかね。フィリップ・グラス、いつもいいとは限んないんだけど、いいものもあって、これはなかなか面白いなと思いますけど。」

「もう1曲ぐらいいこうかな。さっき、ベルギーのゲントというところに行ってたという話をしたんですけど、ゲントでなぜかね、僕はもうこれにハマってしまって、ほぼずーっと一人で部屋にいるときは、ずっとかけっぱなし……リピートしてループして。宮田まゆみさんという、素晴らしい笙のプレイヤーの、これは雅楽の中の一つの曲といか、調子というんですが。「Hyojo no Choshi」というやつですね。」

  • Hyojo no Choshi (Gagaku) / Mayumi Miyata & Stefan Hussong

「なんかほんとにもうバラバラですけど、僕が聴いてるものは。どうでしたでしょうか。」


<エコレポート:上岡裕さん>

「エコロジーオンラインの上岡裕 (NPO 法人エコロジーオンライン理事長) です。前回はワールドハピネスのレポートをしたと思うんですが、10月29日、石川珠洲市で「風の音楽祭」というコンサートを実施してきました。2日間にわたって行われた、全国 風サミット in 珠洲 というイベントを記念する形で地元のアーチストと共に、一青窈さんにLIVEしてもらいました。全国風サミットは、風力発電に関わるひとが一堂に会するイベント。今年サミットが行われた珠洲市には、もともと原発計画があったんですよね。その計画が白紙になり、その代わりに風力発電のウィンドファームが建設された……そういう歴史を持つ場所です。現在、そのウィンドファームが地域にしっかり雇用を生み出し、地域経済の一役を担っている、そういうエネルギーの転換を象徴する場でのイベントでした。そのイベントを、音楽でよりよいものにしたい、そう願って仲間たちと手がけたのが、風の音楽祭でした。僕らが企画監修したCD、『Music go! green 風の国から』も、その一環から誕生したものです。この珠洲からスタートしたムーブメントが全国に飛び火していくと、もっと素晴らしい。そんな思いから "風のツーリズム" という新たな企画をはじめようと思っています。例えば10月に地震被害を受けた、鳥取県にもたくさんの風車が設置されています。珠洲市で行ったイベントを参考に風のツーリズムを手がけていく。そのツーリズムを通して、都市との交流を生み、自然エネルギーへの転換を後押しし、被災地の復興に寄与するその流れを音楽が支援する。そんな展開に繋がればいいなと思っています。」

「世界レベルで、気候変動や地殻変動が活発化し、新たなる被災がどんどん起こります。そんな状況で、東日本大震災の復興支援をどう継続するか、そこも僕らの活動の課題です。なかなか先が見えづらい中で、何を選択するか。じゃあ、人に投資しよう。そんな思いから、福島を応援しようと立ち上がったインディーズのミュージシャンのレーベル作りを支援することにしました。原発事故で苦労する福島を支援するプロジェクトですから、新しい時代を象徴する自然エネルギーの色の濃いものにしてあげたい。そんなわけで、「にほんのうた」の熊本支援で活用した、ソーラーパワートラックをLIVEやレコーディング等で活用しようと思っています。このトラックを使えば、インディーズの人たちのLIVEなら100パーセント、自然エネルギーで実施することもできる。そう考えて、トラックの購入も決めました。このトラックで、彼らのLIVEを自然エネルギーで支援してあげると共に、他の音楽フェス・環境イベントに出てグリーン化に寄与し、お金を集めて被災地でもLIVEを提供してあげようと思っています。「にほんのうた」といっしょに、熊本支援をしていなければ、ここまでの展開はできなかったと思ってます。坂本さん、貴重な機会をどうもありがとうございました。」

■Music Go! green オフィシャルページ
http://musicgogreen.jimdo.com

■『Music go! green 風の国から』CD詳細
http://www.110107.com/mob/pageShw.php?site=OTONANO&ima=1909&cd=kaze

■歌をおくろう
http://uta-oku.syncl.jp

■エコロジーオンライン
http://www.eco-online.org

<インタビュー:ザキール・フセインさん>

「さて、U-zhaanといえば、タブラ奏者。そのU-zhaanのタブラの大先生がいるんですよ……インドのザキール・フセインさんという人なんですけど。もうね、インドでは生き神様みたいな。まぁね、あの音楽のほんとに凄い達人の方達は、インドでは生き神様のように崇められるみたいですよ。ザキールさんは凄い濃いイケメンでね、そんな神様らしく神々しい感じではないんですけどね。その大先生と、僕はね、もう20年前ぐらいかしら、「リトル・ブッタ」サントラをやった時に手伝ってもらって、それ以来なんですけども。今回、U-zhaanがインタビューしてくれました。」

僕のタブラの先生、ザキール・フセインが、来日コンサートを9月に行ったんですが、その来日に合わせて、レディオ・サカモトのインタビュー出演をしてくださる事になりました。今回、8年ぶりの東京でのコンサートのための来日になりますが、久しぶりに訪れた東京に何か変化は感じましたか。

「まずはじめに、レディオ・サカモトにお招きいただいて、ありがとうございます。とても光栄ですし、坂本さんの大ファンなので、とてもうれしいです。東京は、前より混み合ってるように思いますが、20〜25年前と比べて、とても面白い音楽で溢れるようになっている気がします。この感じがさらに続いて、私もまたすぐ演奏しに戻って来られたらなと思っています。」

今回の来日では、日本で初めてとなるタブラ・ラハラ(持てる技術を余すところなく披露し続けるというアルティメット・スタイルの演奏形式)のみでのソロコンサートになります。インドでは頻繁に演奏されているこのスタイルですが、海外で先生が披露するのは、稀だと聴きました。何か理由があるのでしょうか。

「日本には古代から伝わる打楽器の伝統があります、太鼓ですね。とても深く長い修練を伴う伝統芸です。似た伝統として、インドにはタブラの伝統とパカワジの伝統があります。これらもまた数千年という長い歴史を持ち、特殊な視点と修練を必要とします。なので、日本に来て私たちの国のリズムをお伝えし、私自身が大ファンでもあるこの国の太鼓芸能への敬意を表せる機会があればと思いました。佐渡島で太鼓の演奏を鑑賞できましたし、インドにも長い歴史を持つ古典打楽器文化、タブラがあることを伝えることができて嬉しいです。インドには様々な打楽器の捉え方や表現の考え方がありながら、それを国外で披露する機会に恵まれることは少なく、だから今回初めてここ日本で私たちの伝統、タブラの演奏をお披露目できたことはとてもうれしい出来事になりました。」

世界中をツアーしながら、インド古典音楽の演奏を続けていらっしゃいますが、近年のインド音楽にはどんな流れが起きているでしょうか。

「1970年まではとても閉じた国だったので、あまり音楽的にも海外文化との接点がありませんでした。その後、シタール奏者のラヴィ・シャンカルがアメリカに渡り、インド音楽が広く知られるようになりました。そこでジャズミュージシャンとの交流も芽生え始めるのですが、今はインターネットの普及によりインドの人たちがそこから流れてくる世界中の様々な音楽に、とても盛り上がっています。だから今のインドでは人々がジャスやブルースの音楽祭やワールドリズムフェスティバル、またインド中で起こっている様々なものを楽しんでいます。」

坂本龍一さんとは旧知の仲だと聴いていますが、坂本さんは8年ぶりのソロアルバムを作っているんですけれども、もしあなたが今、坂本さんといっしょに作るとしたら、どんな音楽を作りたいですか。

「彼を通じて私が学んだ、リズムを情感的側面から捉えるということを、音を通じてお返ししたいと思います。どれほどリズムが感情を表現しうるかということを、共に音楽に入れ込むことができたら、そんなに嬉しいことはないと思います。」

お忙しいところ、どうもありがとうございました。最後にリスナーの方にメッセージをいただけたら嬉しいです。

「何よりお招きいただき、聴いていただきありがとうございます。音楽は非常に自由になりました。なのでインド音楽やジャズを聴きに行くとき、これはインド音楽だなぁとか、ジャズだなぁというより、純粋に音楽だなぁと思って浸ってもらえたらと思いますし、そうしたジャンル分けから解放されることで、音楽をさらに楽しむことができると思います。ありがとうございました。」


<オーディション総評>

今回のデモテープ・オーディションのコーナーはU-zhaanと長嶋りかこさん、そして教授はニューヨークの自宅からSkypeでの参加でした。たくさんの応募ありがとうございました。引き続き、番組では皆さんからのデモ作品をお待ちしております。

「(坂本) 今回は、変な現代音楽みたいな……従来の現代音楽とは違う感じの。そういうのもどんどん来るようになって。すごいなあ、充実してるな(笑)。ふたりのおかげですよ。あの……今回の一等賞を決めるような番組ではないですけど、何かありますか。難しいけど……僕は、すごいシンプルでインパクトの強かった、Art'in Struggleさん。これはすごいですねえ。あと、道中もすごいけどね(笑)。」
「(長嶋) 私はですね……「国際化の波」……民謡の。と、「春、十五葉」も面白かったです。(細かい字で書かれたコンセプト表みたいなものを)読むの大変でしたけど(笑) 」
「(U-zhaan) 僕は、鈴木さんが良かったかな、「世界をすくう」が。やっぱりすごく良かったなと、思います。入ってきた瞬間に、この人だって分かる、強烈な個性がすごいなと思いました。」

オーディション・コーナーで紹介した作品はこのサイトでも試聴できます。すでに著作権管理団体に登録している作品の応募は受け付けられませんので、オーディションに応募される方はご注意下さい。
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