2021.10.09 ON AIR
【ローリング・ストーンズ Part2】音楽評論家 萩原健太さん、シンガーソングライター・ ギタリスト Rei さん登場!

今週はローリング・ストーンズのPart2!
ゲストには引き続き、音楽評論家 萩原健太さん、ギタリスト Reiさんをお迎えしました。

■ライブのストーンズ

グローバー:ライブのストーンズ、特に印象残ってるものありますか?
萩原:最初の来日はすごい印象に残ってますよね。
グローバー:1990年。
萩原:東京ドームでね。ステージはもちろん凄かったんだけど、僕の隣に来てたお客さんが東北の方から遠征して来られたみたいで、来るあいだ中嬉しくて飲んでたらしいのね。隣で大変なことになっちゃってて、連れてきた友達が“スイマセン、スイマセン、、”みたいな感じで周りに言ってたんだけど、ストーンズが出てきた瞬間に気持ち悪くなっちゃったらしくて廊下に出てっちゃって友達も連れて行かなくちゃいけなくて、、、(笑)でも楽しめましたよ。
グローバー:今もちろん動画でも見れます、Reiさん、ライブでのストーンズ、印象的なシーンってどんなものあります?
Rei:ローリング・ストーンズ展で3Dでハイド・パーク2013年の映像を観て、改めてその映像を見返したりとかしてそれも楽しかったですけど、学生の頃に印象的だったのはマディ・ウォーターズとチェッカーボードでやってるライブがあって、それが81年なんですけど、最初はマディが一人でやってて客席にいるミックとかを呼んで“キースはどこだ?”みたいな感じで不機嫌にキースが出てきて。マディが赤いテレキャスターを使ってキースは黒いテレキャスターを使ってソロ降ったりとか、コール&レスとかをみんなでやってたりとかなんかそういう姿を見て両方のファンとしてすごい羨ましかったし、ロックバンドなんだけどブルーズがルーツににあるのが私としてはすごいシンパシーを覚える。ライブとかでもやっぱそういうアドリブの中とかでも素養が垣間見れるのがいいなと思いますね。
グローバー:ライブだと特にそのフレーバーは感じますよね。
萩原:感じますねー。
グローバー:ライブな1曲、何で始めましょうね。
萩原:やっぱりストーンズっていうと80年代入ってからライヴバンドとしてもう1回再生するようなとこあるじゃないですか。それまでの若い頃とまた違う“自分達はもうベテランの世界的なロックバンドとしてこれからアリーナ・ツアーをするんだ”みたいな覚悟みたいなのを見せた時期のこの曲がなければライブは始まらないという「Start Me Up」をね。
グローバー:もう巨大なコンサート、それこそこのイントロで特効花火ドーンっていう世界を作り始めた。
萩原:そうそう、やっぱりこの曲がいいんじゃないですか。ただこのスタジオ・バージョンがまた好きで。チャーリーのあの一発目のスネアの位置が意味わかんないじゃないですかあれ。
グローバー:じゃあ敢えてライブ・テイクじゃなくてチャーリー・ワッツにも届くこのイントロから始めましょうか。
萩原:うん、これが大好き。

■音楽評論家、萩原健太セレクト!
「これが音楽界/ロックシーンを変えた!ストーンズ・ナンバーTOP3」!!!


3位:Miss You <from『女たち』1978>

萩原:ストーンズっていうと、もう70年の半ばぐらいにはひとつ前の旧世代のロックの象徴みたいな、ベテランロックバンドのひとつの代表みたいになっちゃってたんだけど、そういうベテランロックバンドがその時代の空気感にどういう風にアプローチするのかというもののひとつの姿勢を見せた曲。当時はディスコブームですよ、そのディスコビートに敢えてローリング・ストーンズがチャレンジした曲。それでも流行ったんですよ。これのちょっと前ですよ「It’s only Rock’n’Roll but I like it”って言ってたのは。その人たちが舌の根も乾かぬうちに。(笑)でも考えてみればストーンズはその時代その時代のソウルミュージック、R&Bみたいなものにもね、デビューの時からモータウンの曲をカバーしたりとかスタックスの曲をカバーしたりとかね、そういうのをやってきた訳なんで、それの70年代のアプローチのひとつというか。それをチャーリーが叩いてるんですよ、このビートを。それを是非皆さんももう一度見つめ直して頂けるといいかなと。

2位:(I Can't Get No) Satisfaction <1965>

萩原:60年代のストーンズってアメリカのブラックミュージックが大好きなイギリスの青年たちでしょ、その憧れを出しながらアメリカのソウルみたいな曲を書きたいと思っていろんな曲を作ってきたり、カバーしたりしてきたそのストーンズが作ったある種の高みっていうかね。ひとつの達成感を持った曲じゃないかと思う。だからこの曲をこの後オーティス・レディングがカバーしたりするでしょ、これって凄いじゃないですか。自分たちが真似したりコピーしたりしてた人が自分たちの曲を歌ってくれた。で、これだけ聴いてるとこのイントロのフレーズが何なのかよくわからなかったんだけど、それをオーティスはホーンセクションに置き換えてやってる“あ、これね!”っていうね。この感じっていうのがストーンズにとっても最初の到達点だったんじゃないかなって気がするんですよね。
グローバー:Reiさんも“タイトルがグッとくる”ってアンケートにも書いていただいてますね。
Rei:そうですね、いつまでも不満を抱いてるっていうこのロック人の象徴のような曲っていうか、常に何かに対して怒ったり不満を抱いてるっていうロックの魂みたいなものを曲にしたらこんな感じかな?っていう風に思えますし、健太さんも言ってたみたいにギターに聞こえないんですよねこの曲。キースのギターって鍵盤に聞こえることもあるしそれこそホーンに聞こえることもあるし、きっとそれを自然と汲み取ってオーティスがまたアレンジを加えたんだなーっていう風に思います。

1位:悪魔を憐れむ歌(Sympathy for the Devil) <from『ベガーズ・バンケット』1968

萩原:60年代って我々日本のロックリスナーとかはまだまだ受容感覚が豊かじゃなかったんで、ロックバンドがやってんだったらロックバンドのメンバーでやるのがひとつの形だろうと、メンバーだけでやればいいじゃんって思ってるとこ、なんか沢山パーカッションを導入してね、ちょっとなんか広がりのある世界作ったでしょ。ちょっとラテンっていうかアフリカンパーカッション的なものを加えて、歌詞にはちょっとフランス文学的なものも導入して、なんかね、急にロックミュージックみたいなものの器が広くなった感じを伝えてくれる曲だったんですよ。

■ストーンズの影響

グローバー:Reiさんはストーンズから今も貰ってる影響って何ですか?
Rei:やっぱり精神的な部分ですかね。好きなものを好奇心の赴くままにやるっていうのは簡単なことのようでもの凄く勇気も覚悟もいることだと思うんです。やっぱり自分自身も作品を重ねていく中でもちろん新しいことやりたいっていう欲望もあるんだけども“自分が好きなものが何か”とか“やりたいことが何か”ってことを見失わないっていうのが難しいなって思うので、これだけ長い間作品を積み重ねているストーンズは“らしさ”を忘れない、いろいろ好奇心赴くままにやってるんだけど、それが違うところに行き着いてないっていうか。結局やっぱストーンズなんだっていうところは長くやってるからこそその凄みがあるなと思いますね。
グローバー:健太さんは同じ時代を生きてきてこのローリングストーンズが音楽界にもたらした一番の影響、何だと思います?
萩原:やっぱり彼らはイギリスの若者たちで、アメリカの黒人が大好きで、それに向かって憧れをね、“差異”って言葉があるけど差なのか異なのか重要でしょ?差があると思えば詰めれば追いつけ追い越せなんとかなるんだけど、違うとなると違うものを求めることになるから、ストーンズはちゃんとねそこを“異”の方向だと、違うんだと。で、違うから自分たちなりのソウルミュージックってどうやったら作れるんだろうってことをずっと追求してきたんだと思うのね。それによってこの境地に、長くやることによって達することができたという。そのこと教えてくれる存在としての影響がやっぱり一番シーン対して大きかったんじゃないかなと思う。

■キャッチコピー

Rei:「ローリング・ストーンズとは…ロックン・ブルーズのリヴィング・レジェンド」である!
ブルーズのルーツを持ちつつ、ロックの象徴となるようなバンドで、そして今現在もやっぱり走り続けているっていうところで“リビング・レジェンド”っていう直球な感じですけれども。

萩原:「ローリング・ストーンズとは…強大な初期衝動」である!
“いつまでたっても絶対上手くならねえぞ”っていうキースの気持ちとか、やっぱりミックジャガーの“自分のルーツはどこにあるんだ?”ってこと常に意識しながら、でもその時代の空気感に挑戦していくっていうね。だから古いとこ古いとこに行くんじゃなくて、その時代の空気感っていうのが大事なんだってのは初期のストーンズから変わってないじゃないですか。プロになってから会った人たちが組んだバンドじゃない、学生の時から一緒にいる連中がずっとやってるバンドだっていうその良さがね、それこそ初期の自分たちの熱い思いみたいなものをその友達といる時だけは昔の友達に会うとその時の感じに絶対戻るじゃないですか我々でも。あれと同じことがバンドでずっと続いてるじゃないかなと思うんだよね。


2週に渡るレジェンド『ローリング・ストーンズ』ラストは「サティスファクション」で締められました。

PLAYLIST

Start Me Up / The Rolling Stones

2000 Light Years From Home / The Rolling Stones

Sympathy for the Devil / The Rolling Stones

Brown Sugar / The Rolling Stones

What Do You Want / Rei

(I Can't Get No) Satisfaction / The Rolling Stones


◆Spotifyにもプレイリストを掲載しています。ぜひお聴きください。

■放送後1週間は右下のRadikoタイムフリーボタンでお聴きいただけます。
■萩原健太さんの詳しい情報はオフィシャルサイト
■Reiさんの詳しい情報はオフィシャルサイト

来週のテーマは、Mr.Children、GLAY との初共演ライブでも話題のB’z!お楽しみに!