2019.03.30 ON AIR
【THE SPECIALS】ORESKABANDのボーカル&ギター iCasさん、東洋化成の本根誠さん登場!

今週のレジェンドは、21年ぶりのオリジナルアルバムをリリースした『THE SPECIALS』ゲストにはORESKABANDのボーカル&ギターiCasさん、東洋化成の本根誠さんをお迎えしました。

■THE SPECIALSとの出会い

本根:僕らの世代で言うと、音楽情報って月刊誌しかなかった。でも月刊誌レベルだともう遅いんだよね。ニューウェイヴ、パンクって毎週のようにうごめいてたので、いちばん早く情報を取りに行くにはレコード屋さんにいくしかない。輸入盤屋さんの壁に飾ってあるレコードを“聴かせてください”っていうのが毎週の音楽シーンのチェックだった。その中の一枚がスペシャルズのファースト。音楽聴く前にジャケット見てまずビックらこいたのは“靴下がなんで白いんだ”って言う。スーツ着てんのになんでこの間抜けな運動靴に履くような靴下履いてんだろう?っていう。この着こなしを最初に見て、これはもうマイミュージックに違いないと。この外し方がカッコイイなと思って。で、針を落としてみて“納得”みたいな。まず思ったのはダンサブル。ドラムとベースが凄い上手いじゃないですか。スカ、パンクなのにドラムとベースが凄いダンサブルっていうのがビックリして。1977年78年79年ってもう“ぶっ壊せ!”みたいなパンクロックがあって勢いまかせでみんなやってんだけど、演奏はヘタ。だけどそこが可愛いみたいなそういうムーブメントじゃないですかパンクって。だけどスペシャルズは最初から上手かった。しかもダンサブルだからポジティブなバイブレーションがあった。

ーiCasさんがバンドを始めた時は中学生ぐらい?

iCas:そうです、中学校3年生の15歳ぐらいの時で、その頃は大阪の地元でスカシーンみたいなのが盛り上がってたんです。なので先輩たちに“お前たちスカって名乗ってんだったらこれ聴きなさい”みたいな。でもその時はよくわかんなかったんですよ、音が古いみたいな。でもドラムのtaeちゃんが歌詞を説明してくれて。それで当時のイギリスの人たちの言葉を代弁してるんだっていうのを学んだっていうか。その当時、政治的な観点みたいなのは自分の中には無かったんですけど、その中でも生活にいちばん馴染みがあった「Too Much,Too Young」がビビっときた。とにかく“お前たち人のせいにするな”みたいなのをしきりに教えられてる感じはしました。最初「Little Bitch」って曲を聴いて、コピーしてみたんですよ。でもぜんぜんできなくて..そこで凄さっていうのをマジマジと実感するっていう感じでした。けっこうシンプルじゃないですかスカって。リフもずっと一緒だし、ドラムも普通に8ビートだったりするんですけど、絶対にああならないっていうのが“なんでなんだ!”って。結局そこが解決せぬまま今になってようやく分かるみたいな感じで。

■本根誠が選ぶ「若者よ!スペシャルズならこの曲を聴け!」TOP3!

3位 ネルソンマンデラ
元々社会的な事を歌うじゃないですか、いわゆる3分間のラブソングじゃなくて、3分間の不平不満みたいなのをぶつけて、踊って、フィッシュ&チップスみたいな感じじゃないですか(笑)その中でもビックリさせられたのはネルソンマンデラかなぁ。ネルソンマンデラさんを、恥ずかしながらこの曲を聴くまで知らなかったんですよ。南アフリカにこんな立場で頑張ってらっしゃる方が居るなんて。僕、世の中の事をなにも知らなくて、恥じるぐらいに興奮した。この曲の大事さね。

2位 A-1ルーディたちへのメッセージ から A-2 Do The Dog へのつながり
曲間なんですよね。1stアルバムA面の1曲目が「ルーディたちへのメッセージ」で2曲目が「Do The Dog」っていう高速のスカなんだけど、その曲の並びが凄い。自分たちのプレゼンテーションですよね。ど頭でなんでこんなゆったりとしたトロンボーンなんだろう?みたいな感じで、その後にいきなりもうスカパンクになるっていう。あの流れの心意気。Ricoのことをちゃんと推すし、自分たちよりもRicoじゃないですか。その辺の筋を通す感じも好きで、MVとかもメンバーが出るより先にRicoが吹いてる。あれが良いんだよね。

1位 リトルビッチ
これはもう一生に一回発明できるかできないかぐらいのギターリフだと思うんだよね。このリフから始まったバンドっていくつもあると思う。

■THE SPECIALSの影響

本根:曲が素晴らしいっていうのはもちろん、メッセージ性がある。そして2TONEレコードっていう発想はほんとあるんですよね、いわゆるインディバンド。誰の世話にもならないぜ、やりたい事やり続けるぜっていう。彼らは当時23、4じゃないですか、そういう事を意識してて、それが3分間の音楽にちゃんと反映されてるし、そこに繋がるし、わがまま言ってるだけじゃないってとこがカッコイイですね。

iCas:私たちがデビューした頃っていうのはまだ音楽業界がバブルの残り香を受けて活動してるような感じだったんですけど、当時のスペシャルズが自分の意思“Do It Yourself”がちゃんと軸にあったっていうのは、今の私たちにも凄く響きます。

■キャッチコピー

本根:The Specials とは「WHAT’S SO Funny 'Bout Love & Peace AND UNDERSTAND?」ブリンズレー・シュウォーツがやってコステロがカバーした曲。あの曲をまさしく感じる。愛とか平和とか理解について語り合うことが何がおかしいんじゃい?みたいな。大真面目にギンギラギンに言ってるんだけどなんかカワイイみたいな。スペシャルズっていうのはそういう事よね。

iCas:The Specialsとは「ストリートミュージック」である。やっぱりセレブの音楽じゃないっていうのがいちばん刺さってるところで、労働してる方々の生活に根付いた音楽だったっていうところ。スペシャルズは“お前たちの世界のリアルを伝えろ”って言ってる気がしてスペシャルズこそがストリートミュージックだと思います。

最後は「Dawning Of A New Era」でレジェンド『The Specials』は締めくくられました。


※この収録は大手町パークビル内 三菱地所の新オフィスで行なわれました。

PLAYLIST

A Message to You Rudy / THE SPECIALS

Enjoy Yourself / THE SPECIALS

Little Bitch / THE SPECIALS

Do The Dog / THE SPECIALS

Monkey Man / ORESKABAND

Dawning Of A New Era / THE SPECIALS


※放送後1週間はRadiko タイムフリーでお聴きいただけます。

■ORESKABANDの詳しい情報はオフィシャルサイト

次回のテーマは、今年生誕80周年!ソウル・レジェンド『マーヴィン・ゲイ』ゲストにはキーボーディスト/プロデューサーのKan Sano さん、音楽評論家 吉岡正晴さんをお迎えします。お聞き逃しなく!